SNSに上がっている子猫の動画を見ると、どの子も俺が経験したことのないレベルの活発さで、調度品を破壊したり観葉植物を打ち倒すなど、小さな体で暴虐の限りを尽くしている。2009年の夏にマコちゃんが我が家にやって来た時、何と騒々しくて落ち着きのない猫だろうと驚き、この子は少し頭がおかしいのではないかと真剣に悩んだほどだったが、SNSの暴れん坊に比べれば大したレベルではなかった。ましてや子猫時代のサチコといったら大変な大人しさで、積極的に遊ぶこともせずに、いつも醒めた顔でちんまりと香箱を組んでいた。もう20年以上前のことなので記憶が朧げだが、2003年8月に玄関前で鳴いていたのを拾い上げてからというもの、半年ぐらいは2階の書斎と寝室だけがサチコの居場所で、俺や妻が1階のリビングでまったりしていると、一人にするなーと階段の上から鳴いて呼ぶのが常だった。上下運動の苦手な猫に猫タワーを用意する必要性も感じず、初めてそれを導入したのはマコちゃんが来た2009年になってからだった。ただ、サチコにまったく困りごとがなかったわけではなく、よく覚えているのは何度となく布団におしっこされたこと。猫のおしっこはどう洗っても臭いが取れず、布団を何枚も捨てる羽目になって困り果て、「猫の飼い方」に書かれていた通りに動物病院で去勢してもらったが、頻度こそ減ったものの、トイレ以外のおしっこは最後まで治らなかった。布団でやられたのは2019年(16歳)ごろまでだったと思うが、その後は階段や廊下を標的にされ、おしっこに関しては死ぬまで自由な子だった。
なぜ突然そんなことを書いたのかというと、先日の猫旅で勝浦や銚子を歩いた時に、当年(2025年)生まれと思しき若い猫をたくさん見かけたからだ。外暮らしは元気な子じゃなければやっていけないのはそれとして、どちらの土地の猫にも毛色の偏りがなく、キジ、サバ(銀)、茶という「猫の三原色」はもちろん、白や黒、薄色やカラーポイントまで様々な毛色の猫が行き来しており、縦横に交配が進んで遺伝的多様性に富んでいることを思わせた。サチコのような弱っちい子猫が大した病気もせずに長生きしたのも、あの子の生まれ故郷がそういう場所だったからなのかも知れない。猫に関する何を見てもサチコとの思い出に繋がってしまうのは当分終わらないと思うのでご勘弁。
で、肝腎の猫の方は勝浦市内のとある浜辺で見かけた2匹から。茶トラ白とシールポイントという組み合わせ、多様性でしょ?

ポイントさんは警戒心が強くて近寄るのは無理な感じ。でもまあお陰さまで海辺の街らしい写真が撮れましたよ。

前回の記事にも書いたように、夏は冷涼、冬は温暖な勝浦は猫にとっても人間にとっても暮らしやすい街だと思う。人間の場合、近場に仕事がなければ定住は難しいので、とっかかりとしては別荘地に選ぶのがいちばん現実的かも知れない。俺の世代で別荘地というと軽井沢や那須が思い浮かぶが、どちらも夏はいいとして冬が寒すぎるし、地目が山林や原野だったりして買い物などの便が悪すぎる。俺の場合、テレワークで月に何度か出社できればいいので、東京まで特急「わかしお」で90分、高速バスで2時間なら悪くない。まあその就労条件が時々変わるのが俺の仕事の面倒なところなのだけれども。
勝浦の市街地から少し離れた海辺の集落を一回りしたらもう正午すぎ。駅に戻るべく、漁港を背にして山越えの坂道に差しかかると、民家の広い敷地から茶色いのが現れた。

道路向かいでバスを待っていた婆さんが「みかんちゃん、良かったわねえ」と目を細めている。そうか、君はみかんちゃんというんだね。

近所の人にも可愛がられている様子。いつも思うことだけど、海辺の街は大らかでいいね。

市街地が近づくにつれて猫影は薄くなったように思えるが、真っ昼間という時間帯の影響かも知れない。目を凝らせばちゃんと見える。

広いウッドデッキでお昼寝していた黒白。どこかの飼い猫が出張ってきているのかな。

このころ気温は17.3℃。日差しが強いし長毛だとたぶん暑い。長毛じゃない俺も暑いくらいだし。

今回の猫旅は、往路である新宿〜勝浦の指定席特急券を買っておいたくらいで、経由地だけは何となく決めていたものの、具体的な時間や移動手段についてはまったくノープランだった。勝浦散歩のあとは御宿町、匝瑳市の順に立ち寄るつもりで、御宿から匝瑳市の中心駅である八日市場までは電車で小一時間ぐらいだろうと高を括っていた。ところが勝浦駅に戻って調べてみると、八日市場までは80kmの道のりで乗り換えが3回もあり、電車だと2時間半もかかることが分かった。日の短いこの季節にこれでは3箇所回るのは到底無理なので、八日市場はパスすることにしてとりあえず御宿へ。こちらは昼下がりという時間帯からか、70分ほどかけて4km歩いて2匹という結果だった。御宿には漁港もあるが、俺が歩いた街の西側はマリンスポーツの方が盛んなように見えた。

正面に回ってみると、驚いて腰を浮かせた。口元の膿は猫風邪か口内炎だろうか。

冬の落日は早く、まだ14時なのにもう影が伸びている。日が沈めばそれなりに冷えるだろうから、一日最後の充電に努めているのだろうな。

こんなに人懐っこいなら動画も撮ろうと思っていたら、カメラが苦手だったらしく、距離を置いたまま動かなくなってしまった。
この日の散歩終了は14:43で、御宿15:04発の上総一ノ宮行きに乗り、さらに大網、成東と乗り継いで、ようやく銚子に到着したのはとっぷりと日の暮れた17:21。普通列車しかなかったり乗り換えが多かったりして、距離の割に時間がかかったのは房総半島がJRから蔑ろにされているからだろう。大晦日の明日は絶対に高速バスで帰ろうとの思いを新たにしつつ、次回、2年ぶりの銚子散歩を敢行する!































