達玄宮前の猫スポットから離れても、その周囲は依然として濃厚な猫の気配に満ちている。しかもこの2匹、過去にも会っているような気がする。

とりわけ人懐っこい茶白は尻尾ぴーん。よくよく見ると茶色い部分は霜降りだね。

黒は2024年3月にも会った子だとその場で分かった。真っ黒ではあるんだけど、何というか、おっさん顔に見覚えがあってね。

2019年9月にこの近くで見かけた子。あの時はスリムな印象だったので、今の体格とはすぐに結びつかなかった。今回が2回目というわけでもなく、帰国してからちゃんと調べたら2023年3月にも見かけていた。あとでまた紹介するけど、この街、再会できている子がとても多い。

……という感じで唐突に始まった今日の記事は瑞芳散歩の2回目。時は3月23日月曜日(猫旅2日目)、時刻は7:50で散歩スタートから50分が経過していた。前回の記事にも書いたように、この日の瑞芳は午後から雨の予報で、山沿いはすでに低い雲が垂れ込めていたため、瑞芳のあとはまず平溪線で菁桐方面へ向かうことにしている。乗る列車はまだ決めていなかったが、おおむね1時間おきという運転本数から考えると、9:57発の4816次になりそうだった。
瑞芳にはまだ行ったことのないエリアが残っている。今回の猫旅ではそうした場所も歩いてみるつもりだが、その前にもう一度達玄宮の猫たちに会って、しばらくお別れになることの挨拶をしておかなければならない。その途中にも足止めを食うのはいつものことだけれども。

駐車車両に隠れて安心していたようだけど、俺の目はごまかせないよ。

今回は黒率が高い気がする瑞芳。この子はちょっと見分けがつかないな。

さて、お暇の挨拶に来ましたよ。来年は来られるかどうか分からないので、もう一度顔を見せてくださいな。

君は一昨年の3月にも見かけたね。こうして知り合いができたところで、会いたさが募って辛くなるだけと分かっているのに、やめられないんだよねーこの習慣。

2023年3月に比べるとややスリムになった黒白。あの時は雨に降られて冴えない散歩だったなあ。

こちらは一昨年組のキジ渦白。

台湾の北東部には深坑や石壁坑といった「坑」のつく地名がやたら多く、俺はそれらをかつてたくさんの炭鉱があった名残だろうと思っていた。これは必ずしも誤りではないのだが、かといってまるっきり正解というわけでもない。奥に猫が佇む「三爪子坑路」と呼ばれるこの街路も、炭鉱の街・瑞芳にあるので炭鉱由来と思いがちだが実は違う。このエリアの2kmほど南にある三爪子坑山という山が街路名の由来で、三爪子坑山は動物の爪のような三つの尾根を持つことからそう呼ばれている。そもそも坑というのは日本語で言うところの谷戸や沢に近い意味を持つ閩南語だそうで、三爪子坑≒三爪子谷というような語感になるらしい。一方、清朝末期〜日本統治時代にかけて夥しい数の炭鉱が開発された際、坑口を設けるには谷戸の地形が最適であることから、○○坑という名の谷に○○坑という名の炭鉱ができることになった。つまり台湾における○○坑という地名の由来は、(1)谷があるから、(2)炭鉱があるから、(3)どちらもあるから、という3パターンが存在するわけである。ちなみに瑞芳駅の南西には「一坑路」という街路もあって、そちらはかつて瑞芳一坑という炭鉱の鉱区があったことが由来なので、前述の(2)に分類される。またこのあと赴く予定の菁桐には菁桐坑というバス停があり、もともとは「アオギリの茂る谷」を意味していたものが、日本統治時代に開発された石底炭鉱や、国民政府により開発された青桐煤礦という一大鉱区ができたことで、現在は(3)に分類すべき地名になっている。

かつて炭鉱住宅として使われた鉄筋コンクリートのアパート群は閉山とともに払い下げられ、現在住んでいるのは元鉱員か無関係の民間人のようだ。瑞芳のほかのエリアよりも猫密度が低く感じられるのは、一軒家が少ないからかも知れない。

こんな場所には観光客なんか来ないだろうし、どう反応したらいいか分からないみたいね。

基隆河を渡り、全長183mの瑞芳隧道をくぐって山沿いのエリアに回り込む。道端でちょこなんとするキジ白が分かるかな。

「就算長得再漂亮、如果心上人不回頭看我一眼、那又有什麼意義呢(いくら顔がきれいでも、好きな人に振り向いてもらえなかったら、何の意味もないのよ)」

ここまで来て時刻は9時。このままぽつぽつと猫を見つけつつ山沿いの道を下りていけば、ちょうどいい時間に瑞芳駅に辿り着けそうだった。次回、春休みの日本人学生で混雑する平溪線に乗り、山間に分け入っていく。




























