日中は観光客で混雑する馬公の旧市街も平日の早朝は閑散としていて、猫たちもねぐらへの朝帰りを急いだり、思い思いの場所で毛繕いするなど、のびのびと過ごしているようだ。時刻は7:20で、空き地の奥に見えている2匹はまだ日陰に隠れているが、かといってあそこに日が当たるまで待っていたら船の時間に間に合わない。台湾猫旅3日目、3月25日の朝の散歩は慌ただしい。
旧市街の散歩を終えたら、次は桶盤嶼へ向かう8:30発の渡船に乗る。これがまた慣れない観光客には分かりにくく、馬公には馬公港渡輪碼頭と馬公南海碼頭という二つのフェリーターミナルがあって、Googleマップによれば桶盤嶼行きの市営交通船は後者から出ることになっているが、こういうものを盲目的に信じ込むと痛い目に遭うので信頼度50%ぐらいに考えておいた方がいい。馬公南海碼頭の目の前には南海遊客中心があって、桶盤嶼や虎井嶼といった近隣の島々へ赴く観光客が集まるが、これらはみなツアー船を利用する客で、交通船の切符は船上で買わなければならないらしい。船上といっても埠頭に並ぶどの船が桶盤行きなのかは行ってみないと分からないし、筆談で往復の切符を買うにも、滞在30分でとんぼ返りするような酔狂を理解してくれるかも分からない。なので、遅くとも出港の30分前には散歩を終えて港へ行きたかったし、筆談用のメモ書きも事前に用意しておきたかったわけである。
そういうわけで、壁際で寛ぐ2匹を発見した時点で残り40分。急いでいることを察知されると逃げられるので、平静を保って近寄ってみよう。

不思議そうにこちらを見つめている。朝っぱらからお騒がせして済みませんね。

こっちは目つきが期待しちゃってる! でもそこに行ったら絶対逃げるから無理!

平坦な玄武岩の台地と思っていた馬公の街だが、以外に起伏があって樹木もそれなりに生えている。日陰のない郊外よりも、こういう場所の方が猫にとっては暮らしやすいんじゃないのかな。

この時間はやっぱり期待しちゃうか……。でも俺に対する反応を見る限り、ここの猫たちは周囲から親切にしてもらっているように見えて、何だか微笑ましい。

路地裏は様子が少し違っていて、こちらの猫は目立たない場所に潜んでいる。

逃げ足もこっちの方が速い。毛並みはいいので、気を許した人には懐くのだろう。

同じ路地でさらに1匹。ちゃんと集計したわけじゃないけど、今回の猫旅は黒系とキジ系が圧倒的に多い気がしている。

立ち上がってみると南国風のスリムな体躯。猫の適正体重ってこのぐらいだと思う。

馬公市内にもアーケード街はあるが、台湾本島のように建物と一体化した亭仔腳ではなく、歩道に庇が突き出た日本風(?)のアーケード。風の強い地域だからか、シャッターを閉めている家が多いところは恆春に似ている。猫は日なたと日陰の微妙な場所にいてくれちゃって、写真はとても撮りにくい。

サビにもあと少しで日が当たりそうだけど、待ってる時間はないんだよ。8時まであと20分しかないからね。

慌ただしく写真を撮って歩き出したら、扉の隙間からもう1匹飛び出してきた。みんなここの子だったのかー。

次の猫もスクーターとセットで発見。もしかして自分の毛色に合ったシートを選んで乗っかってる?

朝の猫はあちこちで聞き耳(利き鼻?)を立てている。気配を察して奥からキジ白が現れた。

みんないい体格をしている。うちのなんか頑張って手厚く接していても3.5kgだから忸怩たるものがある。

スクーターの黒が様子を見に下りてきたところで時間切れ。8時まであと10分というところで碼頭へ向かうことにして、猫と別れて日なたに出るとかなり暑くなっていた。気温はすでに24℃近くになっていた。
南海遊客中心は吹き抜け2階建ての大きな建物で、館内を見て回ると似たようなブースがたくさん並んでいる。「海龍王遊艇」とか「海上皇宮」といったやや大袈裟な名称は漢字圏ならではのツアー名だろうか。今回の桶盤行きには関係ないだろうとは思うものの、自信がないので総合案内のお姉さんに「桶盤、交通船」と書いたメモを見せると、あっち、あっちというように外を指差される。促されるまま埠頭に出てみると、確かにたくさんの船が並んでいるが、どれがどこへ行くのかさっぱり分からない。見かねたお姉さんが外まで出てきて教えてくれたのは、馬公之星168號と書かれた全長20mほどの小型船だった。
船さえ分かれば乗船手続は至極簡単で、船長と思しき人にあらかじめ書いておいたメモを見せると、パスポートの提示と乗船名簿の記入を求められ、往復の運賃240元を支払えばあとは出港を待つだけ。桶盤へ渡る日本人はそう多くないと思うが、俺のような人間の取り扱いには慣れているようだった。
次回の台湾猫旅は澎湖諸島・桶盤嶼から。



























