今回の台湾猫旅では島嶼だけで構成される澎湖県を初めて訪問し、せっかく来たからにはと欲張って、七美郷、馬公市、白沙郷、湖西郷という4つの自治体を6回に分けて散歩した。西嶼郷を散歩すれば澎湖主島コンプリートだったが、馬公から9kmしか離れていない白沙郷中屯村さえ無理にねじ込んだのに、30km以上もある西嶼はさすがに時間が足りない。白沙郷もできれば中心集落の赤崁村まで足を延ばしたかったが、路線バスの本数は限られているし、馬公から離れるとタクシーを見つけるのも難しい。離島から本島へ戻る飛行機に乗り遅れるわけにはいかないので、空港からいちばん近い中屯村で済ませたというわけである。白沙郷にこだわったのは地名オタクということもあるが、幼少期から津軽海峡を見て育ったからか、常夏の海を連想させる白沙という名称には何となく惹かれるものがあった。
しかし今考えれば澎湖県内のどこへ行ってもきっと猫まみれだったのだろう。定住人口10人以下という桶盤嶼もそうだったし、旅程を組んでいる時に候補に挙げたいくつかの島でも猫の存在は確認できた。馬公以外の集落はどこも小さくて人通りが少なく、俺が猫を見つけることよりも、猫たちが俺を見つけることの方が非日常的イベントのようだった。

まあ台湾華語が分からない俺にとっては、人間と意思疎通を図るよりも、猫の方がよほど容易いのではあるが。

他所者の気配を察したか、痩せた黒白が道端に佇んでこちらを眺めていた。

澎湖の猫は健康そうなのが多い印象だけど、たまにこういう痩せたのも見かける。猫同士の力関係か、それともお腹に虫を飼っているのかな。

塀の向こうへ飛び下りた黒白を待ち構えていたら、先に茶色いのが出てきたでござる。芋づる式かよ。

そういうことなら一緒に記念写真を撮っておきましょう。飼い主が分かればEMSで送ってあげるんだけど、とにかくこの集落は人の気配が希薄でなあ……。

しかし、他所者には冷たく、みんなカメラを避けるように立ち去っていく。

見える範囲で車庫には4匹。カラーポイントがここにもいたので若干のけぞっている。

若い猫はどこの国でも天真爛漫。この子だけは尻尾を立てて近寄ってきてくれた。

付き合ってくれてありがとうね。でももうすぐ11時だから、早く行かないとバスに遅れちゃう。

澎湖主島のバス路線網は県庁所在地の馬公を中心に構成されていて、次の散歩地である湖西郷紅羅村へ直接向かう便は存在しない。中屯國小バス停を11:24に発車する21路のバスも、澎湖主島を時計回りにぐるっと回って馬公總站へ向かうので、紅羅村へ行くには途中の東衛で青螺行き34路に乗り換えなければならない。無論俺のことだから、その乗り換え時間も猫を探してバス停3つ分ぐらい歩くつもりだったが、朝から何も口にしていない上に、すでに体力が残りわずかで動くのがしんどくなっていた。情けないことではあるが、去年6月に今の職場に異動してからというもの、ほとんど在宅勤務で体を動かす機会がなかったし、この日は朝の馬公散歩からリュックを背負いっ放しというのもきつかった。中屯國小〜東衛のたった6分では体を休める暇もなく、バスを降りて散歩記録用のGPSアプリを起動したはいいものの、ふらふらと道端のコンビニに引き寄せられ、乗り換えの34路を待つ間、虚脱したようにイートインコーナーで過ごすことになった。幼少期から多動で鳴らしたこの俺が、予定していた散歩を体力的な理由でスキップするなど初めてのことだった。
とはいえ猫影の濃い澎湖であるから否が応でも猫の姿は目に入ってくる。東衛でバスを降りたら1秒で猫発見!

何がきついって、リュックを背負ったまましゃがむのが膝と腰に来る。下ろせばいいという話もあるけど、台湾って地面がまあまあ汚いので、あまり触れたくないというのが正直なところ。その辺で転げ回る猫を構って撫でているのと矛盾しているのは承知の上。気分の問題だから放っておいてください(続く)。



























