猫(貓)という漢字が使われている地名は珍しくないのに、駅となると国内外に4つしか存在しないという話は去年8月の記事にも書いた。そのうち日本における唯一の「猫のつく駅」が富山県黒部市の山中にあり、業務用駅なので普段は旅客扱いをしないはずのところ、2024年10月から期間限定で一般客が降りられるようになっている。これが黒部峡谷鉄道の猫又駅で、2024年1月の能登半島地震の影響により不通区間が生じたため、途中駅の猫又で折り返し運転をすることになり、旅客は発車待ちの20分間だけ「トイレ休憩」の名目で列車から降りられる。
猫のつく駅は非常に珍しいことから、俺も去年11月に訪問すべく旅程を立てていたが、天気が激悪だったのと風邪気味のダブルパンチで泣く泣く断念。12月から4月の冬季運休期間を経て、今シーズンもまた涼しい秋になったらチャレンジしようと決めていた。ところが今月上旬、復旧工事完了により10月1日から全線での運転を再開するとの発表があり、猫又での折り返し運用は解消されることになった。駅構内から一歩も出られない割にこの運用は好評だったようで、旅客扱いを続けて欲しいとのリクエストも寄せられているらしいが、このエリアは国立公園の第2種特別地域に指定されており開発行為が厳しく制限されている。猫又駅の旅客扱いは2年弱の限定運用ということで、やはり諦めるほかないようだ。
そのような経緯により、秋の予定を急遽前倒しして、先週木曜日(16日)から2泊3日で猫又駅を訪ねる旅に出かけてきた。俺は猫のつく4つの駅をコンプリートしたいと考えており、それには猫又は外せない。先週末を逃せば学生が夏休みに入って青春18キッパーが跋扈するし、たぶん梅雨も明けて酷暑の日々になる。かといって9月まで引っ張ると残り1ヶ月となって世界中から鉄オタや猫オタが殺到すると考えられ、行くとなれば先週末しか選択肢はなかった。
木曜日は終業とともに家を飛び出し、18:25発の武蔵野線〜埼京線を経由して大宮へ。大宮からは19:29発の金沢行き北陸新幹線「はくたか575号」に乗り、投宿地である黒部宇奈月温泉(という名の駅)に降り立ったのは21:39だった。当初の予定ではバスタ新宿から栂池行きの夜行バスに乗るつもりだったが、あいにく満席だったため、逆コースに変更してこのような旅程になった。
翌17日の朝は宿泊地の黒部駅〜電鉄黒部駅付近を散歩してみたものの見事に空振りで、俺が猫散歩を始めてからこれほど猫の気配を感じなかった街は恐らくほかにない。電鉄黒部からは富山地方鉄道で終点の宇奈月温泉へ移動し、そこでも数十分ほど歩いてみたもののやはり空振り。宇奈月から黒部峡谷鉄道に乗り換えて猫又訪問の悲願は叶ったものの、ホンモノの猫に会えたのは、それらのイベントを終えた13時すぎだった。猫又帰りに宇奈月温泉から乗った電車を1駅で乗り捨て、音澤と称する小さな集落を散歩している時のことだった(猫又訪問の収穫はこちら)。

さすが山間集落の猫! いきなりワイルドな登場。しかもカラーポイントとは意外。

何とか日なたに出てきてもらおうと画策するものの、こんな山里で初めましての子が相手じゃなかなか……。

日差しが強くて蒸し暑く、猫を相手に右往左往しているとぶっ倒れそうになる。車の下に隠れてくれて正直ほっとした。

旧宇奈月町、現在は黒部市に属する音澤はとても広い大字で、音沢駅から直線距離で13km離れた猫又駅だけでなく、30kmも離れた鹿島槍ヶ岳の山頂まで含むというから、そこで猫に会えたのも縁あってのことかも知れない。しかし暑いさなか、さすがに南北500mほどの小さな集落で2匹目を見つけることは叶わず、次の散歩地である魚津へ移動。魚のつく地名に猫がいないわけがないと思って張り切っていたところ、果たして電鉄魚津をスタートしてほどなく1匹目を発見。

日差しを避けて、お腹をコンクリートにくっつけている。君はなかなか賢しい猫だね。

この日の魚津は30〜31℃ほどで日差しが強く、北陸もまだ梅雨明けしていないから湿度も高い。サビのあとは歩いても歩いても見つからず、そろそろ遭難してもおかしくないと思えてきたところで次の猫。漁師町なんだし、朝来たらたくさん会えるんだろうけどなあ。

うっすらとレッドが見える毛色はchinchilla cameo tabbyだと思う。会える数は少ないけど、富山の猫って毛色が個性的?

これだけティッピングが大きいのは珍しい。タグは「まだら」に分類した。

胸に飛び込んでくるようなキャラには見えないなーと思っていたら……、

黒白が落ち着いた先をよく見ると、車の下にもう1匹。あんな場所に猫が隠れるくらい、この日は暑かったわけである。

黒が戻ったカーポートには猫ボックスが備え付けられていた。君たちはここの所属なんだね。

車の下に隠れていたのも様子を見に出てきた。よくよく見ればこの子もチンチラレベルの麦わら二毛(chinchilla tortie)で、毛色の特徴からしてさっきのチンチラカメオの娘かも知れない。チンチラといえば「やっぱり猫が好き」に出ていたサチコもこの系統の三毛であり、そこに富山出身の室井滋が出演していたことを強引に結びつけて感慨に耽るなどした。やっぱり富山の猫って毛色が個性的?

このあとさらに魚津駅まで歩いて2時間6.1kmの散歩は終了。運動不足による体力低下と暑さに苛まれ、半死半生のような風体で昨夜と同じ黒部のホテルへ帰り着いたのだった。翌18日に見かけた猫たちは次回紹介予定。



























