そろそろマコちゃんの血液検査の結果が出たころだろうと思って動物病院に電話したら、血中フェノバルビタール濃度がまだ出ていないということで、慌てて行っても二度手間になるので明後日の夕方にもう一度確認することにした。俺は明日の午後から出かけるし、動物病院は11日から夏休みに入るそうなので、それ以外にタイミングがない。電話口では現在判明している検査結果に対する言及がなかったので、特に問題になるような数値は出ていなかったのだろう。血液検査の結果をもらったら、宙ぶらりんになっているマコの鼻腔内リンパ腫治療記録のページに追記していくつもりだ。
台湾猫旅の方は引き続き7日目の最終日(3月28日)、朝の玉里で見かけた猫たちを紹介していく。といっても残り2匹だけどな。

あの白っぽいのは薄汚れているのか、それともそういう毛色なのか。

その場では判定が難しかったが、あとで写真を拡大してみると、ティッピングが非常に大きなチンチラレベルの銀トラのようだった。言うならばchinchilla silver mackerel tabby and white。玉里に来たらまた会いたいけど、どうかなあ。

こういう子とはゆっくり時間をかけて遊んでいきたいけど、あいにく列車の発車まで15分しかない。君も次回また会おうね。

ホテルを出てからまだ何も食べていないが、駅弁の当てがあるので何も買わずに列車に乗った。
俺が台湾の駅弁に強い興味を持ったのは、台東線池上駅の全美行池上鐵路月台便當が最初で、台湾でもとりわけ美味しいとされる池上米を食べてみたかったのと、レトロなパッケージに魅かれたことが理由だ。その後、2017年1月の台湾猫旅で食べること自体は叶ったものの、台鉄ではその直前に月台叫賣(ホームの立ち売り)が撤退しており、猫散歩がてら立ち寄った全美行の駅前店で買うことになった。
当初俺は、台鉄のホームから駅弁売りが消えた理由を、列車の高速化に伴う安全性や定時性の確保からだと思っていたが、よく調べてみるとそれだけではなく、台鉄に支払う高額な権利金も原因の一つだったようだ。例えば人気の池上鐵路月台便當を販売していた全美行は、年間130万元もの権利金を台鉄に支払っていたそうだ。これは池上駅から立ち売りが撤退した2015年6月当時のレートで約480万円という金額だ。全美行は法人化もしていない資本金20万元の個人商店であり、弁当1個売って80元(現在は100元)という商売の重い負担になっていたことは想像に難くない。しかも列車の高速化で停車時間が短くなり、販売機会は減る一方なのである。
台鉄の駅弁販売権は入札制で、池上駅の場合は池上米のブランド効果で駅弁の人気も上がり、競合他社がたくさん現れた結果こうなった。「池上便當」を名乗る弁当はほかにいくつもあって台湾全土で売られている。台湾で最も駅弁の売り上げが多かった宜蘭線福隆駅の権利金は年間432万元だったというから、知名度さえ上がれば、ホーム以外の売り上げも上がって商売になるのかも知れない。
月台叫賣がすべて撤退し、ホーム上に売店もない台鉄では、乗客が腹を空かせないよう、長距離優等列車に車内販売を乗務させている。オンライン予約が主流になった今はチケットと同時に駅弁を注文できる上、座席まで持ってきてくれるというからありがたい。玉里散歩を終えて乗った411次自強号は8:42に玉里を発車すると、瑞穂、光復、鳳林、花蓮と停車していき、次の散歩地である羅東には10:53に到着するので2時間以上ある。車窓を眺めながらゆっくり朝食を食べられるなんて乗り鉄にとって望外の喜び、当然チケットと同時に弁当も予約しておいたわけである。ちなみに車内販売の小姐は花蓮から乗ってきて、弁当は数分以内に座席へ届けてくれた(これ)。
10:53、定時で到着した羅東からはタクシーに乗る。次の散歩地である寒溪へは國光客運の1795C路が通っているが、2分の乗り換えではさすがに危険すぎるので無理はしない。タクシーの運転手に行き先を書いたメモを見せる際、バッグのファスナーを開けたはずで、その時パスポートを見た記憶がないことものちの行動に影を落とすが、それはまだ先の話。寒溪に滞在した1時間半では3匹の猫に遭遇した。

もう降ってないよーと近寄ったら踵を返してしまった。特徴的な耳は台東県の安朔村でも見たことがあるけど(この子)、ここから270kmも離れているのでさすがに無関係だね。

寒溪というのは宜蘭県大同郷にある泰雅族の村で、観光資源に乏しいその名の通りの寒村だが、台湾通の日本人には割と知られている。というのも、ここで暮らす人々の話す言葉が宜蘭クレオールと呼ばれる特殊な言語で、日本語の語彙が数多く含まれていることから、6割ぐらいは日本語が通じるとされているからだ。クレオール言語というのは、互換性のない言語の話者同士が交易などの商業活動を行う際、両者の言葉が自然に混じり合って「ちゃんぽん」になったものをいう。単なるちゃんぽん言語なら、商売という関係性が失われれば自然消滅するが(このレベルの言語をピジン言語という)、クレオール言語はちゃんぽん言語が次世代以降に母語として定着したものだ。宜蘭クレオールの場合は日本語と泰雅語のちゃんぽんであり、そこへ台湾華語が混じるのでかなりカオスだと聞く。俺はかねてからその言語に接してみたいと考えており、話者が分布する大同郷寒溪村、南澳郷東岳村、金洋村、澳花村のうち、最も交通の便がいい寒溪に立ち寄ってみたというわけである。
だがしかし、猫には社交的でも人間に対しては消極的な俺が、外国の田舎で他人に声をかけるなどはなかなか敷居が高く、辛うじて耳にしたのは姑の愚痴と思しき近所の奥さん同士の会話ぐらいだった。寒溪神社にも寄れたので行った甲斐はあったけれども。

呼んだら座ってこちらを見つめている。さては俺の素性を見極めているな。

ほれほれ、宜蘭クレオールの話者なら少しは日本語も分かるだろ。

スキンシップを図ってみると、とても人懐っこい子で、ごろごろ音が止まらなくなった。

野性味溢れるサチコって感じの子。寒溪に来ることはさすがにもうないと思うので、記念に動画も撮っておいた。

寒溪からの復路は13:05発のバスに乗り、終点の羅東駅前までは行かずに途中の北成というバス停で降りる。時刻は13:37、ここから羅東駅までの1時間40分が台湾猫旅最後の散歩となる(はずだった)。
羅東という街にはあまり猫がいるイメージがなくて、最後まで宜蘭とどちらにしようか悩んでいたが、最終的には寒溪行きバスの起点という時間的有利さから羅東を選んだ。これが正解だったかは分からないが、とりあえず1匹目はスタートから5分後に発見。

プスプス言ってみたり、その辺の雑草をもいで振り回したりして……、

何とかここまで接近に成功。縦格子の門扉の向こうへ逃げられたら一巻の終わりだからね。

ついに最終回を迎える次回は、羅東散歩の後半に加え、帰国予定日を過ぎてロスタイム的に散歩して見かけた猫数匹を紹介する。台湾でパスポートをなくした人にも有用な記事になると思うのでぜひ見てね!




























