サチコの最後の14日間
サチコを我が家に迎え入れたのは2003年8月29日のことでした。当時サチコは生後2〜3ヶ月の子猫でした。
オスの割に小柄で大人しい猫でしたが、大きな病気もせずに我が家の家族として暮らし、2025年6月7日に推定22歳の生涯を閉じました。
このページは、サチコが体調を崩してから死亡するまでの2週間を記録しておくものです。写真や動画、家族とのチャットやメモなどを元に時系列で記述しています。
生後間もない子猫を拾い、家族として暮らし、老いて最期を看取ることは、管理人にとって初めての経験でした。
この出来事を生涯心に留めておくために、このページを墓標とします。
旅立ちから一年が経った2026年6月7日
サチコに捧ぐ
- 排泄物の写真があります
- 放尿の映像があります
- 死亡直前の下顎呼吸の映像があります
- 死亡後の写真があります
プロローグ
あと1週間で22歳になるサチコ。
人間に換算すると104歳という超高齢だけれど、よたよたと2階の寝室に上ってきて、腕の中で丸くなる可愛い子。
5月21日の朝、台車に乗せて近所を散歩した時も、自分から地面に飛び下りて嗅ぎ回るくらい元気。気になる場所を見つけたらしいので、天気のいい日にまた連れて行く。
子猫のころから病気一つせずに来たものの、さすがに最近は高血圧と甲状腺機能亢進症を指摘され、毎日の服薬を余儀なくされている。そのほか、関節痛を我慢していては可哀想なので、月に一度、ソレンシアという新しい疼痛管理薬を注射してもらっている。
4月6日には血液検査をしてもらった。腎臓や肝臓は「ピカピカ」とまでは行かないまでも、年齢からしたらいい線行ってる方だと思う。
体重管理はなかなか大変で、老猫は放っておいても少しずつ痩せてくるから油断ならない。今年に入ってからは2月24日の3.02kgが最高記録で、直近では5月21日の2.79kg。たった230gの違いでも、これを戻すのはかなりムズカシイ。


2025年5月25日(日)
- 月に一度のソレンシア投与日。ここのところ食欲がなくなっていて、食事の量がかなり減っているので、早く回復して欲しい。かかりつけの動物病院は11時半の予約。
- マコちゃんが鼻腔内リンパ腫と診断されてから今日でちょうど1年が経った。今のところ再発の兆候はなく、とても元気にしている。
8:32[写真]
ソレンシアの効果は1ヶ月で切れるので、前回投与した4月18日から数えると少し遅いが、散歩などで見せる元気な姿がソレンシアの効果なのか、それとも平行して投与している降圧剤や抗甲状腺薬の効果なのか切り分けたくて、今月は敢えて少し遅らせた。
ソレンシアが切れて疼痛が出てきたのか、2〜3日前から元気がなく、食欲もかなり低下しているが、今日の投与で持ち直してくれれば。
11:39[写真]
病院で順番待ち。
サチコは診察台でも大人しかったが、獣医が目を離した隙に床に落ちてしまい、抗議の鳴き声を上げていた。超高齢なので受け身の体勢も取れなかったようだ。
ソレンシアのほかにはアムロジピンという降圧剤と、チロブロックという甲状腺機能亢進症治療薬を処方してもらった。これらの薬は生涯投与のつもりで続けているが、一つでも減らせればと思って今回のソレンシア投与を遅らせてみた次第。
調子が悪そうなのは心配だが、4日前には台車に乗って散歩に出かけたばかりだし、自主的に歩き回ってもいたので、きっと回復してくれると思う。
12:02[写真]
病院からの帰り道、近所の武蔵に会った。
基本的に臆病なはずの武蔵だが、サチコを見ても逃げずに匂いを嗅ぎに来た。
サチコは特に反応しなかった。黒煙ちゃんに会った時は鼻で挨拶したのに、相手がオスだから冷淡なのかな。
19:26[動画]
帰宅後は寝床に入ってあまり動かない。
構って欲しいマコちゃんが盛んにアピールしていた。
19:29[動画]
上とさして変わらない動画。
サチコとの間にマコちゃんが割って入ってくる。
マコちゃんは鼻腔内リンパ腫と診断されてから今日でちょうど1年。CHOPプロトコルを終えてからは間もなく5ヶ月になる。今のところ再発の兆候はなく調子が良さそう。だいぶ痩せてしまったのは可哀想だけれど。
21:03[写真]
まだ元気が回復したようには見えない。診察台から落ちたことが影響していないか心配だ。
2025年5月26日(月)
- 通常出勤。
- サチコの体重測定日。2.52kg(5月21日比-370g)。
7:29[動画]
いつもなら朝の巡回でデッキや廊下をうろつくのに、寝床でじっとしている。
12:09[写真]
家を出たあと妻からSignalのメッセージがあり、水は飲んだがカリカリは食べず、ちゅ〜るを少しだけ舐めたとのこと。昨日よりは調子が良さそうに見え、おしっこは決まった場所でしているそう。
※Signalはチャットアプリの一つで、もともと家族ではICQを使っていたところ、2024年6月26日にサービスが終了したため移行した。LINEはアカウントを持っていない。
※猫トイレは2階の階段ホールに設置しているが、サチコは加齢とともに階段で粗相することが多くなったため、1階の廊下にペットシートを敷いてサチコ専用トイレにしている。ただ、それでも失敗することが度々ある。
20:00[写真]
16時半ごろにもちゅ〜るを舐めたそう。普通のフードも食べてくれないかな。
20:49[動画]
それでなくとも高齢で痩せているのに、毎日これではあっという間に衰弱してしまう。
明日も変わらないようなら、また病院で診てもらわなければ。猫は絶食耐性が低いので、このままでは命にかかわる。
2025年5月27日(火)
- 8:30にエアコンクリーニングの業者が来訪予定。作業立ち会いのため半日年休を取った。
- サチコの食欲が戻らなければ動物病院を受診する。
6:48[写真]
今朝は食卓の配置がいつもと変わっているんだけど、飲んでくれるかな。
6:51[写真]
水は飲むけどやはりカリカリは食べない。これじゃ本当に死んでしまう。お願いだから食べて……。
07:10[動画]
水だけ飲んで寝床に戻ってしまった。これからエアコンのクリーニングがあるので、君たちは2階に退避だよ。
9:58[動画]
作業が終わって猫たちが戻ってきた。
俺は午後から仕事なのでこれから出勤しなければ。
20:30[写真]
仕事中にSignalメッセージがあり、今日もほとんど何も食べておらず、元気もないとのこと。妻が病院へ連れていってくれることになり、俺は18時で仕事を上がって動物病院で合流した。
俺が到着するまでの間、診察台のサチコは嫌がって身をよじったり、大きな鳴き続けていたそう。そうこうしているうちに俺が到着したので妻は帰宅。改めて診察台のサチコと対面したが、普段はされるがままになっているサチコが、この時だけは補液の点滴や注射を本気で嫌がった。これほどはっきりと拒絶するサチコの姿を見たのは初めてだった。
20:49[写真]
帰宅後、疲れて寝てしまった。今日の通院はサチコにとってダメージが大きかったかも知れない。放っておくわけにいかないとはいえ、こういうことが続くとしたら可哀想だ。
帰りしな、「もし強制給餌をするなら」と獣医がk/d缶を持たせてくれた。
血液検査の結果ももらってきた。数値からは今回の食欲不振や元気消失に繋がる原因は見えない。
2025年5月28日(水)
6:21[写真]
今朝のおしっこは少量のが3箇所あった。夜中に処理したのと合わせて6箇所。昨日の点滴が全部出た感じ。
7:16[写真]
寝床ごとデッキに出して日光浴させているところ。今朝はカリカリはもちろん、水も飲まない。
7:17[写真]
昨日は採血と点滴と消炎剤の注射だった。無理させて悪かった。
8:06[動画]
強制給餌するつもりで、昨日もらったk/d缶の中身を指ですくったが、思い直して蛇口の水で洗い流した。この痩せ細った体に、本人が望まないものをねじ込むことは、どうしてもできない。
指先に残る匂いにも興味を示さなかった。
19:15[写真]
会社から帰宅。日中は自分からデッキに出て日に当たっていたそう。
19:19[写真]
写真を撮っているとマコちゃんが割り込んでくる。5月20日に16歳になったばかりで、うちの若手みたいに思っているけど、この子も人間換算80歳なんだよなあ。
20:39[動画]
水を飲む仕草は見せるが、口元を近づけるだけで飲まない。全体的には日中少し飲んだだけだった。
歩いている足元が覚束ない。老猫の衰弱は坂道を転げ落ちるかのようだ。
21:02[写真]
妻の勧めでサチコにお別れの手紙を書いた。
今朝、指ですくったk/d缶を洗い流した時が、サチコの看取りの始まりだったと思う。人間換算で104歳になろうという生き物の胃袋に食べ物をぶっ込むことは俺にはできない。それは相手の尊厳を損なう行為だと思う。強制給餌とまでは行かずとも、せめて栄養を点滴してあげれば、もう少し長く生きられるかも知れないが、昨日の診察台で見せた拒絶的な反応からすると、サチコはそれを望んでいないように思う。情緒的にそう感じるというだけでなく、無理に水分を入れて肺水腫にでもなったら地獄の苦しみだ。サチコは本能的にそのことを察して拒絶したのではないだろうか。これから先は、自発的に食べない限り、無理に食べさせたり飲ませたりはしない。
とはいうものの、衰弱していくサチコを目の当たりにして、その意思を貫けるかは、正直なところ自分でも分からない。今までに俺が関わった誰よりも長い、22年も一緒に暮らした唯一無二の存在だから。
2025年5月29日(木)
- 通常出勤。
- 出勤前の猫散歩で慈恵院に寄ってパンフレットをもらう。いざという時、妻のみ在宅の場合は紙媒体の方がいいので。
- サチコを看取ることを今日のブログの記事に書く。
5:34[写真]
おはようございます。
水はちょこちょこ飲んでいるみたい。食べないことに対する焦燥感は胸が焼けつくほどだが、水だけでも飲んでくれるとかなりほっとする。
ちゅ〜るを3ぺろ舐めた。
10:42[写真]
妻がSignalで送ってくれた写真。水は飲んでいるらしい。
サチコは寝床で右巻きに丸くなるので、妻には床ずれしないよう時々体位交換をするようお願いした。
※右巻き:猫が丸くなる向き。右巻きは右半身が下(頭は反時計向き)になる。
16:18[写真]
妻から「ウンチした!」との報告。
口から入るものがないので小指の先ほどの大きさ。お腹の中には今朝のちゅ〜るぐらいしか残っていないはず。
17:46[写真]
少し早めに仕事を切り上げて帰宅。
夕方、妻がシリンジで水を飲ませたが、吐き戻したとのこと。誤嚥してはいけないので、口を湿らせる程度にするようお願いした。ついでに鼻の頭も湿らせておかないとね。
18:05[写真]
年を取ってからは、丸くなる時に後ろ足を畳まないことが増えた。関節痛を疑ってソレンシアの投与を始めたのはこれが理由の一つだった。投与したあともこの姿勢は変わらず、階段の上り下りもゆっくりのままだが、2階まで上ったついでに寝室の布団に潜り込んでくるようになった。
そのほか、ソレンシアの適応を調べた時に甲状腺機能亢進症が判明したのと、それを抗甲状腺薬で抑えた時に腎不全が顕在化しないこと(つまり腎不全ステージ2以下)が分かったので、何にしても対応した甲斐はあった。
18:05[写真]
看取る決断をしたことに実感が湧かず、これは何かの間違いではないのかと思えてくる。食欲が落ちてからまだ1週間ぐらいしか経っていないが、こちらの対応が曖昧だとサチコを苦しめることになるから、早まった決断だとは思わない。生き物は食べなければ生きられない。若い猫ならいざ知らず、こんな高齢で食べなくなって、どこに回復の道筋があるというのか。
あと3日で22歳の誕生日。生きて欲しいけど、決して無理をさせてはいけない。
21:55[動画]
マコちゃんのアピールをかわしつつ、サチコを撫で続ける動画。
この時間が永遠に続けばいいのに。
22:05[写真]
肉球にはだいぶ皺が入っているけど、きれいなピンク色をしていて、看取りの段階に入っている実感が湧かない。
23:18[写真]
今夜から居間に布団を敷いてサチコの隣で寝る。6月から川越の事業所へ異動が決まり、いきなり休むわけにもいかないので、日中は妻がサチコを見て、夜は俺が2〜3時間おきに体位交換などのケアをすることにした。
マコちゃんが喜んじゃって落ち着かない。
2025年5月30日(金)
- 年休でお休み。
- 6月から新しい事業所に配属されるが、サチコの看取りと被ってしまうかも知れない。突発で休ませてもらえるかは別途相談するとして、事情だけでも話しておかなければ。
6:11[写真]
食べ物はほぼ口にしなくなったけど、水は1日1回以上は飲んでいて、総量は思ったより多いようだ。
おしっこの量は通常時の半分以下になった。
6:59[写真]
……と思ったら飲んだ水を全部吐いてしまった。
一度にたくさん飲みすぎなんだよなあ。自発的なので本人に任せるけど、肺水腫が心配。
7:11[写真]
2〜3時間おきに口の中と鼻の頭を湿らせる。赤ちゃん用のお尻拭きがとても良い。
7:23[写真]
今日はマコちゃんの通院日。鼻腔内リンパ腫の予後検査(5ヶ月検査)で農工大に9:00の予約。
11:31[写真]
農工大から帰宅後、口元にウエットフードを差し出したら食べた!
嬉しいのはもちろんだが、どう考えたらいいのか。このまま自発的に食べてくれるならそれでいいし、また食べなくなったとしても取り乱さず、成り行きに任せようと改めて思う。
飼い主の務めは死期を遅らせることではなく、苦しませないことだ。
22:09[写真]
夜のまったりタイム。ソレンシアは注射してもらったので、関節痛は和らいでいるはずだが、後ろ足は畳もうとしない。
22:12[写真]
今日のサチコは水をたくさん飲み(そして吐き)、ウエットフードを5ぺろぐらい食べた。
マコちゃんの検査は異常なし。レントゲン画像に影などはなく、左右の鼻腔の透明度も高いとのこと。
※確認できる範囲で食べ物を口にしたのはこれが最後だった。
2025年5月31日(土)
- サチコの体重測定日。2.25kg(5月26日比-270g、5月21日比-540g)。
- Amazonで段ボール製の棺を注文した。
3:55[写真]
夜中、寝てたら布団に入ってきた。愛おしくて泣けてくる。
4:56[写真]
早朝、トイレに立ったのでついて行った。
息んでも何も出ない。5ぺろ分のうんちじゃ中途半端なのかもなあ。
10:29[写真]
水元に鼻を近づけているけど、飲んでいるかどうか確認できない。
飲んでいたとしてもひと舐め程度だと思う。
11:56[動画]
水場やデッキを巡回して、力尽きて寝ることの繰り返し。
15:29[写真]
ようやくウンチが出た。昨日の5ぺろ分もこれに含まれていると思う。
18:51[動画]
長考の末、水は飲まなかった。
喉は渇いているはずだが、体が受け付けないのだろう。
19:00[写真]
覚悟を決めたはずなのに、この先確実に死んでしまう現実に慄然とする。何とか生きられる方法を探ろうと考えを巡らすが、結局は一周して、もうほかに選択肢がないという結論に辿り着く。
サチコが水鉢の前で考え、一周回ってまた考えるのと同じことを、飼い主の俺もずっと繰り返している。
20:15[写真]
20時すぎにようやく水をひと舐めした。かなりほっとした。
22:23[動画]
明日は日曜日なので、いつもより時間をかけて撫でた。
寝つくまでこうしていようと思ったら……、
23:08[動画]
布団に乗ってきた。愛いヤツめ。
24:04[写真]
日付が変わって6月1日、サチコは22歳になった。
食べなくなった猫がどれだけ生きるものなのか見当もつかず、誕生日を迎えることは無理だろうと思っていた。
おめでとう、よく頑張りました。
2025年6月1日(日)
7:18[写真]
朝起きて居間の窓を開けるとサチコがデッキに出てくる。今はずいぶん狭くなった縄張りの巡回。
7:21[動画]
半ば儀式化したブラッシング。痩せて骨張っているので、痛くないようにしないとね。
水鉢に口はつけたが、たぶん飲んでいないと思う。
7:24[動画]
この動画もほぼ飲んでいないと思う。
ここまでしても飲もうとしないからには理由があるはずで、点滴で補液しようという気にはどうしてもなれない。体の水分が徐々に失われていく段階で、意識が朦朧として夢見心地になる(つまり、苦しまずに逝ける)ことを、本能的に分かっているのかも知れない。
7:48[写真]
天気がいいので家族でまったり。誕生日なのでいつもより多めに写真を撮っている。
7:53[写真]
マコちゃんもずいぶん痩せた。昨日測ったら3.33kgで、これはサチコの19歳6ヶ月の体重に相当する。単純に比較すれば、抗癌剤の化学療法で3年半分も老け込んだことになる。
7:56[写真]
久しぶりに一眼レフで撮ったお澄まし写真。
8:03[写真]
こちらはスマホで撮ったお澄まし写真。
8:03[写真]
明日から川越に出社なので、今日はずっと一緒にいるからね。
9:26[写真]
ふと思い立って、風呂場のケロリン桶に水を張ってみた。うちの猫たち、ケロリン桶の水をよく飲むんだった。
9:26[動画]
蛇口から水を流して興味を引いてみる。
9:51[動画]
水を飲んだあとは再び嗅ぎ回り。足元はだいぶ覚束なくなってきたが、動く意欲は失っていないようだ。
20:24[写真]
日が落ちたあとはほぼ寝ている。
21:24[動画]
少し息苦しそうな仕草を見せている。
もともとサチコはくしゃみや鼻水が多く、映像では鼻が詰まって口から吐息が漏れ出ているように見える。
※猫の口呼吸は危険とされている。
21:25[写真]
撫でたところで楽になるものでもないだろうが、ほかにできることはない。日中、水を飲んだのが却って良くなかったのかな。
21:47[写真]
今夜はなるべく起きていて様子を見る。
※この夜がいちばん苦しそうで、翌日以降は2〜3時に同様の症状が出ることがあった。
2025年6月2日(月)
- 異動先(川越)の赴任日。10:20時間指定で出勤。
6:39[写真]
一夜明けて、2匹とも風呂場に集まった。
サチコの口呼吸は未明には収まったようだ。2時間おきに起きて様子を見ていたので眠い。
6:41[写真]
自発的に水を飲むなら止めないけど、急にたくさん飲むと体がびっくりするから、できるだけ少しずつ飲んでくださいな(でもたぶん飲んでいない)。
8:19[動画]
朝の嗅ぎ回りと思って見ていたら、デッキでおしっこしちゃった。
トイレ(またはサチコがトイレと認識している階段や廊下)以外で粗相するのはかなり珍しい。昨日たくさん飲んだのが出てきたかな。
8:21[動画]
足取りは日を追うごとに覚束なくなってきている。
歩けなくなるのも時間の問題のような気がする。うちはオムツを使わない主義だけれど、それで対応できるだろうか。
9:05[写真]
それじゃ仕事に行ってきますよ。
できれば眼前で看取りたいけど、こればかりはどうしようもない。君の体と気分に任せる。
11:30[写真]
妻からSignalメッセージ。サチコは何回か起きてパトロールしており、水を飲みたいのか水鉢の前までは行くが、飲まないので、スポイトで湿らせてあげたとのこと。
20:11[写真]
仕事から帰宅。
14時台に柔らかウンチが少し、17時台にも柔らかウンチとおしっこが出たそう。
※17時台のウンチが最後のウンチになった。
20:20[写真]
今日は手足をマッサージしてもらったんだってね。痛いところがないなら、触ってもらってるのがいちばん落ち着くのかも知れない。
21:18[動画]
ふと起き上がって廊下に出た。廊下の突き当たりを右に曲がると階段で、2階には猫トイレがあるが、サチコはしばらく使っていない。2階のベッドに潜り込んできたのも4月30日が最後だった。
階段を諦めて部屋に戻ると、今度はデッキに出た。体の水分が失われて、少し譫妄が入っているのかも知れない。
21:51[動画]
再び撫で撫での儀。今夜は苦しくないようで良かった。動画に映っているように、指の輪っかに顔をうずめるのが好きな子。
22:23[動画]
日中は出社していて会えないので、寝る前にたくさん撫でていたら、また徘徊が始まっちゃった。
今日は赴任日で慌ただしかった。寝不足と偏頭痛で死ぬかと思った。
2025年6月3日(火)
- 通常出勤。
- 赴任先の責任者に対して、飼い猫の看取りが近いことと、急変した場合は突発で休んだり在宅勤務に切り替える可能性について説明した。
7:08[写真]
我が家の2匹はケロリン桶を水鉢と認識しているので、部屋に持ってきた。
ただ、サチコは飲まない。置くと近寄ってはくるが、水面に口を近づける仕草だけでまったく飲まなくなった。
7:29[写真]
仕事に行く時間。先導してくれたのでそのまま家を出た。
昨夜はまた2〜3時ごろに呼吸が苦しそうだった。
8:58[写真]
妻から送られてきた写真。歩き回って疲れたらしい。
19:45[写真]
妻によると、9:50と16:55ごろおしっこが出たそう。ウンチをしたそうな様子も見せていて、何度となくトイレに立っては息んでいた(時には1時間ぐらい)とのことだったので、薬局方のオリーブ油と白色ワセリンを買ってきた。便秘や毛球症に効果があるとの記事を読んだからだが、かかりつけの獣医に電話して相談したら意味がないとの回答だった。否定だけでなく理由や代替案を聞きたかったが、忙しそうな様子なのでやめておいた。獣医として診てきた中でサチコが最高齢だと言っていたし、あまり知見がないのかも知れない。
また、今日は職場に現在の状況を話して、看取りの際は突発的に休む可能性について理解を求めた。前の部署も、またその前の部署もそうだったが、誰もが「猫ちゃんも家族ですから心配でしょう」と言ってくれるのが本当にありがたい。
20:55[写真]
ダメ元でk/d缶を水に溶いて出してみたが、やはり口をつけない……。
※この時点で人間用のサバ缶でも試してみれば良かったとのちのち後悔した。「これすら食べないなら打つ手がない」というレベルの食材で試すべきだった。これから先は嚥下力の衰えが予想され、たとえ自発的であっても口にものを入れることは危険になってくるから。
22:55[写真]
しばらく寝床に座ったままで動かなかったが、ようやく落ち着いて丸まった。夜中、息苦しくなるのが怖いんだろうか。
2025年6月4日(水)
- 出勤日。現場直行のため9時ごろ家を出る。
- サチコの体重測定日。2.10kg(5月31日比-150g、5月21日比-690g)。
7:02[動画]
定例のデッキ巡回。
猫にとって縄張りは命の次に大切。昨夜も部屋や廊下を一晩中徘徊していた。
7:28[動画]
水鉢の前までは行くが、逡巡するだけでやはり飲まない。点滴で水や栄養を入れてやればまだ少しは持つだろうに、それを選ばない自分自身に対して罪悪感が半端ない。
7:37[写真]
余計な気遣いかも知れないが、廊下の隅に身を隠す場所を作った。
夜通し徘徊しているのは、死期を悟って死に場所を探しているのかも知れないと思ったから。
8:04[写真]
おしっこの量はこのくらい。飲んだ水はすでに出尽くして、体液を排出している段階だと思う。あとでシリンジの水で広がり方を再現したところ、おしっこの量は20ccぐらいのようだ。
お腹の中はすでに空っぽだからウンチはもう出ないと思う。
8:06[動画]
巡回なのか徘徊なのかよく分からなくなってきた。
マコちゃんは尻尾を踏まれてびっくり。
9:59[写真]
Signalで妻から報告。部屋の中で行き倒れていたが、自分で寝床に入ったそう。
12:36[写真]
日中は風の通る窓辺を好むようだ。最高気温は29.5℃と暑い日だが、湿度が低いので過ごしやすい。
13:57[写真]
しかし、また場所移動。飲まず食わずで動き回って、残りの力を使い果たそうとしているのだろうか。
18:22[写真]
こちらも妻からの写真。14時前におしっこをして、口を湿らせてあげたとのこと。
19:15[写真]
「休んでは立ち休んでは立ちを繰り返していたが、もう無理かも」とのメッセージ。
まだ帰宅途中なので、見ていてあげてとしか言えない。
19:38[写真]
仕事から帰宅。生きてた。
職場でサチコのことを考えると涙が出て困る。明日もこうして会えるだろうか。
20:26[写真]
風呂場の水を流すなどして興味を引くが、口元を近づけるだけで水は飲まない。もう長くは持たないだろう。
21:01[写真]
夜間も2時間おきに起きて口の中との鼻の頭を湿らせている。水分補給というよりも、口の中の粘膜がくっつかないように。
2025年6月5日(木)
6:12[写真]
立ち上がるのもやっとの状態だが、朝の巡回は欠かさない。とりあえず出てきて一休み。
昨夜も徘徊していたが、歩くのが難しくなってきたのか、居間や廊下で行き倒れていた。
6:22[動画]
再び嗅ぎ回りを再開。
力尽きるその時まで巡回を欠かさない姿に猫としての矜持を感じる。飼い主として、この子の尊厳を冒すようなことをしてはならないと改めて思う。
6:57[動画]
デッキの次は廊下の見回りに出た。しかしもう歩き回ることは限界に近い。
7:06[写真]
仕事には行かなければならない。今生の別れのつもりで写真や動画をたくさん撮った。
7:42[動画]
体の水分が失われて、意識が朦朧としているのだと思う。
前足を動かす仕草は子猫時代の記憶だろうか。仏教の修行僧のように解脱に至るのだろうか。この仕草のお陰で、無理に水や食べ物をあげることを思い留まれた。
7:43[写真]
水を飲むマコちゃん。もしサチコの口に何か入れたとしても、嚥下するのは難しいかも知れない。妻にも口を湿らす時は慎重にするようメッセージを送っておく。
7:43[動画]
マコちゃんが至近距離にいると反応する。指を出すと匂いを嗅ぐので、瞳孔は広がっていてもぼんやり見えているのだろう。
これから仕事に行くけど、無理しなくていいからね。
19:58[動画]
仕事から帰宅。よく生きていてくれたね。ありがとうね。
日中はSignalで妻と連絡を取り合っていた。9時ごろに水を少し舐め、おしっこもしたとのこと。ただ、もう立つことは困難で、介助してもすぐに崩れ落ちてしまう。口呼吸もあるとのことなので、生きて会うのは今朝が最後と覚悟していた。
※これ以前に水を飲んだのは6月1日の朝なので、ほんの少し口をつけた程度か、あるいは妻の誤認かも知れない。
20:49[動画]
寝る前の触れ合いタイム。
サチコは右巻きで寝るのが好きで、体位交換してもすぐに元の姿勢に戻るので、顔の右側にしっかり寝癖がついてしまった。
21:01[写真]
今夜がヤマのつもりでたくさん撫でて、写真や動画も撮った。
左後ろ足の肉球は、一部に色斑がかかっていて、ピンクと焦げ茶色のツートンカラーになっている。
21:31[動画]
何度も倒れながら、何とか自力で立ち上がったが、もう四つ足を維持できない。
手を添えて介助したが、数歩歩いて倒れてしまった。
※サチコが立ち上がったのはこれが最後になった。
21:32[写真]
言葉が分かればどこへでも連れていってやるのに。22年も一緒に暮らしてきたのに、ただ見ているだけしかできない。
21:32[写真]
マコちゃんは傍らで見守っている。サチコの介護をするようになってからは神妙にしていることが多い。
21:53[動画]
息苦しそうにしている。立ち上がって体力を使ってしまったか。
21:59[動画]
瞳孔は開いたままで、休んでいても目を閉じない。もうぼんやりとしか見えていないはず。
22:31[写真]
今夜最初の体位交換。もう自分で元に戻る気力もないのか、左巻きのまま動かなかった。骨皮筋右衛門だから、この向きのままでいられても、それはそれで放っておけない。
2025年6月6日(金)
- 通常出勤したが、いつ急変してもおかしくない状態なので、午後から在宅勤務にしてもらった。
5:49[写真]
昨夜も2時間おきに起きて様子を見ていたが、意識はあって呼びかけにも応じる。サチコは頑張り屋さんだね。
7:27[写真]
指の匂いで朝の挨拶。昨夜数歩だけ歩いたのを最後に寝たきりになり、朝の巡回はもうできない。
仕事に行ってくるけど、もし差し支えなければ、帰ってくるまで生きていてくれると嬉しいな。
14:01[写真]
午後から在宅勤務にしてもらって帰宅。妻の勧めでサチコと一緒の写真を撮った。
猫を抱くのは下手。
14:10[写真]
妻が洋菓子店でドライアイスをもらってきた。
14:24[写真]
左巻きは落ち着かないだろうから、強制的に体位交換するのではなく、常に下側になっている右半身を重点的にマッサージしてあげることにした。
14:26[写真]
そして、寝床ごと風通しの良い窓辺に移動した。今日も29.4℃まで上がって暑いが、風は爽やか。
14:36[動画]
16歳と22歳。
サチコは前足を踏み踏みしている。子猫時代の夢でも見ているのか、それとも終末期譫妄による幻覚だろうか。
14:40[動画]
ヒゲを撫でる風と草の匂いと鳥のさえずり。君は確かにこの世界に存在している。
16:22[写真]
最後に近いひとときを穏やかに過ごした。
19:38[写真]
夜になってから意識が混濁してきたようだ。
寝床でお漏らししたので、きれいに拭いて、敷物をバスタオルからペットシートに変えた。おしっこはごく少量で、もうほとんど出ないはずなので、このまま行く。
19:42[写真]
別れたくないよ、サチコ。俺を置いていかないでくれよ……。
19:46[動画]
朦朧としているはずなのに、指を差し出したら匂いを嗅いで、手に頬ずりしてくれた。
※サチコと意思疎通ができたのはこれが最後になった。
2025年6月7日(土)
7:04[写真]
下顎呼吸と思われる痙攣が始まったため寝室の妻を呼んだ。
もう呼びかけには反応しない。体温が下がっている。
7:04[動画]
下顎呼吸は7時ごろ始まって数回繰り返した。10分ほどで収まった。
7:16[写真]
生前最後の写真。
サチコは眠るようにして息を引き取った。呻き声を上げるわけでもなく、にゃあとも鳴かず、静かに去っていった。7:23だった。
15:38[写真]
14時より慈恵院にて読経。合同葬を選択し、火葬は明日8時からとのこと。
この写真がサチコを撮影した最後になった。
エピローグ
下顎呼吸が収まったあと、指で脇の下に触れてみると、80ぐらいだった鼓動が少しずつ弱まっていき、やがてそのテンポを維持したまま消え入るように止まった。それは22年ぶりにサチコの存在しない世界が訪れた瞬間だった。
あの柔らかな被毛に触れていたい。ごろごろと鳴る息遣いを聞いていたい。
それらが叶わない穴の空いたような世界で暮らし始めて1年が経った。残されたマコちゃんは幸いにもリンパ腫が再発することなく、化学療法と高齢のせいで痩せ細ってはいるものの、何とか元気に17歳の誕生日を迎えられた。
しかしサチコを喪った空虚感はそれとは別のところにあって、つい最近まで写真を見ることすらままならなかった。とりわけ動画ともなると淋しさと愛おしさが募り、かといって内容を確認しないことにはページを作れないので、何度も涙を堪えながら画面の向こうのサチコを見ることになった。日増しに弱っていく姿が映っているだけに辛い作業だった。
ただ、いずれはこういうことをしなければならなかったと思う。人間の法要と同じように、こういう形で墓標を建てるのは、この先も生きていかなければならない者が、過去と訣別して前へ進むために必要な儀式だったと思う。
一周忌という節目の今日をマコちゃんと一緒に迎えられるとは正直思っていなかった。あの子は思ったよりずっと強いから、サチコはもうしばらくそこで待っていてね。
