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2018-12-06
台湾の東西南北の猫(6)

 今回の台湾猫旅は天気に恵まれてラッキーだったが、11月の台湾はまだまだ気温が高く、特に3日目以降は30℃近くまで上がって、毎日熱中症すれすれで歩くことになった。特に辛かったのは最終日の台南で、1月にはあったはずのコインロッカーが撤去されて影も形もなく、駅の行李房(手荷物預かり所)は朝早すぎて営業時間外。5日分の疲れが溜まった帰国日に、リュックを背負ったまま4時間半も歩くのは本当にきつかった。
 しかし猫旅2日目(11月13日)の俺はまだそれを知らない。この日の玉里は雲が多く、たまに日が差しても空が白んですぐに隠れる程度。気温も23℃ほどと過ごしやすい。前回の記事の最後に紹介した猫だくさんの廟所は華山寺といい、元は日本統治時代の1914年に浄土宗の布教所として開設されたそうだ。今なら猫の布教所とも言えそうな廟所をあとにして、残りの時間は去年1月の散歩の記憶を辿り、いくつかの路地をはしごしてみることにした。瑞穂散歩が押したため、玉里の滞在時間はあと50分しかなかった。
 民家の蔓棚の下にぽつねんと佇む猫発見。 玉里鎮の猫

 ちょこんとしていたのはクリーム猫。あれは不審者を見る目つき。
玉里鎮の猫

玉里鎮の猫

 ……と思ったら近寄ってきた。嬉しいねー、いい子だねー。
玉里鎮の猫

玉里鎮の猫

 そして再び同じ目つきで止まってしまった。近眼だから近寄ってきただけとか?
玉里鎮の猫

 一度来た街だからと舐めてかかっていたら、行き止まりの細い路地に迷い込んでしまった。中華路へ出たいんだけど、どう行ったらいいかなあ。
玉里鎮の猫

 「あなたが左手に持っている、そのかまぼこ板みたいなものは何?」
玉里鎮の猫

 つまりggrksと言いたいわけだね。
玉里鎮の猫

 そんな俺たちのやり取りを眺めるキジ白と茶トラ。
玉里鎮の猫

玉里鎮の猫

 駅へ向けて中華路に入り、横丁へ視線を向けると、奥に佇む生き物と目が合った。
玉里鎮の猫

 きょとんとした顔つきの三毛ちゃん。意図せず覗いた横丁だったが、帰国してから調べたところ、2017年1月に来た時にも訪れた場所だった。あの時は4〜5匹見かけたが、この日はこの子だけ。
玉里鎮の猫

 玉里10:31発の太魯閣号で台東へ向かう。
 台東線(花蓮~台東)は日本統治時代の1926年に開業した。当時まだ北廻線(蘇澳新~花蓮)や南廻線(台東〜枋寮)は存在せず、台東線は他の路線から孤立した区間だった。当初の花蓮駅や台東駅は海運と接続するため海岸付近に設けられ、市街地も港と駅を中心に形成されていた。時代が下って1980年に北廻線が開通する際、海へ向けて直角に設置された花蓮駅は直通運転の足枷になった。無理に線路を敷くと急カーブになり、距離も嵩んで高速化の妨げになるので、市街地から2kmほど内陸に花蓮新駅が設置された。その結果、線形は改善されたが、市街地から離れた原野のような場所に駅ができることになった。これが現在の花蓮駅であり、海辺にあった旧駅は1982年に廃止されている。新しい花蓮駅は設置から35年以上が経ち、市街化も進んでいるので、少なくとも食泊について不便を感じることはあまりない。
 台東駅の場合も事情は同じだ。1985年に南廻線が部分開業した際、花蓮方面からの列車を直通させるため、台東(旧駅)より6kmほど内陸の本線上に卑南駅を設置して分岐することにした。これによって卑南〜旧駅はいわゆる盲腸線となり、台東市街へ向かう乗客は区間列車に乗り換えなければならなくなった。1992年に南廻線が全通すると、卑南駅は台東新駅と改称し、さらに2001年には台東駅と改称された。同時に旧駅へ向かう盲腸線が廃止されたため、台東市街は鉄道の通らない街になってしまった。
 説明が長くなったが、そのような経緯で台東駅と台東市街は離れていて、過去3回ほど猫散歩の候補地になりながら、うまく旅程に組み込めずに断念していた。廃止された盲腸線の代わりを担っているのはバスとタクシーで、どちらも駅から市街地まで20分ほどかかる。新しい台東駅の周辺は遅々として開発が進まず、未だに広大な更地がいくつも残っていて寒々しい。花蓮にしても台東にしても、鉄路局の一方的な都合で鉄道を取り上げられた市街地の住民が、反対運動を起こさなかったのだろうかと思うが、そのような記録は見つけられない。台湾においても鉄道は斜陽の乗り物なのかも知れない。
 台東には11:10に到着した。市街地へ向かうバスは11:25の発車で、ほとんど待つこともなく、時間のロスは最小限で済んだ。鉄道が廃止されたあとの台東旧駅は台東轉運站(バスターミナル)に衣替えしていて、多くの路線が乗り入れている。俺が降りたのはその一つ手前の中央市場というバス停で、そこからしばらく市街地を歩いてみたものの、スクーターが多すぎて猫を探すこともままならず、寂れた駅裏へと移動。最初の猫を見つけたのは、それから間もなくのことだった。
台東市の猫

台東市の猫

 屋根の上に子猫を見つけて喜んでいると、地面の三毛が細い目でこちらを見ていた。最下段のおっぱいが見えているので、お母さんかも。
台東市の猫

台東市の猫

 不審な気配を察してもう1匹追加。
台東市の猫

 再び屋根の上。キトゥンブルーが消えているので、生後4ヶ月ぐらいかなあ。
台東市の猫

 今回の猫旅では頻繁に子猫を見かける。日本では多くの猫が春に繁殖期を迎え、夏から秋にかけて子猫が増えるが、台湾は一年を通じて温暖なので、年中無休で繁殖期なのかも知れない。
台東市の猫

 「ずいぶん雑な仮説だね」
台東市の猫

 子猫の次は、地面を嗅ぎ回る茶トラ。
台東市の猫

 おおっと、私は怪しいものではありません。美味しいカリカリも持っていますよ。
台東市の猫

台東市の猫

 しばらく逡巡したのち、待機モードへ移行した。東西南北制覇の「東」をコンプリートしつつ、台東散歩はまだ続く
台東市の猫

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