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2019-01-17
台湾の東西南北の猫(16)

 台湾猫旅4日目(2018年11月15日)、前回の記事では、台西で17匹の猫に会ったあと、バスに乗って西螺へ向かうところまで紹介した。西螺は2018年1月にも訪れたばかりだが、1年も経たないうちに再訪したのは、前回の滞在時間が50分と短く、急ぎ足で疲れた記憶しかなかったからだ。西螺の延平老街と呼ばれる一角は、日本統治時代の街並みが比較的良い状態で保存されていて、大正~昭和初期にタイムスリップした気分になれる。しかもそこに猫がいるとなれば、そんな歩き方ではもったいない。
 しかし冬の日は短く、15時に到着した西螺の街は、すでに日が傾き始めていた。何本かある斗六行きのバスのうち、遅くとも17:45発のに乗ればいいと考えていたが、所詮は田舎町であり、そんなにいても間が持たないし日も落ちる。結局は今回も70分という短い滞在になってしまった。
 なお、猫には3匹会えた。
西螺鎮の猫

 向こうに見えた時点で逃げかけていた茶トラ。流し撮りの練習をさせてくれてありがとう。
西螺鎮の猫

 「おう」
西螺鎮の猫

 亭子脚の一角で、醤油店の客引きが手持ち無沙汰にしていた。
西螺鎮の猫

西螺鎮の猫

 茶トラ白の背後に並ぶのは、西螺名物の黒豆醤油。色々な種類があるようだね。
西螺鎮の猫

 「ここの醤油は日本のとはちょっと違うんだ。大粒の黒豆をかめで半年も寝かせるの。甘みがあって美味しいから、ひとつ買っていっておくれよ」
西螺鎮の猫

 西螺の醤油は有名だが、液体は飛行機の機内に持ち込みめないから、日本に持ち帰るには具合が悪い。鳴いて訴える茶トラ白の頭をひと撫でして、その場を辞去した。
 早くも影が伸びた道端に、この日最後の猫発見。
西螺鎮の猫

西螺鎮の猫

 台湾糖業鉄路の廃止路線を観光用として復活させる構想があるようだ。高鉄雲林駅や虎尾、西螺、斗南などを結ぶそうだから、将来、乗り鉄として再びこの街を訪れることがあるかも知れない。醤油店の客引きは、その時また店先で俺を呼び止めてくれるだろうか。
西螺鎮の猫

 夕闇迫る西螺の街をあとにしたのは16時すぎ。台西客運の7133系統で台鉄の斗六駅に出て、潮州行きの自強号に乗り、宿泊地の台南に到着したのは18:06だった。
 台湾の東西南北制覇のトリを飾る台南散歩は、翌朝7時に安平老街をスタートすることにしている。安平老街は台南駅からバスで30分かかるので、宿もそこで探せば良かったわけだが、最終的には台南後站近くの学生街に建つ掘旅青年旅舎に決めた。2018年1月の猫旅でも利用した宿で、基本的には二段ベッドのドミトリーだが、洒落た個室も何部屋か備えている。従業員は流暢な英語を話すので、俺がろくに話せないことを除けば、意思の疎通もスムーズだ。宿泊料金は1,900元だから、この時のレートで6,900円くらい。安平老街にも民宿はたくさんあるが、どこも可愛い系のブリブリデザインで、日本におけるラブホテルをイメージしてしまって落ち着かない。近隣にコインランドリーがあることも条件の一つだったが、こちらは昨夜新竹で済ませたので必要なくなった。
 思えば来台してからというもの、宿でゆっくりできたことはほとんどなかった。初日に泊まった瑞穂温泉はいい湯だったが、夜遅くに到着したので充分に堪能できなかったし、2日目の高雄も3日目の新竹も洗濯で忙しかった。
 19時前に宿に入り、何もすることがなくなったこの夜、俺はコンビニで買った台湾啤酒ビールを2本飲んで早々に床に就いた。台湾で酒を飲むのはこれが初めてだった。
台南市の猫

 ……そんな一夜が明け、ついに帰国日となった11月16日、台南駅から大台南公車の2系統に乗り、安平古堡バス停に降り立ったのは7時を少し過ぎたころだった。
 赤煉瓦の老街に似合うのはやはりレッドタビー?
台南市の猫

台南市の猫

 おお、あれに見えるは安平古堡の城壁じゃないですか。
台南市の猫

 「安平古堡というのは1624年、オランダ統治時代に建設された、台湾で最も古い城堡です。煉瓦の城砦で広く知られていますが、大部分は日本統治時代に修復あるいは改築されたもので、オランダ時代に建てられた城砦はほとんど残っていないのですよ」
台南市の猫

 案内役の三毛は匂い付けに忙しい。縄張り巡視も兼ねているようだ。
台南市の猫

 がりがり。
台南市の猫

台南市の猫

 ご飯の時間が近づいているのか、付近から盛んに猫の声がする。どこの国も猫のご飯は朝7時なのね。
台南市の猫

 ほら、黒も来た。
台南市の猫

 「いや僕はただみんなに会いたくて」
台南市の猫

 もう一方の黒はベンチの下でちんまりしている。2018年1月の猫旅では大雨に降られ、散々だった台南でいったいどれだけの猫に会えるのか、胸を膨らませつつ散歩はさらに続くのだった。
台南市の猫

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2019-01-16
私のパイプ

 昨日から二日間の休暇は引っ越し関連の準備が目白押しで、平山と分倍を行ったり来たりしただけで終わった。今回の引っ越しはいつもより格段に工程が多く、今までのように、当日までのんびり猫を探すようなことはできないかも知れない。時間は作れても体力が持たない。最近は寒いせいか腰も痛く、この時期に悪化でもしたら洒落にならん。
 今月末に香港台湾プチ旅をぶち込んだのは、俺の不注意としか言いようがない。もともと昨年10月下旬ごろ引っ越す予定だったのに、想定が甘かったせいで、来月中旬までずれ込むことになった。しかも往路には香港エクスプレス航空という叩き売り系の航空会社を選んだので、フライトの変更には高額な手数料がかかるしキャンセルもできない。旅程を変えるなら、事実上チケットを放棄するほかないわけだが、2016年にも一度放棄したことがあるので、同じことを繰り返すのはイヤだった。
 まあそんなことはどうでもいいんだが、とにかく腰が痛いので、今日は散歩せずに、新居の掃除だけして帰ってきた。以下に紹介するのは昨日見かけた猫たち。
府中市の猫

 新居近くに住む黒煙ちゃん。今のところ7割ぐらいの確率で会えている。
府中市の猫

府中市の猫

 しかもとてもフレンドリー。会うと毎回転がってくれる。
府中市の猫

 昨日はお昼前から時間が空いたので、久しぶりに立川の外れまで足を伸ばしたんだが、曇って暗くて寒くて、おまけに途中から雨まで降ってきた。猫の方もまったく振るわず、7.6kmも歩いて見かけた猫はわずか4匹。俺はもう台湾に移住した方がいいのかも知れない。
 あれに見えるは団地のサバ白。8ヶ月ぶりだけど元気そうで何より。
立川市の猫

立川市の猫

 大きな声で鳴きながら大白斑の黒白も現れた。悪いけど今日はお土産ないんだよ。
立川市の猫

 「マジですかー」
立川市の猫

 団地の2匹のあとは歩いても歩いても猫影まったくなし。勝手口に張り付く茶トラに遭遇したのは、1時間10分後のことだった。
昭島市の猫

 動いてもいいことなんかない寒空の下。目を閉じてじっとしている。
昭島市の猫

 この場所で見かけたことは何度かあると思うんだが、帰宅してから調べたところ、意外なことに直近は2016年3月だった。もう少し最近のことだと思ってた。
昭島市の猫

 この日最後の猫は麦わら。
昭島市の猫

昭島市の猫

 逃げるでもなく、懐くでもなく、パイプの上に張り付いたまま動かない。具合でも悪いの?
昭島市の猫

 ……と思ってよく考えたら、このパイプ、温水が通っているんだ! 君はいい場所を知っているねー。
昭島市の猫

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2019-01-14
台湾の東西南北の猫(15)

 台北、台南、台東があるのだから、きっと台西もあるはずだと確信したのはいつのことだったか。はっきりと思い出せないが、台湾のことなどほとんど知らない高校生のころだったかも知れない。当時はろくに授業にも出ないで楽器を吹くか麻雀するかの生活で、字牌のような地名だなと思って自宅のブリタニカを見たら、東南北と中はあったが、西と白と発は載っていなかったように思う。今になって考えれば、その意味では浦和の方が強力なんだけれども、当時まだ埼京線は開業していなかった。
 台湾猫旅の4日目(11月15日)、新竹市から始まった猫探しは、お昼すぎには牡蠣の産地として名高い雲林県台西郷へ移動。街中に山積みになっている牡蠣殻は、食べるなり加工するなりして出たゴミだと思っていたら、牡蠣の養殖に再利用されているという(前回の記事参照)。集められた牡蠣殻に穴を開け、紐を通したものを日本では採苗連、台湾では寄蚵苗と呼び、どちらの国でも人間の手で一つ一つ作られている。
 時には猫の手も借りるらしいけどね。
台西郷の猫

台西郷の猫

 「你好、こんにちは」と日本語を交えてカメラを示すと、こちらの素性と意図を察してくれたようだ。二人の小姐はにこやかに作業を続け、猫は尻尾を立ててやってきた。
台西郷の猫

 すごいな、尻尾が立ちすぎて反ってる。よほど人懐っこい子なのかな。
台西郷の猫

台西郷の猫

 こんにちは、私は日本の猫好きです。写真を撮らせてくださいな。
台西郷の猫

 「兩手空空的日本人來了……」
台西郷の猫

 尻尾下がっちゃった。なんでー。
台西郷の猫

 大きな廟は鹽埔鎮海宮といい、巡海元帥と媽祖様が祀られているそうだ。猫が遊ぶには広すぎるかと思ったが、隅っこの方で丸くなっているのが見えた。遠すぎてこの写真じゃ分かんないかな。
台西郷の猫

 これでもまだ遠いか。
台西郷の猫

台西郷の猫

 「何の騒ぎです?」
台西郷の猫

 車の下からこちらを窺う視線あり。まだ若い子だね。
台西郷の猫

 資材の陰にも1匹。茶トラ白の兄弟かな。
台西郷の猫

台西郷の猫

 雲林県は低地が多く、雨が降って浸水するとなかなか水がけないので、用水路とは別に、こうした排水路が縦横に張り巡らされている。落ちたら二度と這い上がれないので、これ以上近寄らないでおこうか。
台西郷の猫

 時刻は13時半になり、バスの発車まであと40分。頼みの牡蠣料理店が見当たらないので、お昼ご飯を食べずに歩き回っていたが、そろそろお腹が空いてきた。最悪コンビニで何か買えればそれでいいと思い、街なかへ戻ってくると、日陰に2匹の猫が佇んでいた。
台西郷の猫

台西郷の猫

 近寄ったら警戒して身を低くした。俺が食べたいのは牡蠣であって君じゃないから安心して。
台西郷の猫

 「你在說什麼啊?(何言ってんの?)」
台西郷の猫

台西郷の猫

 クールな茶トラは呆れたようにこちらを眺めている。つまんないジョークで済みませんね。
台西郷の猫

 道端の巨大金桶に2匹の猫がつどっていた。
台西郷の猫

 桶の下のキジトラはご飯中のようだ。黒白は順番を待っているのかな。
台西郷の猫

台西郷の猫

 「君の分はないから、ほかを当たってくれるかな」
台西郷の猫

 台西最後の猫は、限りなく黒に近いブラックスモーク。中国語では(たぶん台湾華語でも)そのまんま黒煙色というそうだ。
台西郷の猫

 この街は君の仲間がたくさんいたので楽しかったよ。ありがとうね。
台西郷の猫

 結局、牡蠣料理は食べられず、民族路のセブンイレブンで鴨肉サンドやバナナを買い込み、強い日差しの下でバスを待つ。台湾のバスは手を上げないと止まってくれないので、日陰で休むということができず、この10分間は暑くて辛かった。しかも気を抜いた瞬間に通り過ぎてしまい、全力で追いかける羽目になって死ぬかと思った。
 かつてはこの街にも台湾糖業鉄路の駅があり、旅客輸送も行っていたらしいが、とうの昔に廃止され、今は台西客運のバスがその代わりを務めている。糖鉄の路線のごく一部は現在も残っていて、冬の収穫期だけサトウキビ列車が走っているのは2018年1月の猫旅で紹介した通り(こちら)。線路端で出会った猫たちは記憶に新しい。
 糖鉄の後を継いだ台西客運は、雲林県中西部にきめ細かな路線網を持つが、大部分が閑散路線で運転本数も少なく、旅行者には使いにくい。その中でも抜きん出て充実しているのが四湖〜台西〜台中を結ぶ9016系統で、日中1時間毎の運行はむしろ過剰サービスではないかと心配になるくらいだ。この日の宿泊地は台南で、いずれどこかの鉄道駅に出なければならないが、9016でそのまま台中へ向かったのでは、2時間40分もかかって日が暮れてしまう。遠回りにならない程度に、もう一箇所どこかで猫散歩しようと考えた結果、2018年1月にも訪れた西螺に決めた。このバスなら1時間で連れて行ってくれるからちょうど良かった(続く)。
台西郷の猫