昨日買えなかった春菊は年明け開店直後のライフで買えて事なきを得た。一把386円という値段が安いのか高いのか、普段あまり野菜を買わない俺にはよく分からなかったが、妻によれば以前よりも束が小さくて値段は2倍なのだそうだ。羊の匂いを嗅ぎつけ、はやるマコちゃんを台所から締め出して、今は夕食の仕度を終えて一休みしている間にこれを書いている。
猫の方は昨年暮れの伊豆七島の2回目を。前回の記事では調布市内と大島で見かけた猫たちを紹介したが、大島では御蔵島へ飛ぶヘリコプターの出発まで3時間ほどあったので、空港から3km離れた岡田の集落へ足を延ばしてみた次第。ちなみに大島で猫探しの散歩をするのはこれが2回目で、前回となるとちょうど1年前の12月15日から16日にかけて島内のいくつかの集落を訪ねた。この時も今回とまったく同じ旅程で、調布から大島へは新中央航空101便に乗り、島内を散歩したあと14:05発の東邦航空52便(〜32便乗り継ぎ)で御蔵島へ向かう算段だったが、寒冷前線通過の影響により大島に着いた時点で天気が荒れ模様で、無理に御蔵島へ渡ったとしても暴風雨で猫なんか見つけられそうにないし、帰りの便が欠航になって島に閉じ込められる可能性もあったので、泣く泣くキャンセルしたのだった。
ツイていないことに今回もこの日の夕方から寒冷前線通過による荒天が予想されていて、無事に猫を見つけて年内に帰宅できるか予断を許さなかったが、まだ起きてもいないことを心配しても仕方がないのでまずは散歩続行。1年ぶりに覗いた路地で去年の猫に再会できたら嬉しいなーなどと思いながら歩いていると、果たして道端にそれらしき猫影が佇立しているではないか!
まるで1年前にタイムスリップしたような絵だなあ。
……でもなんか冷静。もっとこう、天真爛漫にまとわりついてくる子じゃなかったっけ。
海の見える高台に上ってみると、民家の庭先でキジ白が背中を温めていた。
この子は間違いなく去年も会った子。激しい雨の降る中ではあったが、1匹でも猫に会えれば大島町がクリアになると思い、リュックをずぶ濡れにして見つけたのがこの子だった(こちら)。その翌日、東海汽船で大島を発つ前にも見かけており、この子には重ね重ねお世話になった。
茂みでお昼寝中の黒白を見つけてシャッターを切っていると、気配を察して目を覚ました。
人懐っこすぎて写真を撮るのも至難の業。通りすがりの住民に名前で呼ばれていたので、きっと親切にしてもらっているのだろう。
冷淡な反応にようやく気づいた俺。この子は去年の茶トラとは別猫。道理でいくら気を引いても乗ってこないと思ったよ……。
この日の御蔵島の日没は16:40ごろで、ヘリコプターが到着する14:40から2時間もあるので散歩には充分のように思えるが、これから天気が崩れるというので早々に暗くなることが予想される。前線通過に伴って少なくとも翌日午前中までは雨の不可避なことは確実で、雨だけならまだしも20m/s近い強風になりそうなので、今を逃したら猫を見つけることは絶望的だ。
なので猫を探すならヘリが着いてからせいぜい1時間。今まで6回も弾き返された御蔵島にようやく上陸し、今回もダメだったらもう立ち直れないとどきどきしながら歩いていると、拍子抜けするほど呆気なく、商店の向こうから茶トラが出てきて道端に座った。
背後に気配を感じて振り向くともう1匹。あれはいわゆる一つのポインテッド・キジトラというやつだね。
人口320人の利島村に猫がいるのだから、ほぼ同じ300人の御蔵島村にもきっといるはずと信じていた。時には上陸までして空振りだったり、また時には悪天候のため大島で引き返すなど、東京都を制覇する中で最も苦労した自治体だった。まさか青ヶ島の何倍も手こずるなんて思ってもみなかった。
通りすがりの島民に聞いたところ、この子もさっきのカラーポイントも道路沿いの商店が面倒を見ているそう。ほかにも2匹ぐらいいるとのことだだったが、しばらく待っても現れなかった。
最後に海の向こうの三宅島をバックに1枚撮ってその場を辞去した。時刻は15:50になり雲も厚くなってだいぶ暗かったが、幸いなことに雨も風もまだなく、小さな集落を歩き回る余裕はありそうだった。火山島ゆえ平らな土地のない急傾斜地ばかりだったが俺の足取りはすっかり軽くなっていた。