早朝4時、アラームの音とともに爽やかに目覚め、寝坊助な猫たちを叩き起こして身仕度を調えた。今日の訪問地は秩父だ。
天気予報の通り、空模様は芳しくなかった。平地なら何とか持つかも知れないが、秩父の奥には秩父山地が控えていて、雲のかかりやすい山間は雨になる可能性が高い。なるべく雨に当たらずに用を済ませられるよう、始発のスジで向かうことにしたのだった。
東飯能から乗った西武秩父行きの電車は久しぶりのボックスシート。出発前に買っておいたお弁当を食べながら車窓を眺めていると、正丸峠に差しかかる辺りで雨が降り出した。雨雲は峠付近に纏わり付いている程度で、正丸トンネルの先は止んでいたが、秩父市内に到達するのは時間の問題と思われた。現地に到着したのは6:50で、曇り空のため写真を撮るにはかなり暗かったが、そういうわけで即座に散歩を開始した。
最初の猫はとある寺院に佇んでいた。
巡回帰りに一息ついているのか、それともご飯を待っているのかな。
待ち人が俺じゃないことは分かっているけど、少しだけ付き合ってくださいな。
薄い反応のように見えるが、実はとても人懐っこくて、たくさんごろごろすりすりしてくれた。なにぶん暗すぎて、そういう場面の写真はみんなブレて、使いものにならなかったということ。
お寺のサビ猫と別れて間もなく、とある民家の敷地で茶トラ白発見。これは……。
地方都市特有のうらぶれた飲み屋街の、さらに裏。昔はこういう路地には野良犬がうろうろしていたものだが、今はカラスと猫ぐらいしかいない。
切れ長の目元が神猫1号に似ているな。あいつにはもう会えないんだろうな。
時刻は8時半を回り、本来なら明るくなるところ、雲が厚くなって暗くなってきた。そろそろ雨が降り出しそうに思えて、駅に戻ることにして歩いていると、民家の入口に佇む白い物体に気づいた。
上目遣いに睨んでいる。写真ではとても分かりにくいがオッドアイ。
秩父観光の拠点駅は池袋と直結している西武秩父だと思うが、木造でこぢんまりした駅舎を持つ御花畑の方が、古い街並みに溶け込んでいるように見える。天気が怪しくなって帰宅する方向で検討していたが、まだ降り出してもいないのに慌てて帰ることもないだろうと思い直し、秩父鉄道の御花畑から熊谷行きの電車に乗った。どこかで1駅歩くつもりで、何となく降り立ったのは長瀞だったが、雨はその時すでに追いついていて、散歩は断念することになった。梅雨時らしい、細かくて静かな霧雨だった。
長瀞で見かけた猫は下記の通り。
オッドアイの白猫のほか、黒いのもいたが、どちらもすごい勢いで逃げてしまった。ここでようやく帰る決心がついた。
長瀞から帰るなら、秩父に戻るより、寄居を経由した方がたぶん早い。そう思って後続の電車で寄居に移動したわけだが、このぐらい田舎まで来ると列車の接続が恐ろしく悪く、八高線の列車が来るまで1時間以上空いてしまった。雨は少しずつ強くなっていたが、ホームでぼけっとしているのもつまらないし、かといって駅前は過疎ってしまって一服できるような店もない。仕方がないので濡れるに任せて、とある猫拠点へ行ってみることにした。
写真を撮った以外にもたくさんの猫がいて、つい長居してしまった。服もカメラも盛大に濡れたけど、来てみて良かった。