台風19号で避難する時、人間用には巨大おむすび、猫用にはカリカリの袋を持ち、ミネラルウォーターと一緒にリュックに詰めて持っていった。咄嗟のことだったので焼海苔などの用意はなく、おむすびの中身は佃煮で、塩を振っただけの簡素なものだったが、避難先の車中でそれを食べたら、夫婦揃って飛び上がるほど美味しかった。考えてみたら米は台湾で買ってきた池上米だし、塩は舳倉島の海塩だから、美味しくないわけがない。猫を探すためだけに様々な土地を歩いてきたが、こんな形で恩恵にあずかろうとは思ってもみなかった。感謝を込めて、池上郷の猫を訪ねた記事はこちら。舳倉島の猫を訪ねた記事はこちら。
今日は天気が悪くて散歩をお休みしたので、先月の台湾旅行で見かけた猫たちの続きを紹介する。9月下旬の台湾といえばまだ真夏だろうと思い、猫探しはあくまでついで程度に考えていたが、予想よりもだいぶ涼しかったせいか、最終日(24日)の瑞芳や菁桐ではたくさんの猫に会えて、掲載回数も5回に渡ることになった。ちなみにこの日の瑞芳の最高気温は26.2℃。日差しもほとんどなく、暑さに苛まれることはなかったが、雨がちだったことから湿度は高かった。
最終回の今日は平溪線の終点・菁桐駅で暮らす猫たちから。前回の記事の最後に紹介した黒球球は2016年1月からの顔見知りだが、それ以外の多くの猫は去年3月のプチ旅以来の再会。菁桐炭鉱は1995年に閉山したが、役目を終えたホッパーは観光資源として残されていて、そこには見覚えのあるキジトラが佇んでいた。
柔らかな眼差しの小貴妃は去年3月、雨の中でモデルになってくれた子。菁桐でいちばん会いたかった子。
観光客に撫でられまくっているせいか、ここの猫たちはおしなべて人懐っこい。猫食堂で昼食を済ませて外に出ると、小貴妃もあとをついてきた。
こちらはクラシックタビー。名前なのかどうか分からないが、路地に貼られた紹介パネルには「小賤貓」と書かれていた。おちびちゃんみたいな意味かな。
菁桐坑バス停から台北客運795路に乗ったのは13:55。40分ほど山道を下ると台北捷運の木柵駅前に到着し、素直に先へ進めば25分ほどで松山空港に行き着くが、その前に買い物を済ませなければならない。一つは西螺で買うつもりだった黒豆醤油、もう一つは冒頭で紹介した池上米だ。どちらもお土産用などではなく、家庭の台所にあるようなものなので、猫探しのついでに全聯福利中心(という名のスーパー)で探すことにして、途中の麟光で途中下車。隣駅の六張犁まで歩くことにした。
時刻は15時を過ぎていて、屋根の上の猫は前後不覚にお昼寝中だった。
舌を鳴らして呼んだら寝ぼけまなこでこちらを一瞥。對不起、把你吵醒了。
騒がしい表通りを避け、裏へ裏へと伝って歩いていると、行く手の車の上で猫がお昼寝していた。
発音の難しい台湾華語だが、文字は日本の旧字体とほとんど同じなので、意味はとても分かりやすい。垃圾というのはゴミのこと。こういう場所なので不法投棄が多いのだろう。
よくよく周囲を見回すと、車の上にもう1匹。もしかして猫の園に迷い込んだ?
やさぐれたのが多いかと思っていたら、意外にみんな毛艶が良くて、しかも人懐っこい。やっぱり台湾人は動物に優しいんだな。
夏休みの台湾旅行はこれでおしまい。このあと六張犁駅近くの全聯福利中心で醤油と米を買い、台北松山空港から中華航空222便で帰国の途についた。醤油は可愛らしい店番のいる三珍醤油ではなく、その隣に本店のある瑞春醤油の製品だったが、切り干し大根と薩摩揚げの煮物に使ったらとてもいい味になった。池上米は冒頭に書いた通りで、冷めてもモチモチ感が失われず、おにぎりやお弁当にも最適な米だと思う。
来月は猫を探すためだけに(ついでに台湾鉄路全線完乗も兼ねて)、4泊5日の旅程で訪台する。