立川でまた一つ猫民家が解体されてしまった。この地で猫散歩を始めてから8年が経ち、景気も回復基調の折、街並みが更新されていくのは当然の理だが、慣れ親しんだ家や猫たちが忽然と消えてしまうのはやはり淋しい。
先日廃業した七三駐車場にはロープが張られて入れなくなった。駐車場が閉鎖されたことや、ワンルームマンションの建築計画が掲出されたことは現場で見て知っていたが、ロープが張られたことで明示的に立ち入りが禁止され、七三の母や婆さんを見ても接近することは難しくなった。
ロープの件を俺に教えてくれたのは、以前から七三ファミリーの面倒を見ていたという、近隣住民の方だった。その方から届いたメールには、駐車場の現況や七三ファミリーの思い出が精微な文章で綴られていた。季節の良いある日、部屋の窓を開けていると、いつの間にか七三の父や子供たちが入ってきて、のんびりお昼寝していたというエピソードなど、メールを読みながら懐かしさで頬が緩んだ。その方の家からは七三駐車場が俯瞰できて、無邪気に遊ぶ家族の姿を微笑ましく眺めていたそうだが、現在は母と婆さんを残して誰もいない。そして今般ついにマンションが建つに及び、塀の上を歩く猫の姿を見ることすらできなくなると、淋しい心情を吐露されていた。母と婆さんは今もその方が毎晩ご飯を与えているとのことだった。2匹とも元気にしているようだが、そんなわけで今後はほとんど会えなくなるものと思う。
今日はゆっくり1号邸の主人にも会った。先日訪れた時に一つ増えていた墓標は、この家で暮らしていた薄色二毛のものだそうだ。ゆっくり邸の主人は立川の猫界に顔が広い人で、その人が「ずいぶん減った」と言うのだから、このコースで猫に会うことが本格的に難しくなってきたことは間違いない。
今日は夜勤のため正午の出発。自転車で駅に向かっていると、定点の猫駐車場に常駐のキジトラがいた(ただしとても分かりにくい)。
散歩開始後1匹目は庇の下の茶トラ。微妙なアングルだが、いてくれただけでありがたい。
微妙なアングル2匹目はサビ。あの子はよく会うけど性格変わんないなあ。
通りすがりにほんの一瞬目が合っただけなのに、めっちゃ警戒してる。
道路向かいのアパートには相方の三毛の姿もあった。隣の家が取り壊されてなくなっていたが、猫たちの動向に影響はなかったようだ(1年3ヶ月前の様子)。ちょっと来なかっただけなのに、街というのは本当に目まぐるしく変わっていくものだな。
冒頭の七三ファミリーの件、彼らの本名は何だったのだろうと思って聞いてみたら、面倒を見ている方々の間でも「七三の父」とか「母」といった呼び方をされているとのこと。嬉しいような、こそばゆいような気持ちになった。