四国・台湾猫旅の写真は18回連載のうち10回分まで準備できていたが、今日は散歩をお休みして作業を進め、何とか12回分まで終わらせてから出勤した。もう少し頑張りたいところだが、机に向かっているうちに腰が痛くなってきて、それを我慢すると夜勤がとても辛くなるのでほどほどにしておいた。帰国してから3週間あまり経って旅の記憶もだいぶ薄れてきているが、このタイミングでたくさんの写真に触れると様々な思い出が一気に蘇ってきてとても懐かしい。出発を待っている時の3週間は焦れるほど長かったのに、終わってからの3週間の何と短いことか。13年に渡る猫散歩も今はまだ現在進行形だから総天然色を維持しているが、やめた瞬間から次第に色褪せて、いずれ記憶の彼方に消えていく運命なのだろう。しかし猫たちが一時代を生きた証跡はここに残っている。
今日は晴れてこそいたものの風が強く、黄砂も飛来していたのでどのみち散歩には向かない日だった。探せば猫には会えただろうが、何時間も外に出ていたら全身真っ黄色になっていたかも知れない。昨日も風の強さを除けば今日とさして変わらず、高層に薄雲がかかって何となく霞んだ空模様だった。朝食後の訪問だったせいか、牛乳バトル会場の猫たちも俺が食べているものにはあまり興味を示さず、牛乳好きのポイントさんだけが鋭い反応を見せた。
そんな中で、どうもこの子はほかの猫と反りが合っていないように見える。何となく孤立しているように感じたのは1~2年ぐらい前からかなあ。いちばん気になる子なので上手くやって欲しいんだけれども。
昔よりだいぶ減ったんだから、残った同士で仲良くやってくださいよ。
……といっても、猫に牛乳を飲ませるためにわざわざ日高くんだりまで来てるわけじゃないのでね。異種乳なんだから飲みすぎちゃダメだよ。
初めてこの子に会ったのは2015年秋。その年の生まれなのか微妙なところはあるけど、だとしたら今年で9歳。この子にもお土産をと思っていたら、カメラを向けているうちに巡回に行っちゃった。
それじゃ俺も行こうかな。暑くなる前にもう一度来られたら来る。
牛乳メンバーを見つけて固まっちゃったけど、意外なことにここではこの子がいちばんの古株だったりする。俺が初めてこの地を訪れた2014年9月にはすでにいて、当時から牛乳メンバーとは反りが合わず出現頻度も低かった。
牛乳バトル会場をあとにして、いつもの里山を歩いてみたものの、夏日を超える気温で日差しも強いせいか猫がいない。とりわけ川を渡った先の段丘に住む2匹の三毛(こちらとこちら)や、築堤のユキちゃんには会いたくて、何とか出てきてくれないものかと何度もその場を行き来してしてみたが不発。辛うじて見かけた1匹も日陰に隠れて出てこないので、そもそも今日はもうダメみたい。
青い目のポインテッド・キジ白は呆れたようにこちらを眺めている。
高麗~高麗川を結ぶこまこま散歩は今回を最後にするつもりだったが、こうも誰にも会えないと心残りが過ぎるので、涼しい時を狙ってまた来ようと心に決めて高麗川から帰途についた。途中、サバ白1号の公園に寄り道するため拝島で電車を降り、定点の猫アパートを覗いてみると、敷地で転がるキジトラに行き会った。
行き倒れのように見えるけど、これは再会を喜んでいるところ。老いても人懐っこい子。
これは叫んでいるのではなく、気持ち良さそうに欠伸したところ。
前回写真を撮ったのは去年11月。たった5ヶ月で急激に衰えが進み、体を動かすのもぎこちないが、人懐っこい性格は初めて会った2013年6月から変わっていない。ごわついた被毛を撫でたらごろごろと喉を鳴らした。
まだ残る桜の花とサバ白1号を撮れたらと思っていたが、あいにくこの日もアパートの隙間で寝ていて反応がなく、民家に張り付く黒が最後の猫となった。
恥ずかしがり屋の黒。去年秋の寒い雨の日、民家の勝手口で背中を丸めていた子。
一歩前に出たら奥へ引っ込んでしまった。俺もこれ以上は諦めて家路についた。