まだ小学校にも入る前、両親の帰省で夕張に連れて行かれると、追分や清水沢といった乗り換え駅に石炭列車が何本も並んでいて、臆病な俺は蒸気機関車の汽笛がおっかなくて、駅構内ではずっと耳を塞いでいた記憶がある。真っ黒で長大な石炭列車は、明治の開国以来、日本の経済成長の象徴として130年以上にわたって走り続けてきたが、3月14日のダイヤ改正をもって最後の一往復(5764レ、5783レ)がついに廃止され、その長い歴史に終止符を打つことになった。
今日から三連休で、少し遠くへ行きたいと思っていた矢先のことでもあり、猫散歩も兼ねて、その列車の最後の勇姿を見ようと今朝は6時に家を出た。なお先に結論を書いてしまうと、廃止日自体は3月14日で間違いないものの、貨物列車というのは荷主の都合で運休することが多く、この列車も廃止日を待たずして先月のうちに運転を終了してしまったそうだ。
そんなわけで今日の収穫は猫だけ。7時半をすぎてもまだ赤い日差しを浴びて、サビ猫がちょこなんとしていた。
石炭列車が到着するのは貨物専用駅ではなく、広い構内の片隅には小さな旅客駅も建っている。無人駅だが猫はいて、いつも所定の位置で利用客を眺めている。
こいつもやっぱり目が開かない。コントラストが高すぎて写真は撮りにくいし、石炭列車が到着するのは11:16だし、来るの早すぎたかも。
この駅はいつ来ても汚いのでげんなりするけど、食べるものは食べているようなので、まあ良かった。
今日の散歩コースの大部分は工業専用地域に属する臨海工業地帯で、都市計画法上は住居も店舗も存在しないはずだが、実際にはお店も宿もあるし、住む人や猫もいる。
足下の木切れは何か意味があるのかな。太陽仰角に合わせているとか。
その道路向かいには三毛。この一角で暮らしているのは、恐らく人間より猫の方が多い。
この時点で俺は石炭列車の運転が終了していることをまだ知らない。11:16に列車が到着すると思い込んでいた俺は、それまでほかの猫拠点を回ってみることにして、隣の駅を目指して歩き出したのだった。この続きはまた明日。