房総半島・猫旅もついに最終回。日程的には2日目の後半からを紹介する(前回はこちら)。
外川漁港の集落でたくさんの猫たちと出会ったあと、銚子電鉄の上り電車に乗って、本銚子で途中下車してみた。ここから海沿いに大回りして、銚子駅へ至るコースを歩くつもりだが、何しろ予定外の土地だから地図も用意していないし、俺の携帯はネットに繋げていないので、検索することもできない。しかし、そもそも猫散歩に決まったコースなどというものはなく、駅に戻りたくなったら誰かに聞けばいいんである。適当なバス停を見つけてバスに乗れば、どこか面白いところへ連れて行ってくれるかも知れない。もちろん逆もあり得るが、それも含めて非日常を満喫するのが俺の猫旅だ。
本銚子の駅に着いたのは9時半前。緩い坂道を10分あまり下っていくと、磯臭くなってきた街外れの道端に黒いのが1匹いた。
「私はこの寺の案内役です。観光に来たならいいことを教えてあげます」
「銚子には『様』をつけて呼ばれるものが三つあるのです。一つはこの寺の観音様、もう一つは醤油の玄蕃様、そして私が猫様です。あなたは今日、いいものを二つも見ました。あっ、どこへ行くのですか。まだ話は終わっていませんよ」
外川漁港に比べると、銚子漁港は規模が大きくて行き交う人や車も多く、猫探しには厳しそうだった。海岸につかず離れず西へ向かって歩いていると、なだらかな坂の下に1匹座っているのを見つけた。
この子はとても臆病。シャッター音に驚いて、はるか向こうまで逃げてしまった。
逆にこちらは人懐っこすぎて、近接撮影はほぼ不可能。道路の向こうまで離れて撮ったのが上とこれ。ちなみに麦わらとは親子ではないらしく、ご飯の取り合いでケンカになっていた。写真を撮っているうちにこの家の奥さんも出て来て、猫を構いながら20分ほど世間話した。
朝はあんなに晴れていたのに、だんだん雲が厚く暗くなって、写真が撮りにくくなってきた。駐車場にケモノの気配あり。
銚子の市街地では、海を背中にして歩けば駅に出る。そうして少しずつ目的地に近づいていると、とある会社の敷地に猫発見。
「人懐っこいから、いい写真が撮れるよ」と従業員に促され、カメラを向けたらホントに人懐っこかった。
こういうケモノ的な目つきも好きだな。今回の房総猫旅は君で終了だ。