散歩先で猫を構っていると、「1匹持って行かない?」と声をかけられることがある。時々とんでもなく愛くるしいのに出会うこともあって、そんな時はものすごく心が揺らぐわけだが、一人暮らしで飼えるのは2匹が限界とも思うので、いつもぐっと我慢している。今でさえ、食が細いのと太い(?)のが混在していて、それぞれの食餌量を管理することが困難だし、健康管理のため排泄物を観察しようにも、トイレに残された糞尿がどちらのものなのか分からなくて困ることがある。それよりもっと根源的には、多頭飼いで1匹あたりの接触密度を減らすより、俺や元妻と暮らしてきたサチコとマコちゃんのささやかな自我と触れ合っていたいと思っていて、なぜならこの2匹は俺にとって猫というより猫の形をした家族だからだ。
今日は夜勤なので、散歩開始は14時半。日野から甲州街道までのつもりが、ほど良い気温と体調のせいで、万願寺まで足を延ばすことになった(ただし延長区間には1匹もいなかった……)。
プレハブ小屋に乗っかっていた三毛を見つけたのは、散歩開始から30分後。前半はぜんぜん見つけられなかった。
その次は巡回中と思しきキジ三毛。以上の3匹は今までにも会ったことがあるかも知れない。
カメラを向けている間、静止してくれて、撮影が終わると同時に去って行った。
散歩開始から1時間近く経ち、一服しつつ休憩していると、塀を伝って茶色いのが現れた。
……しかし、こちらの存在がバレてしまって、やにわにコースを変更。耳はしっかり後ろ向き。
「猫の耳はレーダーだからね。つけられているのは分かっているよ」
いつもの猫民家にたどり着いたが、地上に猫の姿はなく、上を見たらお昼寝中のがいた。
舌を鳴らしたら1匹だけわずかに反応。ほかのは微動だにしなかった。
最後に出会ったのは可愛らしい顔立ちの茶トラ白。女の子のように見えるけど、肝腎な部分が柱に遮られて確認不能。