街外れの線路端にマイケルという名の茶トラが住んでいた。左目が緑内障で、何度か交通事故に遭ったりもして、満身創痍になりながらも、穏やかで人懐っこい性格の猫だった。最後に見かけたのは6月25日で、その後会えないまま、8月11日に車に轢かれて死んでしまったとのことだった。電柱に訃報を知らせる貼り紙がしてあるのをTwitterで知り、お別れを言いに行ってきた。
生死というのは表裏一体であって、どちらも避けて通れない貴い仕事だと俺は思っている。しかし、そうは言っても、今まで交通事故の怪我にも負けずに生きてきたものを、追い打ちをかけるように車に轢かれるとは……。残念でならない。
せめて相方の巨大黒猫の無事を確認したかったが、あいにくどこかに引っ込んでいて見つけられず、次に見かけたのは赤茶けたキジ白だった。
考えてみれば、この辺りで人懐っこいのは、マイケル君と巨大黒猫のほかは、美人姉妹ぐらいのものだった。その姉妹もお姉ちゃんが行方不明になって、今は妹が一人で縄張りを守っている。この子も赤茶けた毛色なので、美人姉妹の関係者かも知れないが、俺にはまったく懐かない。
猫の気配の感じられない猫路地をとぼとぼ歩いていると、頭の上からこちらを見下ろしているのがいた。
7:45というほど良い時刻にスタートしたにもかかわらず、その後も猫影は薄かった。庇の上の三毛のあと、民家の庭で薄色三毛を見つけたのは、45分後のことだった。
その隣の家は猫民家。壁際に白いのが見えているほか、門扉の陰には黒もいた。
気配に気づいて2匹とも出てきた。奥のクリーム白は警戒心が強くて近寄れない子。
時計回りに回転中。前回は微妙に避けられたけど、今日は心ゆくまですりすりできた。
車の上で寝ている黒白を見つけて近寄ってみた。もう薄目開いてるし。
丁寧に探せばもっといたかも知れないが、すでに9時半を過ぎていて、普通に人通りがあるため断念。2時間に渡る散歩はここでお開きとなった。