2年前に会った人懐っこい駅猫がすでにこの世にいないことは、とある筋の情報で分かっていたが、知った顔が何匹か残っているはずと思い、遠い道のりを出かけてきた。昨日の夜勤明けに行こうと思っていた場所だが、ちゃんと調べたら、自宅からでも所要時間はそんなに変わらないらしい。
最近の南武線は混雑率が上がっていて、特に沿線人口が急増している登戸~武蔵小杉あたりは、なるべくラッシュ時間帯を避けて通過したい。その結果、自宅を出たのは8時すぎと、かなり遅めの出発となった。そのぐらいの時間になると、近所の細い路地にも日差しが行き渡っているので、猫たちも充電しに出てきている。
庇の上の茶ファミリー。まったく懐く兆しがないため、引っ越してきて4ヶ月以上経つというのに、誰が誰だかまったく分からない。
出発地点の扇町に着いたのは10時すぎ。折り返しで鶴見へ戻る電車を見送って歩き出すと、すぐに1匹目を発見。マンホールの蓋の上に茶トラがいた。
この辺りは大規模な臨海工業地帯だが、わずかながら民家も点在していて、隙間からにゃあにゃあ鳴く声が聞こえてきたりもする。
舌がつるほど鳴らして気を引いたのが良かったか、元来た方へ戻った黒白。その傍らには……、
晴れているから日なたの方がいいと思ったけど、コントラストが高すぎて、せっかくの毛並みがきれいに写らないな。
路地の猫たちと分かれて、さっきのマンホールの蓋を覗いてみると、1匹増えていた。
その後、徒歩と電車を組み合わせて、昭和、浜川崎、浅野、安善と回ったが、道中1匹の猫にも会わなかった。特に冒頭で触れた浅野駅は、名物とも言える円形花壇が跡形もなくなり、その場所には業務用施設が建築中だった。花壇は直径10mほどのささやかなもので、ろくに手入れもされずに荒れていたが、小さな池に亀が泳いでいたり、猫たちがお昼寝していたりして、小動物の憩いの場所になっていた。もう一つあった長方形の花壇も撤去されて、そこにいたはずの生き物もみな消えていた。
浜川崎から南武支線~尻手を経由し、腹ごしらえのため分倍河原で途中下車。ついでに府中本町まで歩くことにして、猫でもいないかと思って辺りを見回しながら歩いていると、砂利の駐車場に三毛がいるのを見つけた。
鳥を狙っていたらしく、この直後、カッカッと喉を鳴らしてどこかへ駆けていった。