今の時期、梅雨入りまでの間は割と調子が良くて、行く先々で猫に会えるので散歩が楽しい。もっと自由な時間が欲しいと思わないでもないが、仕事に制約されながら、明日はどこをどうやって歩こうなどと考えを巡らせるこの状態が、趣味としては健全なのかも知れない。多趣味だった俺は現在そのほとんどすべてを放棄したが、一つだけ残したのが猫散歩で良かったと思っている。直接的に対峙するのは猫という小さな生き物だが、その背景には街や自然や人の営みが広がっていて、感銘を受けることが多いからだ。俺は幼いころからそうした心の機微に触れる事象に鈍感だったが、老いて朽ちていく前に、小さな生き物に接する機会を得られたことは幸いだった。もっとも、その点で言うなら、野生児だった俺を多少なりとも人間らしくしてくれた最大の存在はサチコなんだけれども。
まあそんなことはどうでもいいんだが、今朝の散歩コースは北野~八王子を選んだ。従来だと片倉へ向かうことの多かったコースだが、かつて多くの猫たちで賑わった道中も今や猫影薄く、わざわざ峠越えする気にはなかなかなれない。ただ、結果から先に書くと今日は思いのほかたくさんの猫がいたので、もし片倉へ向かったとしても、それなりに会えたのかも知れない。三船敏郎がねぐらに戻っていたなんてこと、あればいいんだがなあ。
冒頭の3匹は自宅から駅の間に見かけた子。まずは朝の巡視中の武蔵から。
猫って時々エクソシストくんくんするよな(一例)。人間が同じ姿勢で真似してもこんなに首回らないよ。
こちらも自宅からほど近い西の猫民家。黒白が外に出ているところを久しぶりに見た。
何度となく会っている子だが、懐いてはいないので、近寄りすぎるとすぐに逃げてしまう。
自転車で駅まで行く段からすでに好調。途中2匹の猫をスルーして、次に見かけたのは地面に佇むキジ白。
見かけるのは去年8月以来で、しかもその時は逃げられた。猫の気持ちってやっぱりよく分からない。
中河原から北野までは各駅停車で20分弱。歩き始めてほどなく、とある施設の敷地の隅で小柄な猫を見つけた。
手前で止まってこちらの素性を見極めているところ。さすがに初対面で抱きついてくるほど軽率ではないようだ。
距離を保ったまま膠着状態に陥ったところ、隣の家から「チーちゃん」と呼ぶ声がして、一目散にそちらへ駆けていった。
峠へ向かう緩い上り坂の路地。このまま南へ進めば片倉に至るが、今日は猫チェックのあと引き返して八王子へ向かうことにしている。肝腎の猫は頭上にいた。
こいつは1年半ほど前、たくさんの子猫の中にしれっと紛れ込んでいたが(こちらの写真の左から2番目)、子猫にしてはガタイが大きかったため年齢不詳。
次の猫はびっくり中のサビ。門扉越しにカメラを向けたら、3秒ほど固まったあと逃げてしまった。
ちょうど1ヶ月ぶりのカイトさん。いつもの場所で薄日を浴びていた。
会うのはひと月ぶりでも、キャリーから出ているところに遭遇したのは何と2年3ヶ月ぶり。ここはこの子の家じゃないんだけど、路地全体で猫の面倒を見ているみたい。