京王相模原線には「京王よみうりランド」と称する駅があって、日々の猫散歩や梨の収穫期にたびたび利用しているが、小田急小田原線の「読売ランド前」駅を利用したことはこれまで一度もなかった。これらの駅はよみうりランド(という名の遊園地)への最寄り駅として認知されているが、小田急の読売ランド前駅から遊園地のゲートまでは2kmほど離れていて、バスなら10分、徒歩だと坂道を30分も登らなければならない。一方の京王よみうりランド駅もゲートまでは1.2km離れているが、こちらは駅前にゴンドラ乗り場があって、待ち時間がなければ5分で山の上のゲートへ連れていってくれる。このゴンドラ、遊園地のアトラクションの一つではあるが、乗降場は園外にあって入園料は不要。片道300円、往復なら500円払えば誰でも乗れるので、遊園地の利用客はもちろん山の上の住民の足にもなっている。運行時間は基本的に遊園地の開園中プラス前後15分程度だそうで、朝は9時ぐらいからなので出勤には使えないが、夜は21時ごろまで動いているので、仕事帰りや学校帰りに利用する人もいるようだ。
遊園地のゴンドラが生活の足になるぐらい、この辺りの住宅地は傾斜がきつい。京王側の大部分はジャイアンツの関連施設だが、小田急側は山の斜面全体が住宅で埋め尽くされている。猫散歩的に興味をそそられる場所でもあるが、夜勤明けの疲れ果てた体で散歩なんかしたら死にかねないので、いずれ体調のいい休暇にでも開拓してみようと思っていた。両駅間は山越えで距離も嵩むが、前述のゴンドラを利用すれば楽もできるし何より楽しい。
……というような経緯により、朝の山岳住宅地で何とか見つけたのが道端の茶トラ白。今日は本当に体調が良くて、30分も坂道を上ったり下りたりしてもまだノーダメージ。
猫は様子見モードへ移行。逃げられないよう慎重に接近してみる。
俺というよりカメラが怖かったらしく、敷地へ引っ込んでしまった。びっくりさせてごめんよ。
山岳住宅地で見かけたのは1匹だけだったが、新規開拓の一発目はこんなもの。ゴンドラ(動画あり)に乗って京王側に下りたあとは、馴染の猫拠点をぽつぽつと見て回ることにした。
暗渠ぎわのキジ白は先月15日にも会ったばかり。佇まいまでほぼ同じ。
こいつはいつも箱に籠もってばかりだし、夏になれば車の下で伸びているし、写真を撮るのは日差しが恋しくなる冬じゃないとムズカシイ。外に出てきたところを見たのは去年の1月以来。
セイタカアワダチソウをかき分けて接近を試みるも、舌を出したまま逃走。
いきなり目が合っちゃってるし、このまま近寄ったら生垣に隠れそう。
一度は予想通り隠れてしまったが、通りすぎたふりをして再び戻ると様子を見に出てきていた。フェイントかまされて憮然とするサバ氏。
長い散歩のあと床屋で髪を切り、家路につく前に猫ヶ丘を一回りしてみた。カメラに収まったのはウーちゃんのみ。
冬の午後の日差しが猫の顔に影を作っている。こんな時間に出てきてくれるとは思わなかった。
ウーちゃんと別れたあと、坂の下のアビちゃん邸を覗いてみると、網戸の向こうに同居猫のキジトラが座っていて、部屋の中の奥さんとも何年かぶりに挨拶することができた。推定15〜16歳だったアビちゃん(本名ララちゃん)は今年8月、家族に見守られながら息を引き取り、今は町田の霊園に眠っているとのこと。もともと知人の飼い猫だったというアビちゃんは気性が荒く、手を焼いた飼い主が外に出していたのを譲り受けたのだそう。とはいえアビちゃん邸の家族の接し方が良かったのか、貰われてきたあとにそう感じるようなことはほとんどなかったそうで、2016年11月に知り合った俺なども天真爛漫な人懐っこい子だと思っていたくらいだった。
アビちゃんは平山時代のご近所さん。小柄な体でよく転がる子だった。