3連続夜勤を終えた今朝の俺は虫の息であった。退勤間際に立て続けに仕事が入ってきたこともあり、職場をあとにしたのは11時近くになっていて、家に帰る気力も寄り道する気力もないまま、京王堀之内駅でバスを降りたあとは、目的地も定まらないままとぼとぼ歩き始めた。
とは言っても、基本的にこの辺りは交通の不便な場所だ。本気で彷徨ったのでは、途中で体力が尽きてしまうので、とりあえず多摩モノレールの線路がある方に向かうことにした。地図も何も用意していなかったが、方角的に、自分の影に向かって歩けば行き着くはずだった。
正午近い田舎道は日差しが暖かくて気持ち良かったが、猫影は薄く、歩き始めて20分ほどでようやく1匹目に遭遇した。
呼ぶと返事はするものの、3m以内には近寄らせてくれない。近くで黒白も見かけたので、どこかに猫の拠点があるのかも知れない。
河岸断崖に沿う散歩道は起伏が多く、住宅を縫うようにして、たくさんの細い階段がある。そうした道の一つを息を切らせて登っていると、民家の裏庭に猫がいるのを見つけた。窓辺からこちらを見ているのもいる。
カラーポイントの顔面がちょうど影に入ってしまって、表情がよく分からない……。シールポイントにしては赤っぽいから、チョコレートポイントかなあ。
……しかし、アスファルトの砂を踏む「しゃり」というかすかな音で散ってしまった。ぬう。
「怪しい人を見かけたら、すぐに逃げなさいって言われているの」
丘を越えて、たどり着いたのは松が谷。住宅街の一角で黒いのに出会った。
呼ぶと返事して、指先にすりすりしてくれた。たぶんこの子は去年11月にも見かけた子(こちら)。黒なので分かりにくいけど、胸元の白い差し毛が目印だ。
黒いのもう1匹登場。日差しが強くて毛並みがテカテカだ。黒い被毛の質感を写真で表現するのは、曇りの日じゃないと難しいな。
この子は後ろ足だけ短いソックス。ソックスを発現する遺伝子は、詳しく解明されていないらしいけど、白斑であることは確からしい。ということは、この子は黒白ということになるのかな。
丘陵地を歩き回ってくたびれたけど、最後に君たちに会えたので疲れが取れたよ。それじゃまたね。