自宅の近くに名刹と呼ぶべき大きなお寺があって、恐らく飼われているのではない猫が何匹か暮らしている。警戒心が強い上に、広い境内のどこに潜んでいるか分からないので、目に触れることは滅多にない。
今日は予報通り雨で、職場の置き傘をまとめて持って帰ってきたので、散歩はお休み。19日の出勤前に会った2匹の女の子を紹介しとく。1匹目は自転車で駅に向かっている時に見かけた小柄なサビ猫。前述のお寺に住み着いているらしく、この日は珍しく裏口に出て涼を取っていた。夜勤前の真っ昼間で日差しも強く、まさかいるとは思っていなかったが、緑の多い境内は、ほかより多少は涼しいのだろう。
やっぱり警戒されたか……。
逃げ切らずに振り向いている。近所の子なので親睦を深めたいところだが、近寄るのはこれが限界だった。
散歩コースは定番の八王子～片倉にしたが、日差しが強かったせいで猫影は限りなく薄く、見かけたのは薄色の三毛1匹。巡回帰りなのか、きょろきょろと辺りを見回しながら坂道を下りてきた。
とことこ。
止まって考えている。何かを探しているのかな。
「あの、トイレに行きたいので、ついてこないでくださる？」
