俺が台湾を訪れる時は天気が悪いだけでなく気温も低く、10℃ほどまで下がった瑞芳の夜はかなり寒い思いをした。そもそも瑞芳というのは九份や平溪線沿線など一大観光拠点の割に宿泊施設が少なく、俺の知る限り駅の周囲には3軒しかない。そのうち2軒は施設設備的にちょっと微妙で、残り1軒は長らく休業していたが、いつの間にか営業を再開していたので、今回利用させてもらうことにした。オンライン予約もできたし、英語の会話も成立したので、俺のような外国人観光客にも不便はなかったが、台湾の多くの民宿と同様、エアコンに暖房モードがない上、布団が薄くて寒い。おまけにシャワーが貯湯式で、体を温めるため全開で浴びていたら、5分ほどでお湯が尽きて冷たくなってしまった。
そんなわけで翌朝(3月9日)、曇りがちではあったものの、多少気温が上がってくれたのは心底助かった。1月に来た時より日の出時刻が早まっているだろうと思い、張り切って5時半に起きたが、窓の明るさにさほど変化は感じられない。調べてみたら台北の1月8日の日の出時刻は6:40、3月9日は6:10で30分しか早まっていない(東京はそれぞれ6:51、6:01)。6時半すぎに宿を出て、まだ暗すぎるかなと思いながら駅裏の坂道を歩いていると、塀の上に2匹の猫がいるのを見つけた。
キジトラは地面に飛び降りてしまい、残った黒は訝しそうにこちらを見ている。あいにくご飯の人ではないのだよ。
通学の中高生でごった返す駅前通りを避け、静かな横丁に入ると、台湾名物・スクーターと猫に遭遇した。
いくら呼んでも目線がもらえない。キジトラが見つめる先には……、
寂れた駅裏から一転して、こちらは繁華街にほど近い猫拠点。台湾に来た時は必ず瑞芳を訪ね、瑞芳に来た時は必ずここを訪ねて、もう5回目になる。この日は小柄な猫が1匹で毛繕いしていた。
一方こちらは顔見知り。2016年1月に初めて会って以来、3回目のキジトラ。カメラを向けたら駆け寄ってきた。
もともと人懐っこい子だとは思っていたが、この日は未だかつてない甘えっぷり。足元から片時も離れることなく、服をよじ登って肩の上まで登ろうとする。撮影が困難だったので動画をどうぞ。
引いた写真を撮ろうとして離れると、走って追いかけてくる。その傍らにも人懐っこいキジ白がいて、30分近くこの場に足止めを食うことになった。いやー瑞芳って本当にいい街だわ。
こちらは胸元やお腹に縫い目が残っているので、まだ若い子。まもなく1歳って感じかなあ。
後ろ髪を引かれる思いで人懐っこい2匹と別れ、細い路地を縫うように歩いていると、庇の上で寝ている黒白を発見。
黒白にカメラを向けてうだうだやっていると、階段の陰からもう1匹顔を出した。
逃げられるかと思ったらむしろ逆で、にゃあと一声鳴いて近寄ってきた。ちょうど紙幅が尽きたことでもあるし、この子の続きはまた明日ということで、今日はここまで。