昨夜から今朝にかけてかなり激しい雨が降ったようだが、俺も妻も猫たちも布団に潜ってグースカ寝ていたので、誰もそのことに気付かなかった。10時ごろになってまず俺が起床し、次いで朝食を催促する猫たちがそれに続き、台所でうにゃうにゃやっている時に初めて雨音に気付いた。これじゃ夜勤前に散歩してもずぶ濡れだなあと思い、今日はお休みして、代わりに八王子の紳士服店で夏服を仕立ててもらうことにした。来月は夜勤が2回と少なく、出退勤時に店に寄ることが難しいので、今日のうちに済ませてしまおうと思ったのだった。今まで俺は仕事着に夏服を買ったことはなく、暑い時期は上着を脱ぐなどして春秋物のまま通していたが、昨今は春も秋も気温が高く、かといって4月からワイシャツ姿というのも心許なく、夏物を必要に思うようになっていた。
ところがそのつもりでまったりしていたら、お昼前に雨が止んでしまった。真っ昼間であっても、雨上がりとなると猫の出現率は高くなる。慌てて仕度して、いつもより1時間近く遅い12:50に家を出て、京王八王子行きの下り電車に乗ったのだった。紳士服店の近くには猫拠点があって、そこへ顔を出すくらいの時間はありそうだった。
時刻は13:50。採寸を終えて歓楽街の路地を歩いていると、コインパーキングの奥に1匹目を発見した。
毛繕いの手を休めて視線を寄越す黒白。実はこの裏に住む顔見知り。
花街の横丁を覗くと、馴染みの三毛ちゃんがちょこなんとして、こちらを眺めていた。
この家の猫たちは大抵ここでまったりしている。のびのび過ごせる場所なのかな。
俺にはそれほど懐いていない子だが、今日はいつもと違って積極的。目が合うなりにゃあにゃあ鳴き始めた。
車の下からジト目で見つめている。そうか、今朝は大雨だったから、まだご飯を食べていないんだね。持ってきてあげれば良かったな。
柳巷花街をあとにして駅に向かっていると、塀の上で2匹の猫が向き合っていた。
道路向かいには丸顔の茶トラ白もいて、眩しそうに目を細めていた。正味30分の散歩でこんなに会えるとは思わなかった。