仕事を終えて10時すぎに社屋を出ると、やや強い北風が吹いていて、昨日とは打って変わって気温が低かった。空は曇りがちで暗かったが、それが雲のせいなのか、それとも部分日食が最大食を迎えているからなのか、すぐには判断できなかった。ほんの一瞬太陽を見て目を閉じると、瞼の裏に食べかけのクッキーみたいな残像が見えたが、欠け方は思っていたより小さく、それが暗い原因とも思えなかった。
快晴だったら花咲く婆さん邸にでも寄ろうと思っていたが、曇って寒いなら早く帰って寝たい。下がり切ったモチベーションを引きずったまま、2回乗り換えて、降り立った駅は北府中だった。
とある住宅街に入り、気配を感じて振り返ると、猫が立ち止まってこちらを見ていた。
冬毛で丸々した三毛だった。こんなに健康的な三毛を見たのは久しぶりかも。
府中の市街地を経由するなら、モノクローム爺さんに会って行きたいところだが、時節柄、混雑していそうなのでやめておいた。
こちらを呼び止めるように鳴いていた茶トラ。足を止めてしゃがんだら、向こうもこちらに向き直り、そのまま膠着状態となった。
お腹が空いているのかと思い、懐の中身を確認したが何もない。「ごめんよ」と言って再び視線を戻すと、いつの間にか消えていた。せっかちなヤツだ。
正午を過ぎても気温は6.2℃と低いままで、猫たちの動きは鈍い。動いてくれないと景色に溶け込んでしまって、探し当てるのも容易ではない。
今日の散歩コースは北府中から東府中まで。終盤になって見かけたのは顔見知りの茶トラ白。
日差しがないから縮こまっている。今日は7.1℃までしか上がらなかった。
ベンチの下で人待ち顔。その辺を一回りして戻ったら、近所の爺さんに撫でてもらっていた。