昨日の散歩で六花谷のボス的黒白(本名・たまお)に引っ掻かれた傷が思いのほか深く、絆創膏を巻いて傷口の癒合を待っているものの、ちょっとぶつけるとすぐに血が出てくるので色々やりにくい。風呂で体を洗いにくいことは覚悟していたが、軽い手伝いのつもりで始めたキャベツの千切りが上手くできなくて、自分の指を削ぎそうになったりもした。
あんなに攻撃的な猫なのに、面倒を見ているお姉さんは、耳元の毛が禿げかかったことを心配して、二週間おきに薬を塗ってやっていたというから、いったいどんな魔法を使ったのかと思う。決して懐いているわけではなく、昨日なども猫缶を開ける「パカッ」という音でシャーかましていたくらいだから、まさに手当たり次第。とにかく相手が人だろうと猫だろうと六花咪だろうと、半径1m以内に入られるのを本気で嫌がっていることがよく分かった。
仕事の方は今日から三連続夜勤。今日は朝のうち雨が降っていたようだが、お昼前には止んだので、南武線の津田山~久地を歩いてみた。初めて尋常性白斑猫とカミツキネコに会ってから1年が経ち、その成長ぶりを確かめたかったからだが、あいにくどちらも不在。最初の猫に遭遇したのはスタートから30分後のことだった。
暗渠の窪みからこちらを窺う黒白。この直後、見えなくなるまで逃亡。
黒白に逃げられて振り向くと、2匹の猫がこちらを眺めていた。一部始終を見られていたようだ。
「危なくなったら逃げるんだから、別にどうでもいいのよ、そんなことは」
離れた距離に応じて前足が下りる。猫って最初に後ろ足でダッシュかますと思うんだけど、前足って何に使うんだろう。
その後も30分ほど猫影がなく、次の猫に会ったのは13時半近く。台湾風に寛いでいるあいつは顔見知りだ。
白に見えるけど実は黒白。超大白斑とでもいうべき毛色だが、多くの場合、尻尾の色だけは最後まで残る。ただしこれだけ白斑が大きいと、その下に黒だけでなく茶色が隠されている可能性もあり、もしそうなら三毛ということになるわけだが、その拘りにはあまり意味がない。毛色の呼び名というのはあくまで見た目に対して付けられるものなので、こいつも白なら白で別にいいのである。ただし、俺のような人間にとって、白斑の下に隠された毛色を想像することは、親子関係や性別を推理する時に、見過ごせないヒントになる。
今日は台湾名物が2匹続いた。しかも全体的に黒白がちな日だった。
辛抱強く説得を試みたものの、やっぱり前足が逃げる気満々なのだった。