昭和の中ごろまで、交通が未整備だった山村集落の小中学生は、1時間以上歩いて通学することが珍しくなかったそうだ。俺は幼稚園から中学校まで通園通学に20分以上かけたことがないので、そうした話を聞くたびに、昔の子供は何と過酷な学校生活を送っていたのだろうと驚き、そんな時代に生まれなくて良かったと安堵したものだった。しかし今になって考えてみると、50代の俺が18時間勤務の前後に猫を探して歩き回っているのだから、10代やそれにも満たない子供にとって、体力的に大したことではなかったのかも知れない。
ただしそれは暖かい季節限定の話。昔の夏は今ほど暑くなかったが、冬はむしろ寒かったから、昨日や今日のように冷え込んだ日の通学は、さぞかし大変だったろうと思う。たとえ吹雪になったとしても、昔の親は今のように簡単に学校を休ませてくれなかった。
被写体と対等でいたいという理由から、猫たちの写真を撮る時は、気象条件が過酷でもなるべく休まないようにしているが、今朝のように氷点下5℃を割り込むとかなりきつい。子供も大人も猫たちも、冬ほど辛い季節はないと改めて思う。
今日の散歩は西八王子から八王子まで。上りの特急「あずさ」が近づいてきたので、線路を眺めていたら猫がいた。
近寄ったらニャーと鳴いたので、人懐っこい子だったのかも知れない。最初から逃げられると思い込んで、これ以上アプローチしなかったのが心残り。
あとでGoogleストリートビューを見たら、裏庭にヤナギの巨木が植わっていて、夏の間は葉っぱが目隠しになるので、猫がいても見えないようだ。
日差しを浴びたまま動かない。昨日からの冷え込みが相当堪えたのかもなあ。
「僕にロックオンしたようだけど、二つ上の写真にはもう1匹写っているんだぜ」
側溝から出てきたのは、白猫に日本髪のヅラを被せたような毛色。こういう芸風の人いたっけなあ。
「もう1匹」は現場ではまったく気づかなかった。場所は書かないので探してみてね。
警戒して姿勢を低くした。日なたぼっこの場所を奪いに来たのではないのだよ。
後ろに控えていたキジ白も大白斑。この辺の猫ってそういう傾向だったかなと思い、あとで調べてみたところ、初めてこの街を歩いた7年前に会った猫たちの大半が大白斑だった(一例)。全盛期に比べれば猫影はかなり薄くなったが、血筋は絶えていなかったのだなあ。
この勢いだと一度に載せ切れないくらいの猫に会えそうと思っていたら、中間部でダレてしまい、次の猫に会えたのは40分後。定点の猫拠点で常駐の黒白がぽつねんとしていた。
きょとんとしている。お昼ご飯を終えたばかりなので、俺に用はないか。
キジ三毛はものすごく臆病な子。何とか持ち堪えたが、この直後、車の下に潜ってしまった。
散歩のあとお昼ご飯を食べにゴーゴーカレーに行ったら、財布にほとんどお金が入っていなくて、50円足りなくてロースカツカレーが食べられなかった。最近はほぼすべての支払いをApple Payで済ませているので、現金の補充を忘れてしまう。カツを乗せないゴーゴーカレーなんてあり得ないと思いつつ、お金がないので下ろしてきますとも言えず、大人しくただのカレーを食べて職場へ向かったのだった。