お昼ごろからと思っていた雨は朝のうちから降り始めていて、布団から出て階下に降りるとマコちゃんが猫デッキで雨見していた。窓を開け放ち、猫に倣って雨音を聞く気になる程度に今朝は涼しかったが、あいにくそれは長くは続かず、家を出るころには日が差して大変な蒸し暑さになっていた。こんなことならやはり休養日にしておくんだったと後悔したが、一度仕度して外にまで出たものを引き返すのは勿体ないのでそのまま出発することにした。
散歩コースを決めたのは涼しい朝のうちで、当初は百草園から高幡不動まで1駅歩くつもりだったが、いざスタートしてみると100%近い湿度と急傾斜地にやられて即座にヘタレた。気温は31~32℃ほどでも汗の量と体力の消耗が半端なく、歩いて歩けないことはないものの、このままでは着ているものがずぶ濡れになって仕事に差し支える。幸い百草園の猫拠点では数匹の猫に会えたので、1km歩いただけで駅に戻り、高幡不動からモノレールに乗り換えて六花谷を訪ねてみることにした。冷房の効いたモノレールの車内なら10分も乗っていれば元気を取り戻せる。
まずは電車に乗る前にいつもの駐車場を覗いてみる。
さっきまでかなり激しく降っていたけど、車の下は平気だったみたい。
珍しく外に出てきたサバ白2号。モデルのお礼に美味しいものを一つまみどうぞ。
ジブリ映画のような森の分岐を右に行けば猫拠点。ていうかもう見えているね。
すでにずぶ濡れのハンカチタオルで顔を拭きつつ坂を上っていると、手前で伸びているのを発見。先にこっちを撮っておこうか……。
茶トラとグリーンアイの組み合わせって何となく神秘的で好き。特に印象に残っているのは8年前に福生の団地で見かけた子。オホーズ・アズーレス(Ojos Azules)という血統猫には茶トラとブルーアイの組み合わせを持つものもいるそうだけど、個人的にはグリーンアイの方が好きだな。
……などと呑気に観察する俺をしょっぱい顔で睨んでいるのが2匹。いつの間にか1匹増えてる。
近寄ったら直ちに散会。親睦が深まるほどここには通い詰めていないからね。
このまま急坂を上って高幡不動へ向かうか、それともヘタレて百草園に戻るか、逡巡しながら元来た道を振り返ると、茶色いのがもう1匹こちらを見上げていた。
この子たちの何匹かは今までにも会っているけど、これだけ茶猫が一堂に会したのは初めてだと思う。ここは毛色の偏りがすごいね。
右がオス、左がメスという耳の切り欠きを信じるなら、今日この坂道で見かけた茶猫はすべてメスで、これが偶然ならかなり珍しいことだ。恐らくここの猫たちはすべて血縁関係だろう。
メスの茶猫(茶、クリーム、カラーポイントおよび白斑入りを含む)は茶色遺伝子を優性ホモOOで持ち、生まれてくる子には優性遺伝子Oが少なくとも一つは受け継がれる。O遺伝子はX染色体上にあるのでオスの子の遺伝子型はOYとなり、母の交尾相手が白猫の場合を除き必ず茶猫になる。メスの子の遺伝子型はOOかOoとなり前者は茶猫、後者は二毛や三毛になる。つまりメスの茶猫が多いエリアではその子孫も茶猫になる確率が高く、俺の知るところでは立川の茶猫タウンや平山の猫ヶ丘のように、そのエリアに住む猫の毛色が茶系に偏ってくる。これはO遺伝子が伴性遺伝であることに加え、毛色を司る遺伝子の中で白色遺伝子Wの次に上位だから起きることだが、その理由については色々調べても未だ分からない。白が上位なのは氷河期に向けて準備しているなどと想像しやすいが、茶色が次位なのは茶トラ係長のように秋の落ち葉に紛れるためなのだろうか。とするとこれは四季のある地域に多い毛色だったりするのだろうか。国別の毛色比率が分かるデータがあれば参考になるはずだが、今のところ見つけられていない。
たった1kmの散歩は30分ほどで終わり、後半戦はモノレールを途中下車してからの1時間半。こちらの歩行距離も2.6kmと短めだが、その割に時間がかかっているのは、最後に立ち寄ったゴンの祠で雨宿りしていたから。今日は大量の汗と断続的な強い雨でずぶ濡れになってしまった。
呼んだら飛び出してきた。舌打ちって猫には号令みたいに聞こえるのかしら。
ここのところゴンの様子が弱々しい。歩くのも覚束ないようだし、地面から濡れ縁に飛び乗るのもやっとという感じだ。痩せたのは夏のせいかと思っていたが、どこか体調が悪いのかも知れない。
短い散歩だったので時間はたっぷりあるし、何より雨で動けない。軒下に避難して40分ほどゴンと一緒に過ごした。事前に買っておいた美味しいお土産を出したら、すごい勢いで全部平らげたので少し安心した。