前栽に迷い込んできた子猫を保護したのは2003年8月29日のことだった。体格からすると生後2ヶ月くらいに見えたが、キトゥンブルーが抜けていたことから、実際はもう少し月齢が進んでいたのかも知れない。サチコと名付けたその子猫は、半年経っても階段の上り下りすらできず、発育不良を疑ったこともあったが、病気一つすることなく今月で17歳になった。5月20日にはマコちゃんも11歳(人間の還暦に相当)の誕生日を迎えており、我が家の構成メンバーは高齢化が著しい。
四連休最後となった今日は早起きして西新宿の猫たちに会いに行ってきた。うちの会社が加入している健康保険組合は中野区東中野に健診センターを持っていて、年に一度の健康診断を受けるついでに、猫たちの住む路地へ足を延ばすというパターンが多い。最近では2月26日に健診の予約をしていたが、ちょうどウイルス騒ぎが深刻化してきたころで、朝ラッシュの上り電車に乗ることはもちろん、人を集めて行う健康診断自体に抵抗があり、会社に了承を得た上で昨年度は受診しなかった。
現在は緊急事態宣言が解除され、健診センターの業務も昨日から再開されているが、東京都の新規感染者数は再び上昇傾向にあり、いつまた自粛を要請されるか分からない。自由に外出できる今のうちに、猫たちの許へ無沙汰を詫びに行くことにしたのだった。
新宿駅をスタートしたのは6時すぎ。雨こそ降ってはいなかったが、いつそうなってもおかしくはない暗い朝で、猫はまだ自宅の敷地で密やかにしていた。
カメラを向けて立ち去る人間を不審に思ったのか、離れたところで待っていたら路地に出てきた。
樹上で休むリビアヤマネコと同じように、副都心のイエネコは家屋やビルの高みで休んでいる。これ以降、今日会った猫はすべて高いところにいた。
近寄ってみると大白斑の黒白。朝早いし、天気も冴えないし、動きそうにないな。
ごめんごめん、寄りすぎちゃった。もう行くから寝ててくださいな。
手前の茶トラ白はとっとと逃げて、奥のが残った。もう少しモデルを頼むよー。
北多摩の田舎の方は高い建物が少ないので、猫は面的に展開しているが、こういう場所はどこに潜んでいるか予測がつかない。
……しかし、近寄ると塀の向こう側に下りてしまって歯が立たない。
こうしてみると、猫というのは扇状に俯瞰できる高台を好む傾向があるようだ。いち早く敵を発見して逃げることも大切だが、それよりも獲物を探す目的の方が大きいと思う。
新宿猫はこれでおしまい。なお、チョコ白の一味には今日も会えなかった。
その後、西新宿から東中野まで歩いて猫一匹会えず、電車で三鷹〜武蔵境と移動して西武多摩川線に乗り換え。多磨で途中下車すると霧雨が舞っていたが、強行突破で京王線の武蔵野台まで歩くことにした。
なお、道中見かけたのは1匹。
俺の手が届かないことを知ってか知らずか、目を細めてこちらを眺めていた。