六花咪と落ち葉の絨緞


多摩市の猫

 管楽器を演奏していた関係で、唇の潤いを保つ必要があり、乾燥する冬の間はリップクリームが必需品だった。中学生のころは白色ワセリンをひたすら塗りたくっていたが、高校生以降は色気づいたため様々な製品を試すようになり、中でも最も長く使い続けていたのは、POLAのシンフリーリップモイスチャーという製品だった。これはとても具合が良かったが、値段がやや高いのと、香料が強すぎるのが玉に瑕で、15年ほど前を最後に使わなくなった。そのあと楽器から離れるまでの数年間は、Burt's Beesのハニーリップバームという製品に移ったが、メンソールなしのタイプがなかなか手に入らず、Amazonで買えるようになるまでは、わざわざ海外から個人輸入していた。楽器をやめたあともリップクリーム自体は使い続けているが、今シーズンに限っては、マスクが湿度を保ってくれるので、まだ一度も唇につけていない。唇だけでなく、鼻腔が乾いて痛くなることもないし、冬の朝の冷たい空気を辛いと思うこともあまりない。多少息苦しいという短所はあるにしても、マスクというのは基本的に健康にいいものなのだろう。普通の人には当たり前なのかも知れないが、今回のコロナ禍まで、俺にはマスクをつける習慣がなかった。
 今日の散歩は東中野バス停から多摩センターまで。散歩を開始して約10分、とある猫アパートの外階段で1匹目を発見した。
八王子市の猫

八王子市の猫

 こいつはとんでもなく臆病で、撮影に成功したことはほぼない。慎重の上にも慎重を期して近寄ってみる。
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 今日はここまでが限界。ズームとトリミングを効かせているが、10mは離れている。
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 猫アパートの隣では、馴染みの銀三毛が水を飲んでいた。
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 飲み終えるのを待つこと3分。ようやく出てきた。
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 ……しかし、道路向かいの民家へ直行。再び日陰に隠れてしまった。人懐っこいはずなのにおかしいな。
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 銀三毛にはオッドアイの相方がいるが、ここのところ姿を見せない。近くの駐車場でお昼寝しているのかなと思い、覗いてみると、オッドアイの代わりにイエローアイの麦わらがいた。
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 この子も臆病すぎてダメ。この直後、車の下へ潜ってしまった。
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 傾斜地に展開する団地アパートの駐車場。黒白が寝ているのが分かるかな。
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 ほらいた。とっくにバレているね。
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 順光だと眩しい顔になっちゃうので、後ろに回って逆光で撮っとく。こっちの方がカッコいい。
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 多摩ニュータウンの豊富な緑地はことごとく落葉して、目に入る緑色はわずかになっているが、どちらにしても猫の白斑はよく目立つ。
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 この子は初めましての三毛。
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 不穏な気配を嗅ぎつけてもう1匹登場。この子は三毛の息子だそうだ。冬毛でふっくらしているが、Twitterのフォロワーさん情報によれば、確か今年の子猫だったはず。
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 小枝を道具にして気を引いてみたが、さすがに触ることはムズカシイ。至近距離で撮った写真はピンボケだった。
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 この子、どこかで見た顔だと思ったら、4年近く前に台湾の枋寮で会った黒白にそっくり! もう一度会いたいと思って、その後も枋寮を訪ねたほど印象深い猫だったので、再会を果たしたような不思議な気分だった。
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 落ち葉の絨緞を駆けてくる六花咪。
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 とててて。
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 真っ赤な背景と六花咪。北海道出身者の目には秋にしか見えないけど、これでももう冬なんだよなあ。
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 横から見るとそんなに真っ赤でもない。常緑樹もあるしね。
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 最後にシックな六花咪を撮影して、その場をあとにした。黒白ボスは不在だった。
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 時間があれば、年内にもう一度来てみるよ。
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