10年前に起きた地震はとてつもなく巨大だった上に揺れが長く、地球がどうにかなったのかと真剣に考えたほどだった。復興に相当の時間がかかることは明らかだったが、まさか10年後、まったく違う理由で国が停滞することになるとは想像だにしなかった。我が国において今回のウイルス禍は、健康被害そのものと同等かそれ以上に、人々の心に深い分断を生んでいる点で深刻だと思う。
震災後の我が国は世界中から多くの援助を受けたが、中でもとりわけ手篤い支援をしてくれた台湾が、大陸向けパイナップル(鳳梨)を輸出できずに困っているという。彼の国のパイナップルが美味しいことは屏東を旅した時に食べて知っているので、微力ながら俺も協力しようと思い、福生の西友まで出かけて1個買ってきた。現時点で日本には5千個入ってきているそうだが、好評ならもっと増えていくだろうし、その調子でバナナもお願いできればなおありがたい。台湾の果物はどれも美味しいのである。
パイナップルついでの散歩コースは拝島から福生まで。6時半にスタートして最初にシャム混1号の路地を覗いてみると、猫の代わりに飼い主のおばさんが寝間着姿のまま煙草をくわえていて、挨拶すると俺のことを思い出してくれたようだった。シャム混1号には1年以上会えずにいるが、今も元気にしており、時々は外にも出ているとのこと。俺が初めてあいつに会ったのは2010年3月のことで、猫の知り合いの中では2番目に古い。ちなみに最も古いのはキジ白3号で、こちらは2009年6月に知り合ってもう12年近くになる。訪ねていくとほぼ必ず出てきてくれるのがありがたい。
会うのは元旦以来。先月16日に訪ねた時は珍しく出てこなかった。風の強い日だったので、足音が聞こえなかったのだろう。
すりすりでご挨拶。猫って横から見ると、なすびに割り箸を刺したような形してるよな。
鼻筋には一条の引っかき傷。年を取って犬歯が全部抜けちゃっても、猫には爪という強力な武器があるのだ。
カメラを避けて車の下に潜ってしまった。ちなみにこれはキジ白4号。
この家には2匹のサビ猫が暮らしている。もう1匹は不在のようだった。
隣の敷地には古民家と桜の巨木があって、散歩のついでに蕾の綻び具合を見てみるつもりだったが、いつの間にかどちらもなくなって更地になっていた。ちょうど掃除に出ていた向かいの婆さんに聞くと、古民家はともかく、桜の伐採だけは待って欲しいと頼んでみたものの、叶わなかったそうだ。今になるまで更地のままにしておくなら、せめて最後にもう一花咲かせてやりたかったと涙ぐんでいた。動物でも植物でも、会えるのを楽しみにしている人はいるものだ。
次の猫は高みで寛いでいた。広い公園を見張るにはちょうどいい場所。
近寄ったら露骨に迷惑そうな顔になった。君たちはもう少し感情をオブラートに包んだ方がいいと思うんだ。
砂利の駐車場は接近が難しい。近寄っては逃げられることを繰り返し、3回目の挑戦でようやく横から撮れた。
歓楽街にたどり着いて、最初に見かけたのもやっぱりキジ白。あの子は初めてかも。
なかなかいい体格。この界隈は緊急事態宣言でもろに影響を受けているはずだが、ご飯はちゃんと出してもらっているようだ。
踊り子の一味は妹分Bだけ会えた。
この子は目元が黒いので、目が開いてるのか開いてないのか分かりにくい。まったりしていることは確か。
時間をかけて撫でていたら、前足を畳んで平らになった。この街で触らせてくれるのはこの子が唯一だ。