今まで行こう行こうと何度も思っていたものの、アップダウンがキツすぎて、先延ばしになっていた多摩ニュータウン猫散歩。3年半ほど前に、西側の南大沢付近を歩いたことはあるが(こちらの記事)、それ以降は構想だけで何年も放ったらかしになっていた。今日は長期連休と緊急事態が重なって人出が少なく、一日だけの日勤で体力に余裕があることから、満を持して挑戦してみることにした。春先にバスの車窓から猫の姿を見かけて、多少は生息しているらしいことに力づけられたからでもあった。
歩いたコースは、かねてから温めていた桜ヶ丘~多摩センターの約7.0km。起伏の多い土地を無闇に歩いても、いたずらに体力を消耗するだけなので、かつて愛宕山と呼ばれていたなだらかな丘を、等高線に沿って縦走するようなコース取りにした。
いつも通り6時前に家を出て、最初に見かけたのは西の猫民家の黒白。朝日が差すのを待っていたようだった。
正面に回ってみると、すでに体の大部分が日なたに出ていた。ここのところ天気が不安定で、朝の気温も低めのことが多い。ちなみにこの時10.5℃。
黒白が1匹でいるところは3月中旬にも見かけたが、キジ白は初めて。背後に椿が生えていることにも気づいていなかった。
聖蹟桜ヶ丘からバスに乗って急坂を登り、桜ヶ丘四丁目バス停に降り立ったのは6:40。今でこそ環状交差点を中心に瀟洒な住宅街が広がり、ジブリアニメの舞台として聖地化している桜ヶ丘だが、ニュータウン開発前は大部分が森林か桑畑で、周辺には一軒の家もなかった。つまりここで出会う猫はほかの土地のように、農家のネズミ番の末裔などではなく、新住民が愛玩用に持ち込んだ猫か、またはその子孫ということになる。果たしてこんな場所で見つけられるのだろうかと懸念していると、ほどなくして路地の先に1匹の猫が現れた。
小走りで追いついて緑のアーチを覗いてみると、飼い猫らしき茶トラ白がちょこなんと座っていた。
本当にジブリアニメのワンシーンみたい。こういう住宅街って絵になるものだな。
息を切らしながら長い階段を上っていると、横の平場で猫が涼しい顔をしていた。
余裕かましているように見えて、実は小心。近寄ったら緑地帯へ逃げてしまった。
逃げ切らないのはお腹が空いているからかな。祠に置かれた小鉢が空っぽだった。
新規開拓コースを抜けて、等高線に沿ったまま六花谷に到着。ここはかつて棚田だったようだが、当時の面影はまったくない。えげつないほどの土地開発が行われた多摩ニュータウンは、地形がことごとく改変されており、昔の斜面が残っているだけでもかなり貴重だ。
六花谷は早くも藪蚊が発生中。六花咪の耳の裏にもすでにかさぶたができていた。ここはこれが11月まで続くから辛いんだよねえ。
「うなー」というくぐもった声が聞こえて振り向くと、少し離れた場所でいつもの茶トラが様子を窺っていた。
六花咪と接近遭遇して遠吠え合戦になると面倒くさいので、気を引いて階段の踊り場に下りてきた。その調子で転がっててね。
仲は良くないみたいだけど、ここの猫たちは奇跡的なレベルで全員可愛い。もし職場が異動になんかなったら、淋しくて死んじゃうかも。
そんな俺たちの様子はしっかり見られていた。階段上で「うなー」と鳴く六花咪なのであった。