昨日の散歩の最後に立ち寄った猫民家の周囲はほぼすべて宅地や駐車場になっているが、つい最近までは2反ほどの畑が残っていた。昨日通ったらいつの間にかその畑も潰されて、ひな壇地が造成中だったので、そう遠くないうちに新しい住宅が建ち並ぶだろう。よその街とはいえ、土や緑がコンクリートに変わっていくのは淋しいものがあるが、戦後の我が国は全国津々浦々でえげつないレベルの開発を行っており、その恩恵を受けて育った俺などが今さらその是非を論じようとは思わない。ただ昨日も書いたように、古くから続く家の人に農村時代の気質が感じられたのは興味深かった。庭から顔を出した主人の「猫撮ってるの?」という問いかけや、植え込みの向こうから聞こえた「はーい」という奥さんの声は、長閑すぎてトトロの世界に迷い込んだかのようだった。もしあの家の周囲に田畑や雑木林が残っていたら、まさにサツキとメイの家そのものの雰囲気で、そう考えると、あの黒猫も猫型のまっくろくろすけだったのではないかと思えてくる。俺は今の時代の日本に生まれたことを幸せに思っているが、もう少し自然や生き物を大切にしてくれたらなおいいんだがなあ。
今日は夜勤なので真っ昼間の散歩となり、日差しはなかったものの、やたら蒸し暑くて体力の消耗が激しかった。当初は八王子から峠を越えて片倉まで歩くつもりだったが、ゴーゴーカレーで腹ごしらえをしたら坂を上るのが面倒になり、平坦なコースを歩くことにして目的地を西八王子に変えた。猫の方はあまり芳しくなく、その変更が正解だったかは微妙だった。
1匹目は花街のキジ白。
人通りの多い路地でじっとしているのは、傍らに馴染の芸者さんがいるから。ちょうどお昼ご飯の時間だったようだ。
……なので、今まで聞いたことのないような、可愛らしい声で鳴いている。
この街には古馴染の猫が多いが、こいつはその中でも比較的新しく、初めて見かけたのは2013年6月。どこの所属かは分からない。
夕方から雨が降るとの予報に違わず、次第に雲が厚くなってきた。猫はすぐに雨宿りできる場所でスタンバっている。
あの毛色には見覚えがある。近所の灰白だな。
やっぱりそうだった。食後で眠いのか、舌を鳴らして気を引いても反応が薄い。
西八王子には14:15に到着。職場へ向かうにあたり、来た道を電車で戻るのもつまらないので、めじろ台駅までバスに乗り、そこから京王相模原線~京王片倉~片倉から横浜線というルートを取った。乗り換えに手間のかかるルートではあるが、こうして縄張り点検中の黒に会えたのだから結果的には良かった。
排水口を気にしているみたい。最初は古い擁壁の水抜きかと思ったけど、それにしては不自然なので、あとで古い航空写真を確認したところ、どうやらこの道はかつて水路だったようだ。
こちらに気づいて飛び退いた黒。この辺りも昔は農地だったようだし、やはり君たちはネズミ番の末裔なのだろうなあ。