高架化や地下化、複々線化、新車の導入など、大規模な設備更新を次々に打ち出す小田急や東急と違って、堅実経営(?)で知られる京王線の複々線区間は新宿〜笹塚の3.6kmに過ぎず、高架化が完了しているのも笹塚や八幡山付近などごくわずかだ。今年3月のダイヤ改正で準特急という列車種別が廃止され、特急の停車駅が増えたが、これは線路容量が限界に達していることが理由の一つだろう。朝ラッシュ時、新宿が近づくにつれて電車が詰まってのろのろしたり止まったりするのは京王線の風物詩になっているが、どうせ止まるなら駅で客扱いすれば不満を逸らすことができるからだ。
現在は笹塚〜仙川の高架化工事が進められているが、これは都市計画としては1969年に決定していたもので、着手は2014年。用地取得が困難を極めているため遅々として進まず、計画では今年度末までだった工期が2030年度末までに延伸されている。沿線住民はそれすら実現しないだろうと考える人が多く、俺が生きているうちに終わらない可能性すらある。
ところがこんな京王線でも、終点に近い長沼〜北野だけは高架区間になっているから不思議だ。俺が初めて八王子の街を訪れたのは1988年ごろで、当時はまだ長沼も北野も地上駅だったが、それから数年のうちに高架化が完了した時は驚いたものだった。というのも、そのころはどちらの駅もローカル感に溢れていて、渋谷区に住んでいた俺の目には原野のようにも見え、京王電鉄は設備投資の順番を間違っているのではないかと思ったからだ。あとで知ったことだが、早い時期にこの区間が高架化されたのは、北野駅のすぐ横に国道16号バイパスを通すためだ。天下の大動脈に踏切ができてはたまらないので、当時の建設省に尻を叩かれたのだろう。
前振りが長くなったが、ついにラス前を迎えた今日の京王線猫行脚は、スタートからゴールまで高架区間という唯一のパターン(中河原〜聖蹟桜ヶ丘も高架駅だが駅間は築堤)。梅雨時期ではっきりしない空模様はむしろ猫探しには好都合で、さして早起きする必要もなく、1匹目を発見したのは8時半を少し過ぎたころだった。
背中を丸めてその場に落ち着いた。スタートから3分で見つけられたのは幸先がいいな。
舌なめずりでひげ袋をお掃除しながら逃走。これは舌が引っ込んでいる唯一のアップ写真。
行き止まりの路地で茶トラに遭遇。曇りがちの日は無目的な佇まいなのが多い。
逃走を図ったため先回りしてみた。この辺りは暴れん坊彗星の落下推測地点に近く、いつもの平山散歩でもたまに訪れているが、ここまでの猫はいずれも初めて見る顔だ。
こちらに気づいて振り向いた三毛の背後にも1匹。家族かと思ったけど、ずいぶん体格が違うね。
道路向かいの車の上でまどろんでいるのもいた。みんな同じ家の子かな。
この子もさっきの三毛も首輪をつけているね。かなり体格が違うので、血縁かどうかは分からないけど。
今日は当たりの日らしく、さほど根を詰めて歩いているわけではないのに、割とたやすく猫が見つかる。しかもグループなので、あっという間に規定数に達してしまった。
民家の敷地に黒い影を発見。自宅じゃなさそうだから逃げられるかな。
慎重の上にも慎重を期して接近。この直後、裏手へ逃げてしまった。
2時間10分、7.8km歩いてカメラに収まったのが13匹、逃亡などでスルーしたのが少なくとも数匹と、最近にない盛況だった。最終回の次回は市街地に入るので、これほどの猫は見つけられないかも知れないが、既知の猫拠点はたくさんあるので、恐らくすんなりゴールできるだろう。3年がかりの猫行脚が間もなく終わる。