4月中旬、夜勤前の猫散歩でハクビシンを見かけた日の記事に、「人間の生活圏の拡大とともに、多くの哺乳類が夜行性に移行する傾向を強めている」と書いた。このこと自体はScience誌に論文(Animals feel safer from humans in the dark)が出ているので確かだと思うが、それはある一頭が「真っ昼間に出歩いては危険だ」と反省して行動を変えているのではなく、あくまで夜行性の傾向を持つ個体がより高い確率で生き残り、交配を重ねることで、徐々に変化しているのだろうと書いた。つまりダーウィン進化でそうなっているのだろうとその時は考えていた。しかし色々調べているうちに、その推測は誤りで、夜行性への移行を強めている動物は、人間と接触する機会が増すことで、これではまずいと感じ、一代で行動を変えているのではないかと疑い始めた。なぜなら普段観察している外猫たちの行動がそう見えるからだ。我が国における外猫の朝食タイムは朝7時前後が多く、その時間が近くなると、民家の玄関や雨戸に多くの猫が張り付いている。太陽の高さを基準にしているなら季節によって時間帯がシフトするはずだがそうではないし、雨や雪の日も時間厳守だ。つまり猫は大雑把ながらも時間の概念を持っているということになる。子猫にはそうした習慣はないので生まれながらの本能でもなく、あくまで7時に嬉しいことが起きた成功体験が彼らをそうさせているのだろう。これは逆に、日中の明るい時間帯に失敗体験をしがちな猫が、自らの意思で主たる活動時間帯を夜に移す可能性を示している。生き物というのは、その形状や機能を一代で変えて環境に適応することは難しくても、行動を変えて順応することは普通に行われているのではないだろうか。
……などと考えながら過ごした平和な夜勤を終えたのは10時すぎ。散歩スタート地点の多摩境へ向かう前に、職場近くの団地に立ち寄ってみたが、常駐のキジ白妹はどこかへ出かけているのか姿が見えなかった。散歩の出だしは悪くなく、多摩境を出発して10分歩くと、民家の裏庭でちんまりする猫の姿が見えてきた。
美形のキジトラだなーと思ったけど、よくよく見ると縞模様が途切れているようだ。
こちらが猫好きと悟ると、駆け寄ってきて激しく回転。生ベンガルのごろーんをご堪能ください。
まったく人見知りしないのは血統猫の性質だろうか。人懐っこさも遺伝するというからなあ。
平山散歩でたまに見かけるベンガル(こちら)とよく似ている。血統猫に関する知識はないが、これはアローロゼットと呼ばれる模様のようだ。1匹目から珍しいものを見せてもらった。
今日の散歩の目的は、去年11月から会えずにいるあやめちゃんの消息を知ること。自宅の敷地を覗いてみると、近所の黒白が遊びに来ていた。
こいつは近所の野良猫。時々こうしてご相伴に預かりにくるらしい。
あやめ邸所属の黒白は別にいる。俺には野良の方が懐いてくれるけど。
道路向かいの車の上にキジ白の背中が見えている。でもあれは別人なのだろうな。
最後に見かけた時、あやめちゃんはかなり痩せていたので、正直なところもう諦めていた。今日ようやく婆さんに会えて、2月の終わりに息を引き取っていたことを知った。腕の中で少しずつ冷たく硬くなっていった、16年も一緒だったので娘を亡くしたようだと言っていた。
散歩で見かけた猫は以上。自転車で家へ向かう前に、いつものサバ白のねぐらを覗いてみた。
最終的にはこうなるけど、今日はいつもより潜り込みが浅い気がする。少し親睦が深まったかな?