最近ストレスを感じることが多く、どこかへ出かけたいという思いが強まっていたものの、まとまった休みがないのでなかなか行動に移せなかった。限られた時間で解消する手立てを色々と考えた結果、1泊2日程度でも楽しめて、なおかつ日常から脱却できる方法として、猫を探しに伊豆諸島を訪ねてみることにした。当初は青ヶ島を候補にしていたが、八丈島からのヘリコプターが満席だったため断念。代替案として近場の島々を渡れるだけ渡り歩くことにした。
東京都に属する島嶼は伊豆諸島と小笠原諸島の二つがあり、そのうち今回の旅先である伊豆諸島は、最大の面積を持つ大島のほか、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島という九つの有人島(および100個の無人島や岩礁)で構成されている。三宅島、御蔵島、八丈島の三島については船便が一系統しかなく、往路は東京・竹芝桟橋を夜出発して翌朝到着する夜行便、復路は八丈島を朝出発する昼行便の一往復となる。羽田〜八丈島を結ぶ空路は存在するが、2日間で複数の島を巡ることは難しい。
2日間という日程で複数の島を巡るとなると、海路や空路が充実している大島、利島、新島、式根島、神津島が有利だ。これらは竹芝や熱海、下田を結ぶ海路が複数あるほか、調布から空路を選ぶこともできて自宅から出かけやすい。時刻表と首っ引きで調べたところ、神津島、新島、式根島、利島の四島なら1泊2日に収まることが分かったので、月末まで唯一の連休だった一昨日から昨日にかけて出かけてきた。
旅の初日(7月21日)、神津島へ飛ぶ新中央航空301便は調布飛行場を8:45に出発するが、すでに猫旅は始まっているので、こういう場合は調布駅から散歩を開始するのが習わしだ。通勤途上の散歩で時々立ち寄る「例の2匹」の猫拠点を覗いてみると、塀の上でちょこなんとする長毛が見えた。
近寄れるポイントがないのでこれが精一杯。この子はずいぶん前、2018年7月に見かけて以来。
近寄ったら奥へ引っ込んでしまった。子猫の時は出てきてくれたのに……。
いつもこの家のどこかで見かける子。ここは敷地が広すぎるので、カメラに収まることは割と珍しい。
広い駐車場の片隅に三毛佇む。この辺りは初めて歩くけど、朝はやっぱり猫が出ているんだなあ。
可愛い三毛さん。全身が見えないので、もう少し近寄ってもいいかな。
湯船に浸かっているような風体の猫に遭遇。日差しの湯加減が良さそうね。
お寛ぎのところ済みませんが、ちょっとだけ写真を撮らせてくださいな。
しかし一歩前に出た瞬間、飛び退いてしまった。入浴中はまずかったか。
調布駅から2時間(7.0km)の散歩を終えて調布飛行場にたどり着いたのは8時すぎ。ハイシーズン直前とあってか小さなロビーはそれほど混雑しておらず、出発時刻の近い他路線を合わせて50人ほどが出発を待っていた。
今回利用した新中央航空という航空会社は調布飛行場と大島、新島、神津島、三宅島を結ぶコミューター路線を運行していて、自宅から飛行場までごく近いこともあり、思い立ったらすぐにでも乗れるのではあるが、運賃が定価のみの設定なので割高感が強い。俺が利用するのも1990年夏の大島旅行以来で何と32年ぶり。このほか現在は撤退したようだが、1993年ごろ新潟~佐渡という路線を利用したこともある。当時はどちらも定員9名の小さな機体だったが、現在はドルニエ228という機体に統一されているそうで定員は19名となっている。俺の乗った神津島行きはその機体に15名の乗客を乗せて定刻に離陸し、神津島にはやや早着して40分後の9:25ごろ到着した。神津島空港から集落までは2kmほど離れていて、天気も良かったので徒歩は難儀するかと思われたが、ほぼ森林だったので日陰が多く、散歩としては快適なスタートだった。ちなみにこの日の神津島アメダスの最高気温は28.2℃と穏やかだったが湿度が高く、せめて少しでも曇ってくれないとあとがキツくなりそうだった。そもそも真夏の猫旅は今回が初めてで、そうすることも直前まで想定していなかった。
空港から歩き続けること約1時間。心と体がやや萎えてきたころになって、待望の島猫1匹目を発見。日なたに出ていることは予想していなかったので、ややのけぞってしまった。
あとでGoogleストリートビューを見たら、2014年の画像にこの子らしき猫が写っていた。時間の流れ方が本土とは違うみたい。
かといって奥多摩猫集落のように鄙びているわけでもなく、狭い路地を縫うようにして軽自動車が走り回っている。車が通るたび、いちいち端に寄ってやり過ごしているうちに、俺と同じ方向へ進む猫が見えてきた。
ロックオンされていることを察してか、急に立ち止まって向きを変えた。
よく見ると瞳が白濁している。俺の姿は薄ぼんやりとしか見えていないだろうが、聴覚や嗅覚を駆使して「見極めて」いるのかも知れない。
紙幅が尽きたので続きは次回。「伊豆四島」の猫たちは6回に分けて紹介していくので、どうぞお楽しみに!