サチコが猫トイレを使わなくなってから2年ぐらい経つだろうか。もともと我が家の猫トイレは2匹兼用だったが、ある時期からサチコは高さ20cmほどあるトイレの縁を乗り越えなくなり、床に排泄するようになった。うんちはともかく、おしっこを床にやられると床板が腐るし匂いもきついので、試しにトイレの前に防水シートを敷いてみたところそれが気に入ったらしく、今はほぼ的確にシートめがけてぶちかましてくれる。ただし前の汚れが残っているとほかの場所で排泄することもあり、俺や妻もいつも見張っているわけではないので、部屋掃除している時などに干からびてミイラ化したうんちを発見することがたまにある。後片付けの手間からして、おしっこに愛おしさを感じることはないが、うんちは拾って捨てるだけなので可愛らしく感じる余裕がある。
老猫の世話は排泄関係が多くを占めている。干からびたうんちを眺めているうちに、サチコが死んだ時に何か残すとしたら、うんちが最も適しているのではないかと思うようになった。猫飼いの間でよく聞くのは抜けた髭や被毛、火葬後のお骨などだが、長きに渡るサチコとの暮らしが凝縮されていて、やり方次第で長期保存の可能性があるのはうんちだと思う。本来うんちというのは雑菌の塊だけれども、部屋の隅に転がっているそれは完全に水分が失われ、持ってみると綿のように軽くて匂いもしない。細菌というのは水分、温度、栄養の三つが揃って初めて繁殖するものなので、水分をしっかり飛ばして死滅させ、レジンか何かで固めてやれば、いつまでも形を変えずそこにあり続けるのではないか。調べてみたところ、うんちを保存した例は見つからなかったが、レジンを使ったアクセサリーの作り方はたくさん紹介されていた。試行錯誤になるかも知れないが、たとえ失敗してもサチコが生きている限り材料には事欠かないのでやってみようと思っている。
今日は飛び石の夜勤で気が楽だったので、早起きして朝のうちに散歩を済ませた。以前も書いたようにこのやり方は余計にお金がかかるし、入浴や着替えも増えて合理的な行動とは言えないのだが、その反面たくさんの猫に会えるところが悩ましい。実際、いつも通り日中に散歩していたら、とてもこんなに見つけることはできなかったはずだ。徐々に秋めいてきているとはいえ、今日も最高気温32.4℃で普通に暑かったからだ。
散歩コースは東所沢~新秋津の6.8km。2時間半近くかけてゆっくり楽しめたのも朝の涼しい時間帯ならでは。
最初に見かけた麦わらはご飯待ちらしく、俺が近寄ると建物の隙間に隠れてしまうが、少し離れると元の位置に戻ってくる。これを数回繰り返して俺が先に音を上げた。
リードで繋がっているのでこの家の子だね。私は通りすがりの猫好きなのでご安心を。
薄い毛色とポンポンみたいな短い尻尾の組み合わせは、この先に住む馴染のクリーム猫とよく似ている。700m足らずの距離なので血縁関係者かも知れない。なお背後に見え隠れしている茶色いのは呼んでも反応なし。
今日の散歩はそのクリームに会うのも目的の一つ。人通りが多くなる前にと思って急ぎ向かっていると、給湯器の上に黒い塊を見つけた。
近寄ったら飛び下りたけど逃げ切らない。毛並みがきれいなところを見ると近所の飼い猫かな。
スタートから1時間かかって定点の猫住宅街に到着。軽く舌を鳴らすと塀伝いに馴染の茶トラが近寄ってきた。
相方も現れた。さっき民家の濡れ縁で見かけたクリームの血縁者と疑っていたのはこの子。この写真では尻尾が見えないけど、これなら分かりやすいかも。
クリームはとても懐いてくれて嬉しい反面、常について回るので撮影はムズカシイ。今日は夕方から仕事なのでもう行かなきゃ。
この子は以前にも会っていると思う。顔というより近寄った時の反応で何となく。
一瞬いつもの霜降り三毛かと思ったけど、どう見ても別人だな。
君は子猫のころに一度だけ会っているね! あの時は姉妹と思しき薄色二毛と一緒で、仲良くじゃれ合って遊んでいたね。もうすっかり諦めていたのに、9年ぶりに会えるなんてとても嬉しい。
新秋津駅へ向かうべく猫住宅街をあとにして数分歩けばもう県境。東京都民は日差しを浴びて毛繕いに忙しそう。
ていうかさっきまで雲って涼しかったのに、この日差しじゃ朝のうちに散歩して正解だったな。
散歩の締めくくりは自宅の敷地で寛ぐ茶トラ。食後のまったり中だったかな。
突然の来訪者にどう反応していいか分からず、家人の判断を仰ぐように大きな声で鳴き始めた。通報されては敵わないので不審者はさっさと退散しようっと。