今日の夜勤明けはもう行かないつもりだった鶴見線沿線へ出かけてきた。
最後に訪れたのは去年の5月下旬だから1年2ヶ月ぶりということになる。遠い場所とはいえ行けば猫がいるのだからもっと足繁く通っても良さそうなものだが、そうしなかったのは彼の地が動物が暮らすにはあまりにも不向きな場所だからだ。大規模な臨海工業エリアに属し、工業専用地域という用途地域は基本的にそれ以外の建物が存在しない。埋め立て地なので水場はなく、捕食できるような生き物にも極めて乏しい。そんな場所なので常駐する猫たちも会うたびに状態が悪くなっていくし、指を咥えて眺めるだけの立場でいるのも辛いので、訪れるのは前回で終わりにするつもりだった。今日、それを覆して出かけたのは、ブログ開設当時からお世話になった鶴見線沿線を最後に歩いておきたかったからで、猫が残っていることはほとんど期待していなかった。終端駅で暮らしていた3匹も去年の時点でかなりくたびれていた。
しかしこんな場所でも面倒を見てくれる人はいるらしい。駅構内は猫の子一匹入れてなるものかという雰囲気で、去年までねぐらだった場所もきれいに片付けられていたが、外に出るとすぐに1匹目が目に入ってきた。
去年来た時、駅構内で見かけた3匹のうちの1匹(こちら)かと思ったけど、耳の切り欠きが違っているね。
あとで調べたら2019年5月に会っていた。ここは工業専用地域の中でもわずかに人が居住する例外的な場所で、去年まで駅にいた猫もここを頼って移動してきたのかも知れない。
駅から出てきた茶トラを呼び止めて1枚撮らせてもらった。体はヨレているけど眼光は鋭い。
この子は去年までしか辿れない。ねぐらが撤去された現在、駅はトイレとして使っているらしい。
強い風に目を細める茶トラの背後にもう1匹。これはちょっと分からないか。
今日ここで見かけた中ではこの子が最古参で、最初に見かけたのは2013年12月だから10年以上ここで暮らしていることになる。去年は目やにが目立ったりして気を揉んでいたが、きれいになっているところを見ると、それなりにケアしてもらっているのだろう。やっぱり自分の目で見ないとこういうことは分からないものだな。
いつもの人じゃないからか、きょとんとしている。ほかにも隠れているんじゃないかと思って、舌を鳴らしながらホームの端から端まで歩いてみたが反応はなかった。
扇町、昭和、浜川崎と歩いて帰るつもりだったが、次の電車まで30分近くあったので、シェアサイクルでさらにいくつかの駅を覗いてみた。そもそも俺が猫目的で鶴見線沿線を訪れたのは2006年12月、当時から猫のいる駅として知られていた浅野へ妻とともに赴いたのが最初で(こちら)、2011年7月に猫散歩を初めてからも時々訪ねるようになって顔見知りも増えた。しかし浅野で猫を見たのは2020年9月が最後で、それ以降、猫の気配はまったく感じない。今日も最後の確認のつもりで少しだけ覗いてみたが、状況に変わりはなかった。
シェアサイクルのステーションがある鶴見小野へ向けて住宅地を通り抜けていると、四つ角に猫が佇んでこちらを眺めていた。
微妙な姿勢で固まっている。逃げるべきか留まるべきか、ここが思案の思案橋。
実は人懐っこい子。にゃあにゃあ鳴きながらすりすりしてくれた。
貫録の黒白。川崎や横浜の下町ってこうだから好きなんだよなあ。
巨大さを表現したくて色々やってみたけど、呆れたような顔で見られるうちに、いたたまれなくなってその場を辞去した。この子も人懐っこい上に表面積が大きいので撫で甲斐はあった。