3月19日から23日まで台湾へ旅行に出かけ、たくさんの猫たちに会えたので少しずつ紹介していく。
猫に会うことだけを目的とした「台湾猫旅」は去年で卒業したことになっていて、今回はあくまで旅先でたまたま見かけた猫たちをカメラに収めたという名目である。猫だけを目的に台湾中を80kmも歩き回って200匹以上見つけるなんてことは体力的に厳しくなっていて、それを主目的に据えたのでは辛くて旅を楽しめない。とはいえ旅の楽しみ方を広げるとなるとテーマが拡散する危険も孕んでいて、多動な俺の性格からするとどれも中途半端になりがちなので、今までは敢えて猫というただ一つの目的に絞ってやってきたわけである。急にそこから離れることはなかなか難しいし、何より彼の地には忘れられない知り合いが何匹もいるので、せっかく行くならせめてそうした猫たちの無事は確認しておくつもりで出発した。
今までと違って記事を書くための充分な時間が取れないので、初回の今日はまず今回の旅のコースをざっと紹介しておく。初日(19日)はいつもの中華航空223便で台北松山空港へ飛び、両替や悠遊卡にチャージするなどしたあと基隆市暖暖→瑞芳→新北市菁桐を訪問。これらは台湾渡航時にはほぼ必ず訪れる場所で、主な目的は馴染の猫たちの元気な姿を確認することだ。日没後は基隆へ移動して夕食その他を済ませ、22:30発の馬祖航路(新臺馬)で次の目的地である澎湖県・東引島へ向かう。
東引島には2日目(20日)の11時半に到着し、その夜は隣の西引島の民宿に泊まった。連江県東引郷に属する両島は道路橋で繋がっており自由に行き来が可能だが、西引島は無人島で、俺が泊まった宿のほかには軍事関連施設や海水淡水化施設があるくらいだ。1,500人ほどの人口は東引島に集中しており、ほかには軍人が1,000人ほど駐留している。ここは大陸から16kmと近いことから重要な軍事拠点になっており、宿からは射撃場らしきものも見えたし、夜には射撃訓練の音も聞こえていた。わざわざこのような場所へ赴いたのは西引島が台湾最北端の地だからで、泊まった宿も台湾最北端なら、そこで暮らしていた10数匹の猫たちも恐らく台湾最北端の猫だったろう。今回はそういうことをしてみたかったのである。
3日目(21日)は朝早くの船で東引島を発ち、南西に60km離れた南竿島に立ち寄って3時間ほど散歩したあと、お昼すぎの立榮航空8732便で台中へ。台中空港の最寄り駅である清水から沙鹿まで1駅だけ散歩したあとは、台中から高鉄に乗って高雄へ南下し、さらにバスを2本乗り継いで鵝鑾鼻へ。つまり今回は台湾の最北端と最南端をハシゴして歩く旅なのである。ちなみに日本の最北端と最南端は約2,900km離れているが、台湾の場合500kmしか離れていないので、同日中に到達することは容易い。
4日目(22日)は朝の鵝鑾鼻を散歩したあと、9188路のバスで屏鵝公路を北上。途中いくつかの集落に立ち寄ったあと、5回目の訪問となる枋寮では4時間の大休止を設けた。これは当地の知り合い猫に会いたいという理由のほか、枋寮郷に存在するという小さな飛び地を訪ねてみたかったからだ。枋寮からは17時すぎの莒光号に乗って高雄へ向かい、その日は哈瑪星の商務旅館(ビジネスホテル)で洗濯物をやっつけるつもりだった。
帰国日の5日目(23日)はいつものように台北松山空港から中華航空222便に乗るのではなく、高雄空港13:10発の同169便で成田へ飛んだ。フライトまでの時間は三度目となる旗津島横断散歩を敢行するつもりだったが、諸般の事情により中止し、この日はまったく何もしないまま帰国の途についた。理由については今後の記事で触れる。
駆け足になったが以上が今回の旅のあらまし。前置きが長くなるのもアレなので、まずは初日の19日、暖暖で見かけたキジ白グループから行ってみよう。
中華航空223便は羽田空港を7:55に発ち、きっかり4時間かかって台北松山空港には10:55(台湾時間)に到着する。夕暮れまでに暖暖、瑞芳、菁桐の3箇所を鉄道やバスだけで回ることは難しいが、空港から暖暖までタクシーで移動すればかなり時間の節約になって、電車なら13:18にならないと着かないところ、11:50には散歩をスタートできる。当てにしていた消費金の抽選には今回も外れたが、23kmの道のりを30分あまりかけて走って735元(約3,300円)なら乗った甲斐があるといえるだろう。
猫の方はキジトラ白(brown mackerel tabby and white)とキジ渦白(brown classic tabby and white)の組み合わせ。このアパートではよく猫を見かけるけど、君たちは初めてかな。
きょとんとしておる。去年は盛況だった暖暖だけど、今回は寒いし天気も悪くて厳しいかなー。
昨冬の台湾は気温が低く、それが原因で死者も出たそうだが、その影響は今回の旅行中も続いていた。この時の気温は15℃ほどで日差しはなく、薄手のジャンパーを羽織ってもまだ少し寒い。場所によっては日没後に8℃程度まで下がったところもあったようだ。猫は階段下の敷地からこちらを見つめている。
去年もここで見かけた子(こちら)かなと思ったけど、反応がまるで違って歯が立たない。
いい感じだったのもここまで。お触り禁止らしく、手を出したら逃げてしまった。
午後の数時間に3箇所の訪問地を詰め込んだので、暖暖の散歩時間は約1時間半と短め。猫影が薄いことに落胆しつつ媽祖廟まで戻ってくると、黒味の多い黒白が大きな声で鳴いていた。
こちらは近寄っても逃げ切らない。というか君、見覚えのある顔だね。
この子は2023年3月以来2年ぶりの三度目。2019年11月が初出で、その後間もなくしてCOVID-19の世界的パンデミックに突入したため、再会まで3年半近くを要したという思い出深い子。
そう考えるとこの5年あまりは本当に色々なことがあったよなあ。君も元気そうで良かったよ。
「托福托福、日子還過得去(お陰さまで何とかやっていますよ)」
初めて訪れた時は猫の巣窟だったこの辺りも、だいぶ減ってきたらしく、媽祖廟の周囲で見かけたのはこの子だけだった。外国だっていつまでも同じではない。
13:18発の4182次に乗るため駅へ向かっていると、細い通路に黒猫がいた。これはプスプス言って一時停止してもらったところ。
この手の道は逃げられる。せめてズームを駆使してもう少し寄せたいな。
何とか逃げ切らずに暖暖最後の猫の撮影に成功。このあと電車で2駅隣の瑞芳へ移動し、馴染の猫を訪ねるべくいつもの路地へ向かった。この続きはまた明日。