氷雨の親子


小平市の猫

 暇だった夜勤を終えて、いつもより早く職場を出ると、明け方から降っていた雪が冷たい雨に変わっていた。気温は下がり続けていて、休憩などで外出した夜中よりも、むしろ寒くなっていた。外套を濡らしながら、新小平から小川まで歩いてみたが、こんな日に猫に会えるとはとても思えなかった。途中、数軒ある猫民家の軒下は、どこももぬけの殻だった。
 しかし、人間も動物も、生きるためには、どんな時でも出歩かなければならない場面がある。冷え切った体とかじかんだ手を持てあましながら、とある路地に差しかかると、何かと対峙する茶トラ白に遭遇した。
小平市の猫

小平市の猫

 茂みの向こうへ逃れた茶トラ白を目で追うと、小さいのがこちらを見つめていた。
小平市の猫

 心配そうに、茂みの向こうから子猫を呼ぶ茶トラ白。お母さんだったのね。
小平市の猫

小平市の猫

 子猫はこちらに興味津々で、なかなかその場を動こうとしない。背中が濡れているけど、お母さんにくっついて休めば、すぐに暖かくなるね。
小平市の猫

 茂みの2匹に会えて、いっとき寒さを忘れたが、歩き始めれば再び寒い。新小平~小川はあくまで乗り換えのついでで、このあと西武立川から拝島まで散歩するつもりだったが、雨は降り続いていて、台湾へ行く前にカメラが壊れては困るので、大人しく帰ることにした。
 そしてもう1匹。
小平市の猫

 時間の経過とともに暗くなる空模様で、瞳がまん丸。雨が降ろうと雪が降ろうと、そこに待ち人が現れるまで、猫は佇む。
小平市の猫

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