昨日に続いて今日も郡部の散歩。朝のうちは雲に覆われて暗かったが、時間が経てば晴れることを見越して、奥多摩の猫集落に行ってきた。7:35の下り電車に乗り、奥多摩に着いたのは8:38。青梅での乗り換え時間が1分未満の最速に近いスジではあるが、立川寄りに引っ越したため、以前より15分ほど余計に時間がかかるようになった。通勤通学時間帯の車内はかなり混んでいて、東青梅まで座れなかったが、ちょうどそのころ中央線で人身事故があったそうで、出るのがもう少し遅かったら、西武拝島線を目指す難民でもっと混んでいたかも知れない。
現地に到着するまでの1時間ほどで、見事に天気は回復し、抜けるような青空が広がった。1台しかないタクシーが出払っていたため、先に氷川の街を一回りすることにして歩き始めると、すぐに黒白が目に入ってきた。
天気が回復したのは良かったが、今度はコントラストが高すぎる。猫の方も眩しくて目が開かない。
はなちゃんに会うため、細い旧道をゆるゆると進む。山間には貴重な日差しを求めて、屋根に登っているのがぽつりぽつり。
山間の日差しがなぜ貴重なのかと言えば、それは高い稜線に遮られて、お昼前後には日が翳ってしまうからだ。猫は急速充電が必要だし、人間も早いうちに洗濯を済ませておかなければならない。そういうわけで、この地の生き物はおしなべて朝が早い。
……まあそれはそれとして、猫はどこでしょう。
はなちゃんの家は婆さんごと不在のようで、会うことは叶わず駅前に戻ってくると、見覚えのある黒白が山を背負って佇んでいた。
南東の方角を向いたまま、呼んでも動かない。眉間の三日月が特徴のこの子は、いつもなら駆け寄ってきてごろごろすりすりが止まらなくなるんだが、来るのが少し早すぎたかなあ。
唐突な三毛のアップは猫集落の1匹目。上の縄張りで唯一、茶色い被毛を持つ子だ。
今日はいつもより少ないな。この集落で猫が中に入れる家は恐らくここだけだから、暖かいところで丸くなっているのかも知れない。
侵入者の接近により、警戒態勢に入った茶トラ白。背後のキジ白も緊張の面持ち。今日はもう帰るから、その前にちょっとだけ頼むよ。
やや淋しくなった猫集落をあとにして、氷川に戻ったのは正午前。雲に翳った駅前にたどり着くと、黒白が路地の出口を塞いでいた。
朝にも会った三日月君だった。もう充電は終わっているはずなのに、呼んでもぜんぜん反応してくれない。どうやら何かに注目しているようだ。
しかし、こちらに気づいた可愛子ちゃんがすっ飛んできたのは、三日月君ではなく俺の懐だった。他人の恋に割って入ったようで、何だかとても申し訳ない。