昨日からマコちゃんの容体が安定しているので、今日は滞りがちな四国・台湾猫旅から太麻里編の後半を載せていく(前回の記事はこちら)。
後半といってもこの日(3月23日)の朝一発目は太麻里街の宿から1km離れた駅まで歩くだけ。猫散歩は金崙からスタートするつもりだったが、深夜のチェックインでも顰蹙を買わないよう「ホテル」を標榜する宿を選んだ結果、1駅隣の太麻里に泊まることになった次第。しかし結果的には民宿よりもホテルの方が居心地がいいし、最終夜となった猫旅の疲れを癒すこともできた。帰国日となったこの日、台北から遠く離れた金崙を散歩地に選んだのは、夥しい数の猫に遭遇した去年の興奮が忘れ難かったからだが、そこへ至る前に猫にも会えて幸先のいいスタートだった。
太麻里駅までの道程はいよいよ大詰めとなり、海岸沿いの台9線(省道≒日本における国道)から伸びる上り坂に差しかかった。これを突き当たりまで行って右に曲がれば駅前に出る。
近寄ったら逃げそうな顔つきのキジトラ。背中を丸めてこちらを眺めている。
机の上にちょこなんと座る泥棒柄の黒白。7:20という時間からしてご飯待ちかな。
黒白の住む坂を上り切った角には猫民家があって、去年の猫旅では2018年11月以来4年半ぶりという茶トラ白に再会した。今回も旅行前から会えることを期待していたが、あいにくこの日は現れずほかの猫も見当たらなかった。家の前で様子を窺っているうちに「小心落果、注意安全」と書かれた貼り紙が目に留まり、頭の上に椰子の実がぶら下がっていることに気づいて、飛び退くようにして太麻里駅へ向かったのだった。あの高さから直撃を食らったら普通に死ぬ。
太麻里7:40発の304次自強号に乗り、散歩スタート地点の金崙には7:48に到着した。「新自強」とも呼ばれるこの列車は全車指定席で、たった1駅でも無座(立席承知)で乗ることが許されない。がらがらの車内で指定された座席に座り、車窓に広がる太平洋を眺めているとずっと乗っていたい気分になるが、120km/hで飛ばすEMU3000形電車だとあっという間だ。
金崙駅では猫が出迎えてくれた。
……そしてほどなく納得した表情に。去年もここで会ったこと、思い出してくれたかな。
駅前の緩い坂道を上るとそこはすでに猫の巣窟。去年も覗いた猫路地では2匹の猫が朝日を浴びて寛いでいた。
おはようございます。君ともう1匹だけということは、朝ご飯は終わっちゃったんだろうね。
2匹とも去年も見かけた子だけど、あの時はもっとたくさんいたのでアップは撮らなかった。まあいずれにしても元気そうで何より。
大きな鈴をぶら下げているので近所の飼い猫かな。時に薄雲がかかったりもするけど、気温はすでに25℃ほどになっていて、傾斜地に展開する集落を歩き回っていると汗が吹き出てくる。加えてこの日は土曜日なので、時間の経過とともに観光客が押し寄せてくるものと思われ、目ぼしい場所は日が高くなる前に回っておかなければならない。俺は2014年12月に初めて台湾の土を踏んで以来、一度として旅程に土日を含めたことはなかったが、今回はサンライズで東京を発った18日を含めて6日間の旅程なので避けようがない。週末の台湾はどこへ行っても混むらしく、特に花蓮や台東方面は鉄道の切符も争奪戦になると聞いているので、台湾人の国内観光スポットとして人気の高い金崙もその例外ではないはずだった。
背中のリュックは通りすがりの雑貨屋に預かってもらえてだいぶ楽になった。疲れが溜まっていたので「羽が生えたよう」とまでは行かなかったが、お陰で2時間半ほど確保した散歩タイムを目一杯楽しめそうだった。
猫は酒屋の店先でまったりしている。
きれいな毛並みの黒。台湾の田舎なので野良も多いはずだが、犬と違って猫は身綺麗にしているし、あまり区別せずに面倒を見てもらっているのかも知れない。
酒屋の道路向かいには茶トラ白もいた。いよいよ猫の巣窟たる金崙の本領発揮か。
こちらは首輪のついた飼い猫。ちなみに台湾では猫に対しても狂犬病予防接種済みの鑑札を発行しているようだが(一例)、ここ何年かはまったく見なくなった。猫にはサイズが大きすぎるからかな。
去年も歩いた目抜き通りをさらに進んで街外れの橋を渡っていると、唐突に猫が行く手を遮った。
ごろーん。人間は国によってジェスチャーが違うのに、猫の挙動が世界共通なのは不思議だねー。
薄目を開けてアピールしている。君のことははっきり覚えているよ。去年もここで転がってくれた子だね!
懐く茶トラを伴って対岸へ渡る。去年の記事にも書いたことだが、この付近には台湾では珍しい飛び地が存在し、金崙駅からここまでが太麻里郷金崙村、ゲートの70mほど先からは金峰郷飛び地の賓茂村に変わる(ここでいう村は日本における大字に相当する)。どちらも主に原住民の排湾族が暮らす集落だが、両者はルーツが異なり、賓茂村の排湾族は屏東県から移住してきた部族なのだそう。こいつがどちらの所属かは分からないが、去年も橋の上で見かけたところからすると太麻里郷民と思われる。次回は人懐っこいこの子から紹介していくので、それまでの待ち切れない想いはこちらの動画で紛らせていただければ。