「夜勤ばっかりじゃやだ」と文句を言い続けたお陰で、今月から日勤が増えたことは喜ばしいんだが、11月にもなるとすっかり日が短くなり、早起きしてもまだ日の出前なので暗くて寒い。今さら夜勤に戻してくれとも言いにくいので、大人しく早朝散歩に励むことにして、家を出たのは6時ちょうど。日の出10分前のことであった。
晴れの予報が出た時点で、今朝は緑道を歩くことに決めていて、なぜかというと猫駐車場のメンバーに会いたかったからだ。今年2月に見かけたあと、広大な駐車スペースの半分近くが建売住宅になり、それと同時に猫たちの姿が見えなくなった。中でも特に人懐っこいゴメン顔の茶トラ白の安否が気になっていて、季節が良くなったら訪ねてみようと思っていたのだった。
しかしこの季節の7時は少し早すぎたようだ。ゴメン顔どころか、長い緑道でただの1匹も猫を見かけることはなく、終点まで来たところで、ようやく巡回帰りと思しきキジトラに会えた。
逃げられるかと思ったけど、意外に平気みたい。そういうことなら挨拶しとこうかね。
日が出たばかりでまだ影が長く、路地に日なたは限られている。しかし猫はちゃんと知っている。
アパートの廊下に退避したところ、真正面に俺がいるので進退窮まった茶トラ白。
避けてはいるが逃げはしない。これは脈があると思っていいんだろうか……。
かつて、びっくり顔や毛玉三毛の憩いの場だった駐車場。久しぶりに立ち寄ったら、ぽつねんと日なたぼっこしている猫がいた。
学校裏の個性的な息子じゃないの。あとで寄ろうと思っていたので、ちょうど良かったけど、こんなところまで出張っているとは知らなかった。
散歩のゴールは西国立。まっすぐ職場へ向かえばいいものを、どれだけ遠回りするんだ俺。