俺はレストランでメニューを選ぶ時など5秒以内を目標にしているくらい即断即決なんだが、今日の散歩コースは直前になるまで決められなかった。連休を大切に使いたいと思う一方、行きたいところと所持金のバランスが取れない。要するに金欠なんである。
限られた時間と予算で少しでも日常から離れたい(遠くへ行きたい)時、俺のような東京多摩北西部に住む人間は中央線を下るに限る。東京から放射状に伸びる路線は、中央線のほか、東北線、常磐線、東海道線などいくつかあるが、それらのいずれもが都心を通り抜けたり、環状線での移動を強いられたりして、旅の端緒につくまでの時間がかかりすぎる。その点、中央線なら八王子や高尾に10~20分ほどで出られるので、早く出発すれば朝のうちにかなり遠くまで行き着ける。ただし中央線で気をつけなければならないのは中距離電車がショボいことで、高尾から先は山岳地帯で沿線人口が極端に少ないため、平日データイムは毎時2本しか列車が来ない。しかも中央快速線の複々線化と緩急分離が頓挫したお陰で、多くの列車は高尾より都心に近づけない。時間を無駄にしたくないなら特急一択となるわけだが、6時台のうちに散歩を開始したい(じゃないと暑くなって猫が見つからない)という条件に合わず、今回は普通列車で大月を目指すことにした。
平山城址公園から1時間もかからず、スタート地点の大月駅に降り立ったのは6:19。最初の猫は駐車場の奥の方にいた。
少しお澄まししたあと、再び毛繕いに戻った。毛の長い猫は休んでる暇ないな。
でも興味はあるみたいで、少しずつ間合いを詰めてくる。まだ若い子だね。
立ち去る時、ずっとこちらを見つめていた。ああっ、また大月来なきゃならない!
散歩開始から50分経過。気温は15℃ほどだが、日差しが強くて、すでに猫が見つかる気がしない。渓谷沿いの道端で小休止していると、日陰の闇に不審な気配を感じた。
さっきより多少マシかな。久しぶりに本格的なスモーク猫を見た。
そしてこの子が最後の大月猫。このあと隣の猿橋駅まで歩いたが、これ以降一匹たりとも見かけなかった。
家に帰る前に髪を切りに行くことにして、ついでに某巨大公園に寄り道した。日なたと日陰の境目に茶トラ係長がいる。
暇といっても多少はお客さんが行き来している。高齢の係長は動くのが一層億劫になっているようだった。
この子は西立川時代に時々見かけた子。思ったよりお年を召しているようだ。
小さく鳴いて立ち上がると、尻尾を立ててポーズしてくれた。可愛い子。