夜勤が明けて職場を出ると雲の合間からところどころ青空が覗き、翳っているうちは涼しくて快適だが、少しでも日が差すと途端に蒸し暑くなって、丘陵地帯を歩くことが苦行と化す。20分おきに来るバスの時間調整を兼ねて、あまり実績のないニュータウンをだらだら歩いていると、盛り土の斜面の向こうから猫が1匹やって来て、木陰で腰を下ろすのが見えた。俺も少し休みたいと思っていたところなので、ご一緒させてもらおうか。
殺風景で日陰の少ない道路際を避け、緑豊かな団地内を行く。巡回中と思しき猫がこちらを窺っているのが分かるかな。
誰かと思ったら、この上の団地に住むクリーム猫だった。滅多に足を踏み入れない場所なので、知り合いに会うとは思わなかった。
この子の特徴はこの毛色。一応クリームに分類しているが、濃い茶色がまだら状になっていて、単なる茶トラ白の希釈ではなさそうだ。
今日の散歩コースは片倉から北野まで。蒸し暑いのを我慢して4kmほど歩いてみたが、会えたのは目の前で転がっているこの子だけだった。
この子に会うのは半年ぶり2回目。また来るからねー。
散歩を終えて自宅に帰ったのは13時。猫ヶ丘の山道を通り抜けていると、小柄なクリーム猫が赤とんぼを眺めていた。
一瞬クリ坊かと思ったが、そうではなかった。長い耳毛が長毛の血筋を忍ばせる。
きれいな赤い毛並みは緑の草むらによく映える。この場所で猫を見るのも久しぶりだった。