父の四十九日法要のため、今日から29日まで北海道に滞在している。8月10日に死去し、それから49日目の今日は夏休みまっただ中。気兼ねなく予定を入れられた反面、必ずしも本意ではない旅なので微妙な気分だ。今日はお昼すぎに法要を済ませたあと、あらかじめ局留めで送ってあった私服に着替えて猫散歩を実施し、この記事が自動公開される18時ごろは、五稜郭あたりで寿司でも食べているはずだ。
俺の両親は学生結婚で、大学4年の卒業間近に第一子の俺が生まれた。函館近郊に就職が決まっていた父は、そういうわけで、どうあっても卒業せねばならず、俺がおぎゃーと産まれた時は、教務課へ卒業論文を出しに行っていたそうだ。津軽海峡を渡る赴任費用に出産費用が加わったため金がなく、家族3人が最初に住んだ家はおんぼろの木造長屋だった。俺の幼少期の記憶はここに住んでいた3~4歳ごろから始まっていて、当時すでに相当ガタが来ていたように思うが、何とその家は今も建っていて人が住んでいるらしい。今回の旅では、そうした思い出の地をゆっくり散歩しながら、あわよくば猫とも戯れられたらいいなと思っている。
記事は事前に予約投稿しておいたもので、先日に続き、今月9日の福生散歩で会った猫たちを紹介していく。前回は河岸段丘の坂の下でお昼寝していた黒白で終わったが、河岸段丘であるからには、さらに下れば河岸に行き着くわけで、次の猫は河川敷の広い芝生で見かけた茶猫。そろそろ日が高くなって気温も上がり、日なたに出ている猫は少なくなってきた。
緑の芝生に映える毛色はレッドクラシックタビー。呼んだら鳴きながら近寄ってきた。
カメラの前にどてんと腰を下ろして毛繕い開始。物怖じしない子だね。
人懐っこいのは嬉しいが、この子の身の上は推して知るべし。ごめんよ、俺、迎えの人じゃないんだよ。
日が高くなって気温が上がり、多くの猫は草葉の陰に隠れている。カメラを向けると藪蚊が一斉に群がってくるので、一時もじっとしていられない。
こんな場所なのに、君はきれいな顔をしているね。猫にも蚊に刺されない体質ってあるのかな。
時刻は10時を過ぎ、草むらの黒白を最後に猫影は途絶えた。これ以上歩いてもさしたる成果は見込めず、さっさと切り上げて帰りたいところだが、あいにく駅もバス停もはるか彼方。疲れた足を引きずりつつ歩くこと50分、街外れの団地にたどり着いた時には、散歩開始から4時間が経過していた。
この日は一日だけの休暇に予定を詰め込んだ。散歩を終えたあと、午後からは父の部屋に清掃業者を入れるため、羽村市内へ移動しなければならない。再び青梅線の電車に乗り、最寄駅の小作から歩き始めて間もなく、歩道に1匹の猫がいることに気づいた。
どこかで見た顔のような気がして、帰宅してから調べたら、5年前の10月にも会っていた。多少くたびれた感じがしないでもないけど、まあ元気そうで何より。
父の家の近くには何匹かの猫が暮らしている。ここまで来ると、俺より父の方が顔が広いかも知れない。
仏頂面の老人が酒と煙草を買いに行き来していただろう? あの人死んじゃったんだよ。俺もここへ来る用がなくなったので、君に会うのも最後かも知れないな。