落葉の猫集落(2)


青梅市の猫

 名古屋猫旅は2日間で27kmも歩いて死ぬかと思った。名古屋というのは予想以上に起伏に富んだ街で、急な斜面でも躊躇なく直登する道が多く、時に絶望的な気持ちになったりもしたが、モチベーションを保ちつつ予定区間を踏破できたのは、ひとえに彼の地の猫たちのお陰だ。
 今回の遠征は、来月予定している台湾猫旅の試金石にもなっている。今度の旅程は4泊5日と長い上、スクーターを借りて秘境に分け入ったり、離島に渡る予定もある。言葉も分からなければ食べ物も違う異国の地で、体力や精神力が持つかどうか、自分でも量りかねているからだ。まあ俺はそんなにヤワではないけれども、危機意識は持っておかなければならん。
 さて、今日は休養日のため散歩はお休みで、夕食当番でもあるので、先月29日から載せられずに残っていた、奥多摩猫散歩の後半を紹介する。前回は氷川で会った猫たちを紹介したが、スタートがやや遅かったため、各種公共工事などで街は賑やかで、思ったほどは見つけられなかった。
 氷川散歩を切り上げて、山奥の猫集落へ向かったのは10時すぎ。平場の隅に車を止めて、上の段の猫拠点へ歩いていると、黒いのが1匹、ぽつねんとしてこちらを眺めていた。
奥多摩町の猫

 おー来た来た。集落でいちばん人懐っこい子。
奥多摩町の猫

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 以前から右目が悪かったが、左目にも炎症があるようだ。寒くなったことだし、免疫力を回復するには、栄養のあるものをたくさん食べないといけないな。
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 狭い集落だから、よそ者の気配はすぐに伝播する。様子を見に下りてきたのが1匹。
奥多摩町の猫

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 こいつは古株。ぼろぼろになった耳朶が苦労を忍ばせる。俺にはまったく懐かない。
奥多摩町の猫

 日が翳ったので、改めて黒を撮ってみる。日差しが強いと被毛がテカっちゃって、きれいに写らないんだよね。
奥多摩町の猫

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 下の段の様子を見に行くと、茶トラ白の見張り番のほか、坂の下からも1匹現れたところだった。
奥多摩町の猫

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 まったく気を許す気配がない。先々代先代も優しかったのに……。
奥多摩町の猫

「よそを訪ねるというのに、手ぶらで来るからだよ」
奥多摩町の猫

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 下の縄張りには茶トラ白が2匹とキジ白1匹。
奥多摩町の猫

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 猫集落には40分ほど滞在したが、出てきたのはこの子が最後。
奥多摩町の猫

 この子に初めて会ったのは2014年11月で、当時生後3ヶ月ほどだった。現在は4歳(人間換算で32歳)で青年期にあたり、年齢の割にややくたびれて見えるが、野生動物と対峙しなければならない山の暮らしでは、このくらいが普通なのかも知れない。
奥多摩町の猫

 氷川に戻ったのは11時半。駅前を一回りしていると、朝も見かけた三毛が路地裏に出てきていた。
奥多摩町の猫

 使われなくなったコンプレッサー。かつて駅前食堂だった建物なので、食材を保管する冷蔵庫だろうと思う。
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 氷川から奥多摩猫集落へ行くには、かつてはバスを利用していたが、駅前にカーシェアリングのステーションができてからは、自分で運転して行けるようになった。今回奥多摩駅前ではなく青梅で車を借りたのは、途中、寄り道したい場所があったからだ。平日日中の青梅線(青梅以西)は45分毎の運転で、途中下車して寄り道するには時間が足りないし、90分では長すぎる。車ならこの微妙なは問題にならない。
 この日、最後に立ち寄ったのは、山腹トリオの駐車場。今や1匹だけとなったキジ白が元気でいてくれた。
青梅市の猫

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 差し出した手をスルーして、俺の車を嗅ぎ回るキジ白。
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 一通りチェックを終えて、ようやく挨拶に成功した。4月以来の7ヶ月ぶり。
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 もともとあまり懐かない子だったが、1匹になってからは、ずいぶんごろごろするようになった(動画はこちら)。人恋しいんだろうか。
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 お土産のカリカリを丁重に辞退して、俺を見送るキジ白。冬のうちにまた会いに来るからさ。
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