家から自転車を漕ぎ出して1分後、背後からにゃあにゃあ声がして振り向くと、猫が追いかけてきて目の前で転がった。もしかしてこれは撫でろということかな。
おや、君はうちのサチコに似ているね。一瞬、家から追いかけてきたのかと思ったよ。
この子と同じように、サチコも色斑が鼻にかかっていて、鼻の頭がピンクではなく暗い赤になっている。この特徴を持つ猫はそれほど多くなく、赤黒い鼻の鉢割れキジ白を見ると、サチコと見まごうことが時々ある。
君はどこかの飼い猫なのかな。もし困ったことがあったら、線路端の路地を訪ねてみるといいよ。
今日の猫散歩は拝島から西武立川までの5.9km。温水パイプにしがみついて離れない麦わらさんに会いたくて選んだコースだったが、今日は日差しがあって暖かかったせいか、麦わらさんは植え込みの奥で木漏れ日を浴びたまま寝入っており、カメラに収めることは叶わなかった。
最初に見かけたのはマンションの壁際に張り付く黒。
一応、目が開いている時にシャッターを切ったつもりなんだが……。真っ黒すぎてどこに目鼻がついているのかさっぱり分からん。
次の猫は灰色。黒のダイリュート(希釈色)だから目鼻は分かるはず。
めっちゃ睨んでいる。とてつもなく臆病な子なので、カメラに収まることはあまりない。
かつてこの裏手にもっと小さな町工場があり、こいつはそこの婆さんが可愛がっていた猫たちの1匹。今は駐車場になったその場所に猫の姿はないが、1匹でもこうして無事に暮らしているのはとても嬉しい。
温水パイプの猫拠点で麦わらさんの寝姿を眺めたあと、撮影を諦めてさらに先へ進むと、民家の縁側で寛ぐ黒白に遭遇した。
プスプス言って何とか目を見開いたもらったところ。眼窩が窪んでいたり、アクセサリーアイラッシュ(上睫毛)が影を作ったりするので、冬の日差しは本当に撮影が難しい。
場所を移ってくれたのはありがたいけど、あんまり変わらないかな……。
説得の甲斐あって、最後の1枚は日なたで撮らせてもらえた。今度お礼に美味しいもの持ってくるからね!