本来なら明日から2泊3日で鹿児島へ猫旅に出る予定だった。ピーチ航空の「就航9周年記念セール」にまんまと釣られ、成田〜鹿児島2,490円という便が取れたので、子供のころからの夢だった指宿枕崎線に乗って、ついでにいくつかの街で猫を探すつもりだった(当時の本命は鹿児島交通枕崎線だったが、叶わないまま1984年に廃止された)。
ところが予約から2週間後の3月16日、明日の往路(MM555便)と22日の復路(MM556便)はどちらも欠航するので、ほかの運航日に振り替えるか払い戻すようにとのメールが届いた。今はコロナのさなかであるし、平日の便でもあるので、売れ行きが振るわなかったのだろう。飛ばすと周知した以上は座席が空っぽでも飛ばすのが公共交通機関の務めとは思うが、会社が潰れては元も子もない。職場に休暇を調整してもらって、往路を4月26日、復路を4月28日に振り替えたのだった。
しかしそれから20日後の今月5日、振り替え便を欠航するので、再度ほかの運航日に振り替えるか払い戻すようにとのメールが来た。これにはちょっと頭に来た。仕事を休むこと自体は難しくないが、交替勤務なので、一度決まった勤務シフトを変更するとなるとほかの人に影響する。欠航する方は同報メール1本で済むだろうが、こちらは職場で同僚に頭を下げなければならないのである。コロナで旅客が減っているのは昨日今日始まったことではなく、それを分かって仕掛けたセールなのだから、売れ行きが悪くて欠航するくらいなら最初からやらなければいい。それでも旅客を集めなければ会社が潰れるというなら、旅客運送業としてではなく、旅行業(ツアー)として最少催行人数を設定するべきだ。
……などと思いの丈を呪詛のように唱えてみたものの、すでに俺の旅心には火が付いており、完璧な旅程表もできているし、ストリートビューで指宿や枕崎の猫拠点も見つけてある。ピーチの手玉に乗せられていることに釈然としない思いはあるが、今さらこの火を消すことは難しいので、仕方なく再び搭乗日を5月6日と8日に振り替えたのだった。
そして今日、みたびの欠航通知を受けて俺は絶望している。ピーチなんか二度と乗るかボケ!
夜勤明けの猫一匹目は、バス停近くの団地で見かけた馴染のキジ白。久しぶりだからか少し警戒気味で、植え込みから離れない。
こちらは恐らく姉妹猫。慎重な性格からお姉ちゃんではないかと想像している。
今日は朝から晴れ渡り、俺はもちろん、猫にとっても日なたは少し暑いようだ。ちなみにこのころ気温は18℃ほど。
お姉ちゃんは遠巻きにこちらを見ている。近寄ると茂みに隠れてしまう。
散歩コースは京王よみうりランドから稲田堤まで。ここのところ猫影が薄く、場合によっては玉砕も考えられるコースだが、それでも敢えて選んだのは、稲田堤の農家でのらぼうを買いたかったからだ。収穫期的にはそろそろ終わりに近く、販売所に出ていたとしてもすぐに売れてしまうので、運が良ければというレベルで覗いてみることにした。ちなみに「のらぼう」というのは東京都多摩地区を中心に栽培されている葉野菜で、収穫期は3月下旬から4月下旬。調理法はホウレンソウに準じるが、それよりも甘みがあって柔らかいのが特徴だ。俺などは葉物の中でいちばん美味しいくらいだと思っているが、栽培しているエリアが限られている上に、しおれやすいことから流通が難しく、多摩地区のほかは埼玉県や神奈川県の一部でしか手に入らない。桜が咲いてこの野菜を見かけるようになると、多摩の人は春を実感するようだ。
一昨年の9月に初めて見かけて以来、今日で4度目の白。警戒心がとても強く、近寄るともうこれ以上無理ってくらい目が丸くなる。
居場所はやはり日陰が多い。今年もまた暑さにやられる季節が近づいてきたか……。
地面の茶トラは目を細めている。昨日の強風で塵が飛ばされて、日差しがとても眩しい。
茶トラと別れてすぐに、行く手を三毛が横切った。今日は割と調子いいかも。
下草が生えていると涼しそう。こいつは車の下などよりこういう場所を好むようだ。
こいつの縄張りはのらぼう農家の広い所有地の一角にあり、ここにはほかにも多くの猫が暮らしている。俺自身は以前より少なくなったと感じていたが、農家の婆さんによれば「今もたくさんいる」のだそうだ。肝腎ののらぼうはあいにく売り切れで、明日以降もまだ少し収穫があるとのこと。「予約しておいた方がいい」との勧めに従い、明後日また来ることにしてその場をあとにした。
見えなくなるまで逃げられると思っていたが、角を曲がる前に辛うじて止まってくれた。明後日もこのくらい会えたらいいんだがなあ。